アオイの商談を終わらせ、帰る途中のストーカーや声をかけてくる連中を町長とアンナで対応しながら屋敷へ帰ってきた。
「「「お帰りなさいませ」」」
町長が帰るとメイド達が出迎え、帽子や杖を貰っていく。
「アオイ、私達も戻るのよ」
「はい」
アンナ達も他のメイド達同様に戻ろうとしたが……
「ちょいお待ち、アオイ、二人で話すことがあるさね」
「……?」
アオイは止められ町長は「付いてくるさね」と言ってアオイをいつもの書斎に連れて行った。
「そこに座り」
「……はい」
「……」
「……」
しばらく沈黙が続いたが町長が口を開く。
「……あんた、よほど酷いことされたんだろうね」
「……?」
「あの奴隷のオークションで初めてあんたを見たときはビックリしたよ、こんなに美しい人間がこの世に居るのかってね、あんたを買ってから気にしていなかったが、そろそろ向き合って行こうかと思ったさね」
「……」
「あんたの心は疲弊しきってるさね、“心ここにあらず”と言うやつさね」
「……」
「この国は初めてさね?」
「……はい」
「そう……アンナとはやっていけそうさね?」
「はい」
「ちょっと待つさね」
町長は通信用魔皮紙を通し誰かを呼ぶ。
「失礼します」
するとアンナが入ってきた。
「確かお前はグリード出身さね?」
「はい、そうです」
町長は少し考え、口を開いた。
「突然だが、今から二週間、お前達には休暇をやるさね」
突然の発言だったがアンナはまるでそうなることを知っていたかの様に礼を言う。
「ありがとうございます、感謝致します」
「いいってもんさよ、私はそんなに鬼じゃないさね、お金の事ならとりあえず私のこの予備のギルドカードをもっていくといいさね、後は一応万が一の魔皮紙も渡しとくさね」
「わかりました」
「さぁ、身支度してとっとといくさね、もう始まってるんだ、時間は有意義に使うさね」
「分かりました、ありがとうございます、ほら、アオイ行くよ」
二人は部屋を出ていくのを見送って書類に目を通しながら町長は呟く。
「さぁ、アンナ……あんたの言う通りにしたさね、後は頼んださね」
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______一時間後。
身支度を終わらせた2人はさっさと寮を出ていた。
「いい?まずは宿から探すわよ、あなたはそのチャイナドレスとメイド服と元々着てた服?くらいしか荷物ないけど、私は化粧道具とかいっぱいあるんだから!というかこれもって!」
アンナの両手には重そうなキャリーケースを2つ持っていたので1つアオイに押し付ける。
「は、はい」
「よし!探すわよ!宿!」
初めての休暇と言う事もあってテンション高くアンナは宿を探し始めたが____
「や、やっと着いたわ……」
宿を探してる内に時間も過ぎてあっという間に夕方時。
この時期、ニューイヤーフェスティバルのせいでこの国に来る観光客が多いので空いてる宿が少なく、どこか空いて無いか探してるうちにどんどん町から遠ざかり……最終的には町からかなり離れた所にあったボロい宿だった。
「はい……」
自分達の部屋に入って早々に倒れるアンナ、そして流石に疲れたのかここに来るまでに痴漢をされ過ぎて色々ぐしゃぐしゃになったアオイも部屋に倒れる。
「あんたも良く頑張ったわね……流石にこれはキツかったわ」
「ありがとうございます……」
「まぁ、お礼を言うのはこっちの方なんだけどね、私も奴隷になって初めてよ……休暇」
「……」
「(まぁ、私がそうなる様に仕組んだんだけど、こんなにうまく行ったのはアオイのおかげね)」
「……」
「とりあえず荷物出して、後はシャワー浴びて今日は寝るわよ、もう疲れちゃった」
「……」
「さて、じゃあ私はシャワーあびるから布団を敷いててね?」
「わかりました」
その日の二人はよほど疲れてたのか泥のように眠った。
それこそ、寝てる間に何かあっても起きないくらい疲れてぐっすりと______
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