テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
48
#ゴミ絵
おおわらい
101
#カンヒュイラスト
黒蜜
152
自己満小説だとは言え、たくさんの方に見てもらえて幸せの過剰摂取なんですけど。なんかテラーノベル始めてから人生が二割増し良くなった気がします…。
なんか前回も長いって書いたんですけど、今回も激長です。計画性が無いのでこうなるんでしょうけど、まあしょうがないですよね。
アメリカ×日帝の純愛を意識して書いたもの。
ハッピーエンド。
キスはあるけどそこまでセンシティブではない。原爆表現
クソ長い。
読もうとしてくれた方ありがとうございます。
地雷の人は今すぐに戻ってください。
それでもいい人だけ
戦火とは程遠いムラのない青空に目を向ける。地面しか見ていなかったあのころとは違う、案外美しい空は平和ボケしたかのようで少々複雑だった。
嫌な話をしていたせいで顔色の悪かった米帝は、考えるように目をつむるとそのまま眠ってしまった。起こす気にもなれず今しがた彼の座席のほうに身を乗り出し窓のほうを眺めるが、一向に起きる気配がない。延々と続く水色と不規則に表れる白い雲に飽き飽きして、いたずら交じりに米帝の顔を観察してみることにした。
自分の顔とは程遠い、重力に反するような高い鼻と、キュッと閉じられた唇の色は桜の花びらを連想させた。あの瑠璃石のような瞳は薄い瞼によって隠されており、おなごのように長いまつ毛は金色だった。見れば見るほど、生物の種としての溝が深まっていく。違う星のもとで生まれたかのような米帝の肌が、眩しい太陽光に反射してきらりと光った。
何の心配もしていなさそうな米帝を見て、もし今刀を持っていたら殺せると感じた。胸に刃を突き刺して、溢れる血に慌てふためきながら体の力が抜けていく米帝。想像しようとしてもできなかった。とは言え、尖ったものですら持っていない自分にそんなことできるわけないのだが。一人苦笑していると、一瞬零れてしまった殺気を察知したのか米帝の部下が飛んできた。
顔を合わせる気力もなく、無邪気に空を見ているふりをする。部下は自分のほうを一瞥すると米帝に話しかけた。害はないと考えたかそれとも軽蔑しただけが、分からないが今は好都合だ。
それにしても米帝は起きない。最初のほうは気にしない振りをしていたが、部下が声を張り上げたというのにも関わらずピクリともしない。流石にかわいそうになり米帝の肩を叩く
「おい、米帝」
「zzz」
「起きろ、お前のかわいそうな部下が困っているぞ」
ふさふさとしたまつ毛が持ち上がり藍染に近い瞳が覗いた。軽く伸びをした後、目をこすり部下のほうを見た。
「ああ、なんだ?何か用か?」
「起きましたかアメリカ様、もうすぐ12時をまわります。ランチはいかがなさいますか。」
寝起きで機嫌が悪いのか、かなり声が低い。いきなり起こされたからと言ってそんな態度を取ると周りの人々から嫌われるぞ?心の中で説教する。
「日帝ちゃんのために米用意しておけ。お前らも食べていいぞ。俺はまだ腹減ってないからあと一時間後にいつものを頼む。」
「分かりました。」
部下は元敵国の心配をする米帝に驚いたのか、一瞬こちらを向いたが、鋭い米帝の眼光にせかされるようにして奥へと消えていった。
「あんま昨日寝てねえんだよなー」
「…仕事か?俺についての。」
「ん、まあな」
「申し訳ないな…」
「いやいやいいんだよ。」
「あーでももうちょっと寝るわ」
「ああお休み」
情けないあくびを一つした後、目を閉じる米帝。
何秒か米帝の横顔を眺めていると、後ろからの足音に気づき振り返るとあの部下がいた。容器に入ったお粥を差し出す。
「お前がこんな環境でいられるのはアメリカ様のお陰だからな、感謝しろよ」
「あっああそうだな…お礼を言わないとな」
丁寧な物腰が崩れタメ口に変わった。急な変貌に驚きつつ返事をする。感謝しているのは事実であるし、勝った国の国民が負けた国の国民を下に見るのは当たり前なのだと思い、気にしない振りをする。
「うちの国の全員がアメリカ様のような寛容な心を持っているわけではないからな?言っておくが俺はお前の性格も見た目も大嫌いだ!」
その言葉を聞いたときに少し安心した。米帝がおかしいだけなのだということが身をもって分かったからだ。単純に考えて大切なもの汚しあった互いが分かり合うのは相当難しいと思う。
