テラーノベル
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光が怪しく反射する扉を開くと、そこはなんともド派手に飾り付けられたお寺の入り口だった。赤や金色に塗りたてられたゴテゴテのお寺に圧倒されたウルフと花子は、あまりの趣味の悪さに言葉も出ない。
「ちょっと、これ見ろよ!」
妙な立て札に気づいたのはクロだ。
『そなたの知りたいことを何でも映してしんぜよう』
「あ……ここのこと……雑誌で見たこと……あります。すごく有名な……占い師が…いるところです……」
物知りげな顔で、花子が呟く。クロとウルフの顔に、期待の色が浮かんだ。
「占い師……ってことは、『楽ダ』のありかも分かるかも!とにかく入ってみよう」
クロを先頭に、三人はお寺の中へ入っていく。
「……まず……受付……」
彼女はそう呟いて、入り口にあった木魚を叩いた。部屋中に木魚の音が響き渡ると……。
「いらっしゃ〜い。あなたたち、初めてお客様ね⭐︎」
どこからか低く色っぽい声が聞こえた。中年の女の人のようだ。
「は、はい!」
クロはどこに向かって話していいか分からず、とりあえず天井に向かって返事をした。
「申し訳ないけど、予約のない方はすぐに占ってあげられないのよ〜。私って超売れっ子じゃない?予約のお客様だけでも、四千九百八十九人待ちなのよねぇ〜♪」
ウルフは思わずのけぞった。
「えぇーっ!?それじゃ、いつまで経っても順番が回って来ないよぉ」
「あらおたく、いい男ね〜、私の好み!そうね、ちょうど五百周年キャンペーン中だし、貴方なら特別に占ってあげるわよ」
声と共に、絵の中から変なオヤジがスッーと出てきた。
「ええっ!男だったの?」
驚くウルフに向かって、花子が囁く。
「……この人……雲外鏡……妖怪の本当の姿を……鏡に映し出すことができるの……」
雲外鏡は、千年以上も昔からある古い鏡の妖怪だ。自分自身も鏡だが、さらに小さな鏡を手にしている。
「そうよ。でも、私に出来るのはそれだけじゃないわ。貴方たちの過去や未来だって映すことができるのよ。さぁ、遠慮しないでこちらへいらっしゃ〜い」と雲外鏡は三人を手招きしている。
「さあ、占いを始めるわよ」
雲外鏡はムムムッと力を込めて、気合を入れた。顔を真っ赤にして、何やら呪文を唱え始める。
「ツブダミアムナツブダミアムナ……」
占っている雲外鏡の顔が段々苦しげになり、時々赤ん坊が泣くような声が漏れる。見ている三人も緊張してきた。
ピカーッ
突然、雲外鏡の身体から眩い光が放たれる。
「うわぁー、眩しいっ!」
しばらくして三人が恐る恐る目を開けると、雲外鏡の手鏡に何かがぼんやりと映し出されていた。
「うわぁーずご〜いっ!お城が映ってる!」
ウルフは興奮して、雲外鏡の頭をペチペチと叩いている。
「待てよ!俺たちが探しているのは、お城じゃなくて……」
クロの言葉を彼は遮った。
「『楽ダ』を探しているんでしょ?」
「ええっ!?ど、どうしてわかったんだ?」
雲外鏡は得意そうに胸を張る。
「それぐらいわけないわ。ズバリ言うわよ!『楽ダ』を手に入れたいなら、アンドロマリウスの『知恵の扉』を開けることね」
「何!?アンコロモチだって?」
「違うわよ!アンドロマリウス」
「アンドロ……マリウス?それだ。墓場でぶるぶるが最後に言おうとしてたのは!」
クロはぶるぶるが溶ける寸前に言いかけた言葉を思い出していた。
「で、それっていったいなんなの?」
「妖怪の名前よ。世界中の宝のありかを知っていて、願いを叶えてくれると言われているの」
「なるほど!そのアンドロマリウスに会えば、『楽ダ』のありかも教えてもらえるってことか」
「さすが〜!」
三人は口々に雲外鏡を褒めちぎる。
「ふふふ、当たり前じゃない。だから言ったでしょ!私は超売れっ子占い師、雲外鏡よ。いつもなら料金として一回につき三百万タマシイをいただくところだけど、今はキャンペーン期間中だし……」
彼は手を伸ばしてウルフの頬をそっと撫でた。
「それに貴方、いい男だから、特別にただにしてあ・げ・る♪その代わり『楽ダ』を手に入れた時は、私にも絶対に見せに来てちょうだいね〜」
雲外鏡はウルフにウインクして、にっこり笑う。
#異世界ファンタジー
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コメント
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読了しました。雲外鏡、いいキャラしてますね。「三百万タマシイ」という単位や、五百周年キャンペーン中の特別無料という鹽梅が、この世界の空気を軽妙に保ちながらも先へ進む仕掛けとして効いてます。「アンドロマリウスの知恵の扉」という新たな目的が提示されて、物語のレイヤーが一段上がった感覚があります。墓場のぶるぶるが言いかけた言葉をクロが思い出す流れも綺麗で、伏線の拾い方が丁寧だなと感じました。ウルフが無意識に頭をペチペチ叩く仕草に愛嬌があって、三人の関係性の居心地の良さが伝わってきますね。