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進展だぁ!!!! もう結構にバレてしまっているな ほんとに!!続きが見たい!!!
最初は、本当に些細なことだった。
「……あれ?」
保健室のベッドで、赫が天井を見ながら呟く。
(翠にぃ、最近……)
思い返してみる。
・声をかけると、返事が一拍遅れる
・笑ってるのに、目が合わない
・廊下ですれ違うとき、必ず壁側を歩く
「気のせい、か?」
そう思おうとして、
でも、胸の奥がざわつく。
昼休み。
黄と瑞が合流する。
「ねえ、赫っちゃん」
黄が、少し困った顔で言う。
「翠君さ……最近、音にびくっとしない?」
赫が、ぴたりと顔を上げる。
「……する」
瑞も頷く。
「あとさ、校舎裏の方、
めっちゃ避けてる気がする」
三人の視線が、
自然と一点に集まる。
「……偶然、かな」
赫が言うと、
黄は首を横に振った。
「偶然にしては、重なりすぎ」
瑞が、
指を折りながら言う。
「それにさ」
「俺、昨日翠にぃの首、
ちょっと赤くなってるの見たんだ」
赫の心臓が、
どくっと鳴る。
「……首?」
「うん。でも、
誰も気にしてなかった」
黄の声が、低くなる。
「僕も、見た」
「擦り傷みたいだったけど……
あれ、自然につく場所じゃない」
沈黙。
三人とも、
同じ映像を思い浮かべていた。
赫が、
ゆっくり言う。
「……動画」
「赫くんへのいじめが止まった“あと”から、
撮られてる」
「映ってるのは、赫っちゃんじゃない」
こさめが、
ごくりと唾を飲む。
「……じゃあさ」
「その頃から、
一番変わった人って」
言葉の続きを、
誰もすぐには言えなかった。
黄が、
震える声で言う。
「……翠君」
その名前が出た瞬間、
全部が一気に繋がりそうになって、
でも同時に、
強く否定したくもなる。
赫は、
拳を握りしめる。
「……でも」
「翠にぃが、
そんなことするわけない」
「自分を犠牲にするとか……」
言いながら、
その言葉が、
一番翠に当てはまってしまうことに、
赫自身が気づいてしまう。
(守るためなら、
自分を後回しにする)
(“大丈夫”って、
何度も言う)
(頼らない)
それは。
今まで、
赫が何度も見てきた、
翠の姿だった。
「……まだ、確定じゃない」
黄が、
自分に言い聞かせるように言う。
「でも」
瑞が、
ぎゅっと拳を握る。
「無視しちゃダメな違和感だよ」
赫は、
静かに頷いた。
「……調べよう」
「問い詰めるんじゃない」
「ちゃんと、見に行く」
三人の視線が、
自然と校舎の外———
校舎裏の方角に向く。
翠は、その頃。
教室の隅で、
誰にも気づかれないように、
小さく呼吸を整えていた。
——もう終わった。
——大丈夫。
そう思い込もうとするたび、
背中に、
まだ“誰かがいる”気がして。
違和感は、もう一つの真実の形。
そして今、
その全部が、
翠に集まり始めていた。