「そうだよな、分かっている」
「分かってねえだろ!お前のせいで世界は滅茶苦茶になった!お前があの時にわざわざ提示してやった降伏を受け入れていれば!それよりもお前がナチス・ドイツやイタリア王国に味方しなければ!あんな化け物について回るなんて馬鹿もいいところだぞ!?」
「そっそうだな…」
もう少し前だったら先輩を侮辱したことに逆上していたに違いない。しかし米帝のせいですっかり牙を抜かれた自分にはその罵倒が深く突き刺さってしまった。
まだあの戦っていたころは、自分の大切な物の為ならどんな暴言にも耳を塞げた。そんな大切なものを失った自分はただの弱者なのだ…。
「被害者面すんじゃねえよ!!」
「あ…ごめんなさい」
「消えろや!!」
「あ」
十秒ほど体が硬直する。動けないかわりに目の前の男が肩で息をしながらギラギラした目でこちらを見ていることは分かった。
今何が起こったか。顔に感じるどろっとした感触、部下が持っている空のお椀。
要するにお粥を顔面にぶっ掛けられた。
「おい」
体をひねると顔を歪めた米帝がいた。澄んだ様子しか見たことが無かった青い瞳はどす黒く、こちらを見ずその部下の目を見ていた。
いつの間に起きていたのか、という疑問が浮かぶ。しかしそれを口にする前に米帝は、顔面蒼白の部下に殴りかかりそうな勢いで立ち上がった。二人の間に座っている自分の真上でゾッとするような声が響く。
「タオルと水バケツ持ってこい。話はその後だ。」
「はっはい!」
慌てて踵を返す部下を見送ると、くるりとこちらを向き座った。ベトベトであろう自分の顔を想像すると恥ずかしかったが、米帝は全く笑っていない。
「大丈夫…じゃないよな」
「いや、大丈夫だ」
「俺の部下が…悪い…」
「あの男が言っていることの方が正しいとおもうぞ。」
「日帝ちゃんだって被害者だろ…」
寝ていたと思っていたが、かなり会話を聞いていたらしい。
「じゃあこの戦争は誰が悪かったんだ?」
「そんなの決める必要ねえだろ」
「だが実際は俺だと思ってんだろ?」
半笑いの表情でそう言った自分。その言葉に怒ったように眉間にシワを寄せた米帝は、いきなり自分の頭の後ろに両手を回した。
困惑した自分はすぐに腕をつかみ引き離そうとするが、離れない。このまま米帝に食われるのか…。あり得ないはずなのに本気でそう思った。
顔が近づいてきて、久しぶりに命の危機を感じる。終わった…。ギュッと目をつむり、魂が散るのを待つ。
「ペロッ」
「!?」
「ペロッペロッ」
「なにすんだ!!この鬼畜米帝!!」
「敗戦国が!アメリカ様のことを鬼畜だと呼びやがっ…ぎゃーーーーーーーー!」
米帝は、引き寄せた自分の顔にかかった粥を舐め始めた。意味が分からん。今までで一番意味が分からん。
可哀そうなことにそんな気持ちの悪い現場を目撃して発狂する米帝の部下に申し訳なさが募る。
「アメリカ様ーーー!何をされているのですか!!」
「んっお前がタオル持ってくんのが押せえからこうして拭いてやってんじゃないか。」
むしろ汚してんだろ!!そう言いたかったが米帝の舌が鼻から口元へ移動したためできなかった。
「そんなことする必要ないですよ!!」
「てめえが日帝ちゃんの可愛い顔に米なんかぶっかけなければなぁ?」
「ヒッごめんなさい!」
「米帝!もういい!大丈夫だ!!やめろ!」
「タオル渡せ」
「はっはい!」
後頭部から手を離さずに怒鳴る。米帝が怒鳴ること自体初めて見た気もする。恐怖と困惑を六:四にしたような顔をした部下からタオルを受け取る米帝。そのまま顔を丁寧に拭われた。お粥と唾液でべたべただった顔からあ不快感が消えてゆく。しかし、元敵の体液が瞼やおでこにかかっていたことを考えるとやはり恐怖なのだが。
「日帝ちゃんを国に返したらてめえの処罰を決めっから。」
「分かりました…。」
「あと、作り直した分もってこい。もちろん別の奴にな、あと俺は今食べたから大丈夫だ。」
「食べた…?」
あの量で足りんのかよ…。そう思い米帝のほうを向くと、斜め下を凝視しながらブツブツと何かをつぶやいている。生憎耳はいいので聞こえていしまうが、あの部下への愚痴の間に挟まる自分への謝罪や懺悔に耳が赤くなった。
「持ってきました!!」
