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「ヴェルリナちゃん、大丈夫かしらね……彼処には私達と同等のかなりの実力派祓魔師達が数多くいる、だから万が一の事が起きても大丈夫だと信じているけど、やっぱり心配ね」
「相当心身共に極限状態に壊滅して人格破綻の果てにカニバリズムにも手を染めた程だからな、だが……今はそんな事 を言っている時間はない、彼女の破滅を阻止する為にも、俺達は悪魔の呪いの発生源の特定に乗り出すとしよう」
「ええ、そうね」
二人はヴェルリナの両親の話を頼りにして、そして彼女ら一家が買った大家の人物に直接的に話を聞きたいと接触を試みるが、困った事に会おうにも連絡すらも取れない。
「困ったな……あの家の詳細を不動産屋や大家からなら何かしら知れると思ったが……」
「こうなったら、もう一度あの家に行って隈なく隅々まで調べ尽くすしかなさそうね……もしかすると何処かに呪物が隠されてるのかもしれない」
「そうしてみよう」
二人はそうしてルナリス達一家のあの物件に久方振りに足を踏み入れる……と、その前にあの家の事やその周囲の環境の事に関する資料もあの家の関係者に頼んで何とか入手する事に成功した。確かな証明となる根拠となる事が無ければ『悪魔事件』というのは信用すらもされず、相手にもされない。まさに難題だらけの大きな障壁の事象だ。
「資料が手に入ったのは良いけど、やっぱり妙ね。あの家の販売主や管理者…あの家が悪魔の呪物に呪われた事故物件である事を知ってたのかもしれない、なんて可能性も出てきたわね」
「この今の現状を考えるに、その可能性が高いだろうな。あの家に再度戻って調査をする前に他の超常現象研究家やあの物件の販売主の関係者からもっと情報を得よう 」
こうして、数々の超常現象研家やあの物件の詳細を知っていると思われる人物達の元へ出向き、ヴェルリナに憑依している悪魔の呪いの根源を探す方向に方向転換した。
そんなこんなで、行き当たりばったりで可能性があると思われる人々に会い……それを繰り返していると、やっと有力な情報が手元に入ってきた。そしてどうやら、後日直接会って情報を提供したいと言ってくれる人が現れ、急遽ではあるが会う事になった。
「やっと一方前進できそうね、あの子やルナリスさん達の事が何よりも心配だけど呪いの元凶の呪物を見つけないと、あの家自体に悪魔が巣食っているっていう線は考えにくい、だとするなら何処かに呪いの発生源があってそれが由縁となり、それが凶悪な呪いを生み出している……そして彼女を呪った、そう考えるのが今のところは最善ね」
「ああ、そうだな」
二人は収集した情報を再整理し、資料を読み漁る。
「それにしても、まさか彼方の方から話をしようと誘いを入れてくるなんて、もしかするとそれ程今回私達の前に立ちはだかる呪いというのはかなり脅威的な呪いを持ってるって事かしら」
「まだ対面して話をしていない時点では憶測だけの状況にはなるが、態々彼方の方から話を持ちかけてきたのには、何かそれ相応の理由がある筈だ」
ーーーそして、約束の当日……ーーー
「初めまして、お待ちしていました。急な対談の誘いを受けて下さって感謝します、私は住宅不動産屋で勤務しているベラティスです」
「どうも、私は悪魔や超常現象、悪魔事件に幅広く携わっている悪魔研究家のエリミア、そして彼は同じく悪魔研究家のアルベスです 」
と軽くお互いに自己紹介をして、早速単刀直入に本題の話題に入る。
「それで……何故我々に対談の話を持ちかけてきた理由は……?」
「あの家の事……そして悪魔の災いが起きた由縁である呪物の詳細を手にしたいのですよね」
「ああ、そうだ」
「私は先程も名乗った通り、不動産屋で勤務していまして……だからあの家の事も当然熟知しています、それで……情報提供をしようと決めたんです。あの家は……あまりにも恐ろしい家で……」
「非常に助かる。是非、その話を聞きたい」
「ええ、実はあの家‥…本当は売り出される予定なんてなかったみたいなの、事故物件よりもそれ以上に、あの家には誰にも住ませるなって…でも当初家の販売や売買を生業としている私達にとってはそうはいかない……」
「というと‥?」
「何故そこまでしてあの家だけ販売を拒絶してたんだ?」
「分からない……話を聞き出そうにも誰も話してくれない、だけどあの物件の資料を漁ってたら、こんな物が……」
そう言って彼女が差し出してきた写真は呪物と思わしき黒色の禍々しい雰囲気を漂わせる物、それから祭壇や儀式場と思わしき場所に散らばった大量の黒魔術本。
「この写真は誰が……?」
「詳しい事は何も……」
写真に映っているのは見るからに不気味で背筋が凍る凶悪な呪いを放っていそうな異質の雰囲気を放っていた。
恐らくあの家の何処かの部屋で悪魔の儀式が密かに行われていたのかもしれない。
「因みに呪物の在処はお存知で?」
「粗方の予測にはなるけど、一応……物件の間取り図を丁度持ってきたのでお渡しします」
「ああ、是非お願いしたい」
二人はそうして、ベラティスから現在ヴェルリナ達が住んでいるあの物件の全体図を貰い、先を急ぐ前にそろそろヴェルリナの事が心配になってきた二人は教会へ戻る。
っとその時、「あの……今起きている悪魔事件の事、私もニュースで見ました…何でも幼い少女が悪魔に憑依されて、挙げ句の果てには大量殺戮事件にまで発展してるのですよね」
「ああ、そうだが……まさか君も協力してくれるのか?」
「はい、是非協力させて下さい、とは言っても私に出来る事って言ったらあの物件に関しての情報提供くらいだけど……」
「些細な情報提供でも、悪魔事件に纏わる事なら我々にとっては十分助かります、じゃあ一緒に教会の方へ参りましょう、それに何か他にまだ話せていない情報を持ってそうな顔をしてるし、場所を変えてまた伺っても良いかしら 」
「はい、勿論」
ベラティスの積極的な厚意でかなり有力な情報を収穫できたアルベスとエリミアは情報提供者である彼女を連れ、一旦教会の方へ戻る事に。
三人が教会へ戻り、彼女の状態を見ると悪化して周囲には吐血の跡があって昏睡状態になっていた。幸い、悪魔憑きの状態は生じておらず、落ち着いている様子だ。
「おかえりなさい、良い収穫は出来た‥‥?」
「ああ、有力な情報が得られた…それでその優秀な協力者を連れてきた」
「…………どうも、初めましてベラティスです」
「ご丁寧にどうも、私は此処のシスターです」
悪魔憑きに苦しむヴェルリナは昏睡状態になっており、暴れ出す処か身体が崩壊寸前でかなり弱々しく、全身がぐったりとしている。
「私達が不在の間、ヴェルリナちゃんの様子はどうだった…?」
「何度か暴れて自害しようとしてた時があって、私達を皆殺しにしようと襲いかかってきた瞬間もあったけど、私達が十字架を向けた途端に警戒して鎮まったわ」
「まだ完全に安心とはいかないか、だが……彼女を苦しめている悪魔の元凶、その呪物の所在が判明した」
そう告げた途端、「うう……ううううっ……!!」
彼女の中に巣食い無数の悪魔が反応し、悪魔憑きの事象が再び生じ始め……「ああああああっーーー!」
と悍ましい魔獣のような呻き声を上げた。呪物を奪われる事を悪魔が敏感に察知して逆鱗に触れたよう……。