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しばらくここに居ていいって言われて。ちょっと考えた。けど。今は家に戻りたくないし、一人になるのも怖い……
だから、素直に甘えてみよう。と思った。
照さんがシャワーを浴びてる間。たまたまスマホを手にした。
絵里が心配してたから、連絡しておこうと。深澤くんにもお礼言わなきゃと。
けど、登録してない番号から着信が。
でも、この番号……
嫌でも覚えてる。
とりあえず知らないフリをして、着信が止むまで待った。
けど、止まったかと思うと、すぐまた着信が。
怖くなってスマホを投げた。
それでも、しばらく静かになったかと思うと、また着信が。
なんで?
なんで家も携帯番号も知られてるの?
別れるとき、凄く暴れられ、スマホ壊され、私は暴力も振るわれた。
なんとか、別れられたから、この街に引越してきて、携帯は新規で契約して、アパートも借りた。そして。今の職場に採用して貰え、数年が経った。
いまの携帯を知ってるのは、職場の人と、親くらいだ。
岩本さん達はみんなアプリでしか繋がってない。
だから、私の番号を知ってる人は限られる。
もちろん 家も。
それこそ、家は、親と、岩本さんと深澤くん、康二くん、阿部ちゃん、佐久間さん、だけ。
誰が……
でも、全部知ってるのは、深澤くんだけ。
え?深澤くん?
な、わけない。そんな人じゃない。
じゃあ、誰…
あ、でも、職場の人なら、私の住所とか知ってるんじゃ……
え。でも、ちゃんと管理……
なんて分からないよね。
どうしよう。
凄くこわくて、ソファーの端っこに身を縮め座り、動けなくなった。震えと涙が止まらなくて。
そんな時に岩本さんが、シャワーから戻ってきた。
岩本さんは、見るなりおかしいことに気づいてくれたんだろう。スマホを拾うと、いくつか私に確認してきた。けど、声も出ないし。頷くしか無かった。
すると、電話に出て何やら話ていた。自分の電話だと。揉めることはなく、そのまま電話は切られた。
けど、岩本さんはちょっと難しい顔をしてて。
どしたんだろう。
でもいまはここにいたくない。
もしかしたらここも知られるかもしれない。
どこか遠くにいきたい。
なんなら誰も知らないところへ……
このままじゃ、みんなを巻き込んじゃう。
なんなら岩本さんを巻き込んでる。
どうしよう………
そんな私に、岩本さんは、
「いまから、遠出しない?」
そう言った。私は、静かに頷いた。
それから、着の身着のまま、貴重品だけをもち、私のスマホは、テーブルに置かれ、出てきた。
どこに行くんだろう。
私は窓の外を眺めたけど、人がいて、また怖くて。
そしたら、頭撫でられた。
今1番、唯一安心できる。
それだけ。
利用してるみたいで申し訳ないけど…
今だけ……