さっきとは別の、今度は女性の部下が来た。先ほどの怒鳴り声を聞いていたからだろうか、緊張してもともと高そうな声がもっとうわずってしまっている。震える手から、先ほどより多めに盛られたお粥を受け取る。
「ありがとう」
目は合わせられないが一応言っておく。内心この女も自分のことを憎んでいるのだろうなと思いつつ、彼女がお辞儀をして去っていったのを見て少し安心した。
お腹が空いていたため、すぐにお粥を口に運ぶ。うむ美味い。隣からの重すぎる視線を除けば最高に近い気分である。
無言で食べ終わると、先ほどの女部下がこちらに来てお椀を回収していった。顔を舐められたことやら、申し訳なさで米帝の顔が見れない。通路を挟んだ反対側の窓を眺める。変わらない青空は、先ほどまでどんな惨状が繰り広げられていたか知らないように単調だった。
しかし後ろから伸びてきた手に顎を掴まれ、優しいが強引に米帝のほうへ向かされてしまった。意を決して米帝の瞳を見るが、真っ黒に見えた目はいつもの澄んだ青色に戻っており安心した。
「もう一度言うがごめん…」
「いや気にするな」
「そんな不快な思いさせた後で悪いんだけどさ、日帝ちゃんの可愛い顔を少しの間だけ隠してもらうことになったんだよな。」
「はあ」
粥をかけてきた男も自分の顔が嫌いだといった。そりゃ戦っていた国の国旗など見たくないと思うのは正しい反応だと思う。それでもやはり寂しいと思ってしまった。
「今日帝ちゃんのとこでも国旗を…燃やしてるところなんだよな…」
言いづらそうに言う。確かに悲しいが。
「何か布とかで隠すのか?」
「いや塗りつぶす」
感情を殺したような声で言われた。守り抜いてきたものを上から隠されるなんてかなりの屈辱だが、しょうがないのだと心の中で割り切る。
「じゃ始めんぞ」
「ここでか?」
「そうだ」
「いや道具は?」
そう聞くと、足元の網に置かれていた大きい鞄を取り出して化粧道具のようなものを出して見せてきた。そしてそのまま筆に白い絵の具をを付け始めた。
「まっまさかなんだがお前がやるんじゃないんだよな…?」
「俺がやってやるが?俺以外にその顔触らせたくないし、誰かに頼んだら傷つけられる可能性もあんだろ?」
「….。」
げんなりした顔に気づかない米帝は、そのまま赤い朝日を塗り隠していく。舌のざらざらした感じとは違うフワフワとした筆にくすぐったさを覚える。気を抜くと笑ってしまいそうになるが必死に耐える。抵抗したい気持ちが膨れ上がるが、手をきつく握り足の先を丸めることで何とか我慢できそうだ。
「じゃ青色入れてくか!俺の好きな青色!!」
反省の念で悲しそうな顔をしていた米帝はいつの間にか楽しそうにしている。ほんとに反省してんのか!まあ気にしていないし、あんなのどうでもよいのだが。
顔の右上が染め上げられていく。どちらかと言えば赤色のほうが好きなので少し気分が悪い。かきむしりたい衝動と格闘しながらじっとしていると終わったらしい。
「俺の嫌いな赤色…」
いやお前にも赤色入ってんだろ!という心の中での突込みはやはり届かない。米帝は一緒に戦っていたはずのソビエト連邦が嫌いらしい。だから赤が嫌いなのだという。なぜ協力している国が嫌いなのか理解ができない。自分はナチス先輩もイタリア王国先輩も大好きなのだが…。
青色を塗っていた時よりもガサツな手つきで顔の右下を塗られる。筆のけばけば感がまして、少し痛い。傷にはなっていないだろうが、チクチクしていてどうにも気になってしまう。しかし青の時よりも半分に近い時間で終わったので、すぐ解放されホッとする。
「鏡見るか…?」
「ああ」
面影の無さに驚きと悲しみが胸に広がった。恥辱的な姿だがしょうがない。しかしこのまま天皇陛下や国民に会うのか…。着いても顔を上げられないな…。
「前の顔のほうが好きだけど、今の顔は青色が入ってていいな!」
上機嫌でほほ笑む米帝に苦笑いを向けながら外見ると、灰色と茶色の写真のように色のない地面が近づいていた。大切な、大切な国をこんな姿にしてしまった自分に腹が立って涙がせり上がるものの、気にしない振りをした。
「もうすぐ着陸だな」
「…ああ」
「シートベルト付けろよ」
耳がキーンとなりと浮遊感が走るがすぐに収まり、大きな揺れとともに旅客機が地面に着く。
「到着だな」
「ああ」
先に通路に出ると米帝が奥から出てきて、手を掴んだ。姫だきされるよりは全然ましだが、普通に恥ずかしい。え、まさかこのまま外に出るのか??嫌だぞ??
