【七海視点】
な、なんで先輩達がここに?
もしかして、先輩たちのお母さんたちから何か聞いたのかも。
これは私だけの問題じゃない。昨日椎名先輩のお母さんが言ってくれた。
ねろ母『音呂達にも協力してもらって解決するのよ』
アベ母『1人で解決出来る問題じゃないわよ』
めーや母『あんた、人に頼るってこと覚えなさい?』
これまで1度もかけられたことの無い言葉。母親ってきっとこういう人達のことを言うんだろうな。
ねろ「俺ら、いじめなんてしてないですよ」
七海母「いじめてるつもりがなくてもいじめだと七海が思ったらそれはいじめなのよ!」
椎名先輩は、見るからに面倒くさそうな顔をしながらお母さんと会話をしている。きっと椎名先輩が何を言ってもお母さんは聞き入れようとしない。だから。
七海「……お母さん、私、いじめられてなんかないよ。」
そう言った私の方を振り返ったお母さんの目はとても怒っていて、勝手なこと喋るんじゃないと目が語っていて。でもそれでも私は、私のためにも、椎名先輩や他のみんなのためにも、この問題を解決しないといけないから。
七海「私は、いじめられてなんかない。私をいじめてるのはお母さんだよ。この傷も、この傷も、全部お母さんとお父さんがつけた傷。」
七海母「七海っ!!!!なんてこと言ってるの?この子達がいるからそんなことを言うの?何を言われたの、何をされたの七海!」
七海「理不尽に怒られたよ、友達って言っただけで叩かれて、蹴られて、ヒールで踏まれたよ。友達なんか作らないで勉強しなさいって、私頑張ったよ、この前のテスト、私学年順位1桁だったよ。なのに、それでもダメだって。」
目から涙がこぼれ落ちそうだった。先生と宇経先輩たちの声が聞こえなくなったから、多分4人も私のことを見てる、もちろん、椎名先輩も。
だからお母さんは私を叩けない、蹴れない。今この場で反抗しないと、言えること全部言わないと。
七海「私ね、ずっと苦しかったよ。カレーが食べたかった。お母さんとお父さんはずっと喧嘩して、でも結局ずっと仲良し。邪魔なのは私だけ。だからいなくなったらいいと思ってるんでしょ?でも、でも私、私ね……」
お母さんもお父さんも、大好きで、ずっと一緒にいたくて、愛して欲しくて。
でもその言葉が私の口から発されることはなかった。その後はただ私の泣く声だけが応接室に響いて、そのまま私はソファーに崩れ落ちた。
どれだけ殴られたって蹴られたって、機嫌のいい時に笑ってくれて褒めてくれるお父さんが大好きだった。美味しいご飯を作ってくれて、笑ってくれるお母さんが大好きだった。
だからずっと、我慢してた。
でも、私に優しくしてくれた先輩達にこんなことを言うお母さんは好きじゃない。もう、我慢できないから。
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