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「なぁ、成哉は好きな奴いないの?」


中学校に上がって友人からよく訊かれたのがこの問い。恋愛に一段と興味を持つ年頃だから当然と言えば当然。いや、自然な流れだろう。


「特にいない。……かな?」


涼は歯切れ悪く答えたが、自分の気持ちがよく分からない。だからこう答えるしかなかった。

今は友達と外で遊ぶ方が楽しいし、部活は忙しいし、授業は早くも分からないし。

成長期を迎えてることは、流石に気づいてる。友人の中には声変わりをしたり、女子は胸が大きくなっていたり、少しずつだが確実に変化を遂げている。

男子なら、異性に興味を持つ者がほとんど。それなのに自分は、不思議とそういう欲求や興味は湧いてこなかった。

可愛い子とすれ違う時、友人がエッチな話をしている時は確かに意識する。しかしそれは周りに便乗してるだけの様に思えた。“平均”に、“普通”に乗り遅れないための自己暗示だ。分類された性に正しく位置する為。皆が好きなアイドルを話してる時に、仲間外れにされない為。


「俺、最近三組の真鍋のこと気になんだ。成哉、誰にも言うなよ!」

「そ、そうなんだ。……分かった、誰にも言わない」


その“好き”って何を指すんだろう。家族でも友人でもない対象。いまいちピンとこなくて、焦りと危機感を覚えた。好きな子の話をする友人達が、自分から遠ざかっていくようで怖かった。

「運命の人って、本当に存在するのかな?」

「いるかもよ、世界中に一人ぐらい」

友人から返ってきた答えは漠然としていた。変動するけど世界の人口が約八十億人だとしたら、出逢える確率ってゼロに近いんじゃないか。死ぬ前に、せめてすれ違う程度のことはできるんだろうか。


「俺、一生結婚できない気がする。……何となく」

「えぇー? 成哉なら大丈夫だろ!」


友人の励ましにお礼を言いつつ、夕焼け空を見上げた。

もし運命の人がいるとしたら、今すぐじゃなくていい。大人になってから、……なんなら歳とっておじいちゃんになってからでもいいから。せめてひと目会ってみたい。


まだまるで想像できないけど、いつかは一緒になって、色んな夢を話してみたい。そんな不安定で不透明な想いを抱いていた。




ファナティック・フレンド

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