予想は綺麗に外れて手を引かれつ、旅客機を降りる。国民への申し訳なさと顔の色、そして手を握られている恥ずかしさで前が向けない。目の前の人々がどんな顔をしているのかも分からない。怒っているか泣いているか…。そんなことを考えると顔が歪んだのを感じた。
自分の土地のように堂々と歩く米帝は、周りの国民を気にするそぶりもなく足を進める。何か一言でもいうのかと思っていたため少し驚く。
珍しく無言であるというのに、やけに楽しそうな米帝は重い足取りの自分を引っ張っていく。背中に突き刺さる視線が辛くて手が震えていることに気づいた。歯を必死に食いしばって止めようとするが、ますます大きくなるばかりだった。
「落ち着け。日帝ちゃんの故郷だろ?敵なんていないからさ」
落ち着いた声でそう言わた。いつもより低いのに、不快感のない重低音の美しい声だった。その言葉に安心してしまった自分の手は、先ほどより震えが収まっていく。こんな声で何かを言われたのは初めてだったからか、少し顔が熱くなった。
「…ありがとう」
顔はまだ上げられないが、視線だけずらして周りをうかがう。睨んでいる人もいるが、礼をして経緯を表す人や手を振る人もいる。早かった鼓動がいつもの早さに戻る。
迷いなくほぼ一直線に進んでいた米帝が突然止まり、横を向いた。同じ方向を向くと、視線の先には小さな子供がいた。がりがりにやせているのに泣きもしない、見ているだけで辛くなってくるようなそんな子供だった。自分の体を食べさせたいと切実に願ったがかなわないことを知っていた。今まで食料を食べさせてくれていた米帝に感謝したいと思うも、その前にどうにかしてこの子に何かをあげなければならないと思った。
「これ、やるよ」
少し焦っていた自分の隣で、米帝はしゃがみ込み子供に目線を合わせていた。そのまま、洋袴の隠しに手を突っ込みチヨコレイトを取り出した。子供はそれをまじまじと見つめ、パクリと口に含んだ。
「おいちい…」
「よかったな。友達にも分けてやれよ」
「ありやとー!」
つたない単語で礼を言った子供は、くるりと後ろを向き走り出した。
「子供に食料を与えるなんて…とっ取り敢えず感謝はするが…なぜこんなことを?」
「ん?ああ日帝ちゃんって可哀そうな子供見るの嫌いじゃん?」
「好きな人なんかいないと思うが…」
「まっ悲しい顔してる日帝ちゃんのこと見たくなかっただけだから気にすんな」
たった一人でも救われた子供がいるという事実に安堵するが、もう自分ひとりの力では国民一人救うことができず、米帝の力を借りなければならないと思い知らされてしまった。
「あとはさ、国民が俺のこと好きになったら日帝ちゃんも俺のこと好きになんだろ?」
「まあそうだな」
「媚び売ってるみたいなもんだよ」
「たかがこんな国のために…」
「もっと経済が安定したら後々返してもらえばいいからさ」
そう言ってはにかむ米帝を見ると、少し血流が早くなる気がした。
「なんかもめてんな、あそこ」
また歩き出した米帝についていくと急に一点を指さした。
「本当だな。大丈夫だろうか…」
「見に行くか」
そう言って走り出す米帝。手をつないだままなので引っ張られる状態になる。手を離してほしいが、追い風によって口が開けられない。
「お前ら何やってんだ?」
「アメリカ様ですか!ちょうどよいところに!こいつらが花火をあげたいと言っていまして…」
「花火?」
「そうです!敗戦国ごときが上げようとしていたので止めたら、抵抗しやがったんですよ?」
花火…懐かしいものを聞いたな…。まだあの醜い争いが始まる前に水あめやらを舐めながら花火を見たのはいい思い出だ…。赤い花火は、爆弾とそっくりだった…。でもなぜか花火は綺麗なんだよな…。
「火薬回収もしているしな…。悪いが、花火は回収させてほしいんだ」
「でも…」
やはり米帝も嫌がるよな…。花火だって火薬なんだから。事故や国民の暴走に繋がる恐れがある…。
「べっ米帝!俺は花火…見たい…」
「日帝ちゃん…?]
