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【前回のあらすじ】
主人公はオーナーに「『紫』の意味が知りたいか」と問われる。
答え次第で平凡な日常が失われると告げられ、迷いながらも返答するしかなかった。
胸のざわつきと緊張に飲まれつつ、彼は短く「はい」と答える。
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オーナー
「合格でーす!」
オーナーの目はニコニコして、まるで下向きの三日月のような形だった。しかしその言葉を発した瞬間、目がぱっと開き、満月のように輝いた。その表情はまるで狼男でも現れたかのようで、思わず息を呑むほどの迫力だった。
「え?合格なんですか?俺はとにかく『紫』が知りたいだ――」
言葉を遮るように、オーナーが軽やかに被せる。
「じゃあ、今日の定時の後、管理室に来てね。そこでゆっくり話をしよう」
いつの間にか、オーナーはいつもの温厚な笑顔に戻っていた。
「えっと……残業ってことでいいんですかね? よくわかんないんすけど」
オーナーはにっこり笑って答える。
「あぁ、他のバイトの子たちには残業だということで通しておいてくれ」
半ば納得できないまま、俺はその部屋を掃除してその場を後にした。
勿論、掃除前と同様で203室は何も異変がなかった。
放心状態のまま西谷さんに心配されながらも
定時を迎え、俺は残業という形で管理室へと向かった。
続く