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偉そうな口調で、私をそこらの小動物のように見つめて来たのは、顔の上が黒く下半分が黄色い国だった。右肩に少しうねった長い髪の束を乗せ、黄色の紐でリボン結びがされていた。まるで、貴族そのものの姿と彼を重ねる。
「…みすぼらしいな。お前…」
「み、みすぼらしい…だと?!貴様…拾われた分際で良くも…!!」
本音を言っただけでこの怒り様…やはり、思ってた通りだ。親友が消えて心の整理が付いていないことを知らずに平気で物申す…。じゃじゃ馬に付き合ってられず、そっぽ向く。寝ていた木の上で何かが蠢く音がした。見上げると…私を拾った十字軍がいた。
「あ、バレちゃった。さすが、僕が拾った戦士なだけあるね」
「な!?十字軍様!そこで何を?!戦いはどうなされたんです?!」
また大きな声を上げて、驚く。盟友よ…こんなやつとどう抗うというのだ…?十字軍は、軽やかに木から降りて語った。
「まあ、ここに来た理由としてはプロシア、君を探すためなんだ。一日中、宮殿にいなかったと聞いて焦ったよ。けど、日が出る前に見つけたけど」
「何故、私を起こさなかった?」
「そりゃ…驚く顔が見たかっただけだよ」
…戦士とは思えない言動に唖然とした。溜息をつきながら、その場を後にしようとした。
「そそ、プロシア。君に紹介したい子がいるんだ。神聖ローマ帝国が父、オーストリア公国だよ。仲良くして欲しいなと思ったけど…」
「私がこのような野蛮な国となかよくなると?ふん。死んでもそのような事は断る。」
そう言うと、城の方へ戻って行った。私は、邪魔なやつが消えて清々としたが、まだ心の奥底で揺れ動くものを感じた。このままでは行けないと誰かが言っているかのように…
「はあ、そういう自己中心的な所なんだよね…問題が。あれ?プロシア、どこへ行くきなんだい?」
「…強くなりに行く。そして、私はプロシアじゃない…」
「プロイセンだ…」
「そんな睨まなくてもよくないか?まあ、君が強くなる所見てみたいし。期待してるよ」
気味悪く私に微笑む十字軍…私の何に期待しているのか、いまいち分からなかったが考えても無駄なことは、考えないようにしよう。そう思いたち、その場を後にした。
ブランデンブルクと約束したあの日から、四年の月日がたった。雨の日だろうと、日が強く照らし私を邪魔立てしようとも、諦めなかった。神聖ローマ帝国の子たちは、私を成り上がりの変革者のように警戒されていたが、そんなのはどうでもよかった。ただ、彼との約束を果たしたい…それだけを思っての行動だ。
ある日、いつものように朝早くから剣術の練習をしていると、十字軍が私の前に来て話しかけに来た。
「お、随分と捗ってるね。とはいえ、ずっと一人でやってても強く離れないよ」
突如やってきておいて、何が言いたかったのか私には分からなかった。只管に剣を降るって、汗を流した。
「そんなんじゃ、強くわなれないよ。プロイセン」
「…どういう意味だ?私の努力を否定しているのか?」
初めて感じる、心の底から沸きあがる感情。剣の持ち手を強く握り締め、構えようとした。
「構えて、僕に攻撃しようとしても無駄だよ?なんせ、自分以外に敵と戦ってないじゃないか」
そう言われて、納得した。確かに自分を高めるだけのためにやってきた。これじゃ強くなったのかさえ分からない。俯き、自身の愚かさと無力感を感じた。
「そんなに強くなりたければ、僕と相手しない?」
…続く