「迷惑なのは重々承知だ…。だが俺は戦ってる時に見た爆弾が忘れられないんだ…地響きとともに人々が肉片になっていくさまが…だから上書きしたいんだよ…」
こんなことを言ったら米帝に見捨てられるかもしれないと思った。だが、溢れ出す欲求には勝てなかった…。またあの花が見たかった。
「珍しいな…日帝ちゃんが俺に頼み込むなんて…」
「…。」
顔も見れないし声も出せない。
「さっき媚び売るって言ったもんな、分かった花火やろうぜ」
驚きの返答だった。米帝の後ろで、もともといた米軍兵たちが口をあんぐり開けているのが見えた。
「本当ですか!ありがとうございます軍人さん!」
「あーでもこっちの管轄で上げることにする。じゃないと危ないだろ?」
「そうですよね…。」
「だから協力よろしく頼むよ」
「はい!」
唇を舐めると塩の味がした。手を目のほうに持っていくと、自分が泣いていることに気づいた。心の中では飛び上がっているのにうまく笑えない。顔は上げられないが必死に声を絞り出した。
「ありがとう…米帝…」
「何で泣いてんだよ!顔上げろよ」
そう言って顎を持ち上げられた。
「うわっ塗料めっちゃ取れてんじゃん…いいもん買ったと思ったんだけどな…まっ素顔で”ありがとう”って言ってもらえたしいいや。あとで直すからな」
「分かった…」
興奮が抑えられないまま、いつの間にかさっきの花火職人とは別れて米帝の設置した基地のようなところに連れてかれていた。顔をまた書き直されたたことは覚えているが、そこからの記憶はあまり無い。花火が見れるということに気を取られていて上の空だったからだ。多分…変な書類にはハンコを押していないと思う…。
「日帝ちゃん、ほんとに花火好きなんだな」
「別に良いだろ?というかこんな特等席…いいのか?」
「日帝ちゃんのためだからな」
「ん…ありがとう」
月の出ていない、花火を上げるには絶好の景色。一月ほどたった夜のこと。仄暗さで米帝の顔は見えないが、弾んでいる声にこちらも楽しい気分になってしまった。
「おっ上がんじゃね?」
鼓膜を突き抜けるほどの爆発音に、ほんの一瞬空襲の記憶がよぎった。苦い思い出を噛みしめながらゆっくりと顔を上げる。
「わぁ…」
「すげえ…」
咲き乱れた曼珠沙華を彷彿させるような赤く大きな花が咲いていた。ただの赤ではない、どちらかと言えば緋色に近いような、ずっと目の奥で反射するような色。声を出す間もなく群青の空に消えていった花火を惜しみながら、米帝の横顔を見た。影を作る横顔がいつもの子供のような表情では無くて、ただただ美しいと思った。
「俺は…お前と見れてよかった…。」
「俺も!ずっと日帝ちゃんと見てたい!」
「…ずっと俺のこと支えてくれるか?」
「もちろんだ!ずっと一緒にようぜ!」
「そしたらまた来年も見れるかもな」
「あのさ…俺何度も言ってるんだけど…好きだから、日帝ちゃんのこと。返事、くれたりしないか?」
「…検討する」
ちゃんと、目で見て分かった。花火は武器では無い。爆弾でも無い。何かと何かを繋ぐ物なのだろう。自分のしたことの後始末が大量に残っている。米帝に迷惑をかける気もないしな。だが、今だけは、嫌な思い出が消化されていく心地よさに浸っていても良いのではないか。
視界を彩る花々を見て思った。来年も
またこの花が見たい
完結しました。8000字…長すぎですね…しかも最後のほうめっちゃ適当になりました…。でも書いてて楽しかったです!ちょっと花火に関するお話を書きたいと思いまして…。ちゃんとハッピーエンドにできたので、自分としては満足です!
また、ゆっくりでも新しいお話書いていきたいなと思っています!
ではまた
コメント
3件
一気読みしました!すごく良かったです!!アメ日帝尊い!ありがとう😇
第4話、読み終わりました……! もう、めちゃめちゃ切なくて胸がぎゅってなったよ……😢💔 米帝が日帝ちゃんの顔に塗料で国旗を塗りつ♡♡♡シーン、すごく苦しかった。でもそのあと花火を見たいってお願いした日帝ちゃんに「いいよ」って言ってくれて、一緒に夜空を見上げる場面、好きすぎる……「ずっと一緒にいようぜ」って米帝の言葉、重いけど温かかった。 「花火は爆弾じゃない、繋ぐものだ」っていう気づき、すごく響きました。 ハッピーエンド、ちゃんと届いたよ。お疲れさま、かにかにさん!🌙🤍