「オリエンテーション」
「千夏(ちなつ)ー、忘れ物ない? 気をつけてね」
「うん。じゃ行ってくるね」
玄関を出た途端、セミの鳴き声ときつい日差しに足が止まった。
「うわ、あっつー!」
午前中とはいえ、真夏の屋外は 灼熱(しゃくねつ)の暑さだ。
一瞬 怯(ひる)んだけど、オリエンテーションに私が遅れるわけにはいかない。
急いで飛び乗った電車は、夏休みでいつもより空いていた。
ドアによりかかってスマホを取り出すと、昨日やりとりしたメッセージを眺める。
「ちな、明日は早朝バイトだから、終わったらそのまま集合場所に向かうな」
侑(ゆう)は夏休みバイトばかりで、ずっと会っていない。
会ったのは大学側とのオリエンテーションの定例会が最後だったけど、それが寂しいような、ほっとしたような、複雑な気持ちだった。
メッセージを閉じ、今度は昨日*****************
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