癒しと温もり、それから。
◇irxs 桃青
◇病み
やっと1週間が終わる。最後の書類の点検をして、PCの電源をすべて切った。
持ち帰るためのノーパソと、デスクに置きっぱのペットボトルを掴んで鞄に押し込む。
しっかりと椅子をしまい、電気を消して社長室を出た。
退勤時間はとっくに過ぎているため、最後に電気などの見回りをする。
オフィスも会議室も全てを周り、最後に今日メンバーで使った会議室の扉を開く。
するとそこには、机に突っ伏して寝る青髪が見えた。
「……え?」
こいつ、もしかしてずっとここにいたのか?
MTGが終わったのは確か14時すぎだった気がする。あれから少なくとも6時間以上は経っているせいで余計心配だ。
どちらにせよ、ここはもう片付けなければならないのでまろを起こそうと隣へまわる。
だけど、その時見えてしまったのだ。
こいつが左手で握っているそれに。
「…まろ、起きて」
「……」
「まーろっ、」
「…ふん、…ぅん…?」
「…あ、起きた」
「っ!」
勢いよく顔を上げて、俺の顔を見る。
それから自分の右腕を見て、左手を見て、視線は俺へと返ってくる。
俺が声をかけるよりも、まろの見開いた瞳から涙がこぼれ落ちるのが先だった。
「…まろの家、いってもいい?」
最愛の彼の涙に気づかぬふりをして、いつもの笑顔でそう言った。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「部屋、ぐちゃぐちゃって言うたのに。」
「気にしなくていいじゃん、何年一緒だと思ってんの?」
まろより先に靴を脱いで、リビングの扉を開ける。
そのままワイシャツが放置されていたソファに鞄を放り投げて、洗面台へ向かう。
さて、ここに来るまでに見かけたものを整理しよう。
まず机の上にはスピーカーと缶の山。酒もエナドリも混ざっていた気がする。
そして洗面台の隣のドラム式洗濯機には洗濯物が放置されたままで、そこまで量はなさそうだった。
新しいタオルを棚から出して手を拭ってタオルハンガーにかける。
ささっと髪も整えてリビングへと戻った。
「…まーろっ、早く寝るよ」
「……ぅーん、」
俺の後ろに着くようにリビングに入ってきていたまろは、俺が開けた扉にもたれかかって座っていた。
「ほらほら、荷物机に置いて?」
半ば無理やりまろを立たせて、鞄を置くよう促す。
スーツの内ポケットからスマホと剃刀が顔を出して、隠そうともせずテーブルに置いた。
そのまま何も無かったように掛けていた眼鏡を外し、畳まずに机に置く。
その様子を何も言わず眺めていると「何じろじろ見てんねん変態」なんて言われたが、そんなこと気にせず鼻で笑っておいた。
まろは脱いだジャケットをソファに投げ、洗濯カゴの中から俺のお下がりのルームウェアを探し出して風呂へと向かった。
どれだけ疲れていても嫌でも、ちゃんとやることはやろうとするところ本当に凄いと思う。
逆にその真面目さが悪い所でもある気がするが。
まろが風呂に入っている間に、適当に見つけたコーンスープをマグカップに入れる。
それとたまたま俺の鞄の中に入っていたお菓子を小さめの皿にのせてテーブルに置く。
まだ出てくる気配はなさそうだったので、溜まっていた洗い物を終わらせて、投げられたジャケットとワイシャツを掛けた後、洗濯物の山と洗濯機に入っていたものも畳んだ。
そうして一息ついた頃にようやくまろが風呂から上がってきた。
ーーーーーーー
青.side
「おつかれ、寝る前にスープ飲も」
風呂に入ってから、全然動けなくて上がるまでにかなりの時間がかかってしまった。
体を洗うのも頭を洗うのも一苦労で、髪を乾かす気も起きずにないこの元へ向かうと、テーブルの上にマグカップとお菓子が置かれていた。
「……ん、ぁりがと」
タオルを被ったまま椅子に座り眼鏡をかけると、ないこも目の前に座るのが見えた。
何も喋らずにスープに口をつけると少し熱くて思わず唇を離した。
「んは、熱かった?」
「…まぁ」
「ごめんごめんw」
疲れ果てて机に伏せようと思った時、ないこがドライヤーを持って駆け寄ってくる。
手近なコンセントにコードを挿し、俺に温風が当たる。
それが心地よくて、思わず寝そうになる。
そこでふと思い出した。
俺、剃刀どうしたっけ
視線を動かして机の上を探すが、どこにも見えなくて少し焦る。
やばい。何してんだ俺。
「ねぇ、ないこっ」
「なぁにー?」
ドライヤーの大きな音の隙間から、ないこの声が届く。
その声に被せるように続けた。
「俺の、……剃刀どこッっ?」
「あー…洗面台に置いてきちゃった、近くにあった方がいい?」
心臓がばくばくと警鐘を鳴らす。
手が震えるのを感じて、無意識に浅い息が漏れた。
「…すぐ持ってこようか、ちょっと待ってて」
ドライヤーを置いて洗面台に向かってくれたないこ。
謝罪
不安
焦り。
脳がだんだんとそんな感情で満たされていく。
もうすぐで呑まれそうと思った時、ないこが戻ってきた。
「ごめんごめん、不安になるよね、ここ置くよ?」
俯く俺の視界に入る場所に剃刀が置かれる。
ゆっくりとそれを手に取って、ギュッと握りこんだ。
「まろ、こっち向いて?大丈夫だよ、」
いつのまにか隣に座っていたないこに手を握られる。
「っッなぃこッ、…ふ、…ごぇ”っ、…」
「大丈夫大丈夫、気にしてないよ…」
「して”るッっ、ぉれお”かしぃもん゙ッ…っ」
「おかしくないから。ちょっといっぱいいっぱいになっただけやもんな。」
少し水気の残る髪に、ないこの掌が乗る。
急にぐい、とないこの肩に引き寄せられる。
そのまま頭を撫でてくれる手が暖かくて、だんだんとさっきまで考えていたことがどうでもよくなった。
「眠たいね、このまま寝ちゃおうか」
「…だぇ”……っないこ、」
「どうしたの、」
「ごめ、……っ」
「もう気にしないでいいから、今は自分のこと考えて?」
「…おれ、……つかれた、ねぇっッ、」
「…そうだねぇ、頑張った頑張った」
久しぶりに褒められたな、と嬉しくなって、そのまま意識を手放した。
僕のおうちの家事やってくれる人募集します‼️‼️(
もう最近(というか年中)死にすぎてご飯もまともに食えてないし、そもそも綺麗だった家の中が3日くらいで荒れちゃって綺麗にする気力なんて存在しないし、全然寝れないし……唯一お風呂は虚無りながら入ってるくらいなの😭😭
そうつまり掃除班と料理班きてくれ(?)
コメント
3件
さすがにすきすぎて😭😭 剃刀ないと不安になっちゃう青さんとそれにすぐ反応して動く桃くんのふたりの尊さってもう世界超えてますよね(?) 桃くんが青さんのことを普段から理解してる感じ?言葉に上手く表せないけどもうそういう所がだいすきです😭 さいこーにすきです😭😭😭 だいすきですもうこういう作品求めてた…🎀💭🎶 ありがとうございますっ💙🥂
かわいぃ”ッ...、病みぱろ好きすぎます.ᐟ 桃さんも青さんもお互い理解し合ってる感じがしてさいこ~にらぶいです.ᐟ.ᐟ💞 なりさん天才すぎます.ᐟ.ᐟ一生見てられます...、 掃除班なれます.ᐟ(ぇ、