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「……なぁ、みどり」
「なに?」
「お前ってさ」
俺は大学から帰ってきた鞄を床に置きながら、みどりを見る。
「結局、何者なの?」
「ドラゴンだけど」
「そうじゃなくて」
「小さいドラゴンだけど」
「知ってる」
みどりはテレビを見ている。
最近コイツは、俺の家に完全に馴染んでしまった。
俺の枕を使い。
俺の冷蔵庫を漁り。
俺のゲームを勝手に起動して。
俺の財布を圧迫している。
「……てか、まずなんで段ボールに入ってたの?」
「知らない」
「誰かに捨てられたとか?」
「分からん」
「どっから来た?」
「段ボール」
「何歳?」
「段ボール」
「……お前、自分のこと何も知らなくない?」
「段ボール」
「いや段ボールじゃなくて」
どうしたものか。
警察に相談するわけにもいかない。
「ドラゴン拾いました」なんて言ったら、俺の頭がおかしくなったと思われるだろう。
かといって、放っておくこともできないし………。
考えるのも疲れてきた。ドサッとソファーに腰を下ろす。ぼんやりと天井を見つめる。
「……誰か、こういうの詳しい人いないかな……。」
ため息交じりに俺がそう呟くと、みどりが振り向いた。
「いるよ」
「え?」
「占い師」
「…………」
「占い師」
「何故二回言った?」
「大事なことだから」
「………」
天井からみどりへと視線を移す。
みどりはテレビに視線を戻した。
「コンタミって店」
「コンタミ?」
「うん」
「そんな理屈はどこから……」
「ユーチューブでみた」
「………ふーん。」
俺は少し考えた。
「……普通に怪しくない?」
「怪しいよ」
「怪しいのに大事なの?」
「……運命運命。」
「なんか適当じゃね?」
そんなこんなで翌日。
俺は「コンタミ」という店の前に立っていた。
「……来てしまったが」
もうすでに外観からして怪しい。
看板には大きく、
##『 コンタミ 』##
とだけ書かれている。
外見だけでは何の店なのか、まったく分からない。
「……本当にここ?」
「うん」
隣にはみどりが立っている。
今日は普通に歩いている。
「お前、外出て大丈夫なの?」
「マァ、大丈夫デショー」
「……とことん適当だな。ま、誰もいないからいいけど。」
俺はドアを開けた。
カラン、と小さなベルが鳴る。
「いらっしゃいませ」
店の奥から声がした。
そこにいたのは、一人の男だった。不思議な模様が描かれた口を隠す布。どこか掴みどころのない雰囲気。そして、机の上には大量の紙と絵の具。
「……占い師ですか?」
「はい」
男は顔を上げる。布のせいであまり表情がわからないが、俺を見て目を細めている。
「コナータミソンと申します」
「あ、どうも……」
俺は椅子におもむろに座った。
みどりも隣に座る。
「今日は何を占いましょうか?」
「えーっと……」
俺はみどりを見る。
「……コイツについて、です。」
「ふむ」
コナータミソンがみどりをまじまじと見る。
「ドラゴンですね」
「分かるんだ」
「見れば分かります」
「で、ですよね…。」
コナータミソンは色んな角度からみどりをじっと見つめる。
しばらくして。
「……なるほど」
「何か分かりました?」
「何も分かりません」
「………え?」
予想外の言葉にポカンとしていると、みどりが口を開いた。
「腹減った」
「気の所為」
「腹減った」
「……今それ関係ないから」
コナータミソンが小さく笑う。
「面白いですね」
「何がですか?」
「あなた方です」
「ぼ、僕たちがですか?」
「ええ」
コナータミソンは机の上のカードを一枚取った。
「少し、占ってみましょうか」
「お願いします……。」
カードを並べる。
一枚、二枚、三枚…。
「…………」
コナータミソンの表情が、少しだけ変わった。
「……?」
「妙ですね」
「何がです?」
「この子の未来が見えません」
「へ?」
「正確には——」
コナータミソンはみどりを見る。
「見えないというより、見せてもらえない。と、言えばいいでしょうか。」
「…………」
空気が少しだけ変わった。
俺は思わずみどりを見る。
みどりは、何も気にしていない様子でカードを眺めている。
「……ど、どういう意味ですか?」
「さあ」
「さぁ、って………」
「私は未来を当てるだけなので」
「いやそれも十分すごいんですが……」
コナータミソンはカードを片付けた。
「ただ」
「?」
「一つだけ言えることがあります」
彼は俺を見る。
「あなたとその子は、しばらく一緒にいることになるでしょう」
「…」
「それも、かなり長く」
「……マジですか?」
「大マジです。」
俺はみどりを見る。
「……だそうだけど。お前はどう思う?」
「別にいいよ」
「え?」
「らだオの家、暖かいし」
「理由それ?」
「あと、ご飯ある」
「…………」
俺は頭を抱えた。
「……まあ、いいか」
コナータミソンは、そんな俺たちを見ながら笑っていた。
「仲が良いですね」
「まだ会って数日ですよ」
「それでもです」
店の奥には、たくさんの絵が飾られていた。どれも奇妙で、どこか不思議な絵だった。
「これ、全部あなたが?」
「ええ。趣味です」
「すご……」
「ありがとうございます」
俺は一枚の絵を眺める。
そこには、夜空の下に立つ大きな何かが描かれていた。
「……これ、何ですか?」
「さあ」
「描いた本人なのに?」
「想像ですから」
「……そうですか」
みどりがじっと絵を見ていた。
いつもの眠そうな顔ではない。
何か懐かしいものを見ているような。
「みどり?」
「…………」
「どうした?」
「……あれ。」
「?」
「なんか、知ってる気がする」
俺はみどりの視線を辿り、その絵を見る。
何の変哲もない絵だ。
なのに、みどりはしばらくその場から動かなかった。
「……帰るか」
「うん」
俺はみどりを抱き上げた。
「ありがとうございました」
「こちらこそ」
店を出る。
扉が閉まると、店内に静寂が戻った。
コナータミソンは、窓の外を眺めた。
「…………」
そして、小さく呟いた。
「……やっぱりね。」
机の上。
先ほど占ったカードの一枚だけが、裏返ったまま残っていた。
#らっだぁ愛され
ほいっぷ🍰☕️
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コメント
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お疲れ、天涯孤独さん!第4話読んだわ。 占い師コナータミソン、見た目からして怪しいのに「ドラゴンですね」ってド直球で言うの面白すぎるだろw でも「未来が見えない」って伏線が一気に作品のスケールを広げた感じがして痺れたわ。最後の「やはり、そうですか」も気になるし、みどりが絵を見て「知ってる気がする」って言ったシーン、グッときた。 小説の世界観がじわじわ広がってて面白い。続きが気になるわ🔥