テラーノベル
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リクエスト作品です!リクエストありがとうございました〜😚💞
朝から、ずっとおかしかった。
目が覚めた瞬間から頭が重くて、頭蓋骨の内側を鈍い痛みがぐるぐる回ってる感じ。
立ち上がると一瞬視界が揺れて、吐き気が込み上げる。
今日やばいな……。
そう思いながらも、今日はどうしても休めない日だった。
5人での雑誌インタビューに撮影、新曲のレコーディング。
丸一日、みんなで一緒の仕事だった。
_____
現場に着いてまずはメイク。
鏡の前に座ってライトを当てられると、顔色の悪さが余計に際立って、意識しなくても自分で分かるくらいだった。
いくらコンシーラーで顔色の悪さを隠されても、体調はどうにもならない。
「……仁人?」
隣の席から聞き慣れた声が聞こえる。
勇斗だった。
「お前体調悪いっしょ?」
鏡越しに目が合う。
一瞬で見抜かれてさすが恋人だな、なんて呑気なことを考えた。
「え、そんなことないけど」
無意識に笑って誤魔化すと、勇斗は眉をひそめる。
「嘘だ〜」
「朝顔色やばかったし、仁人」
「ダメだったらすぐ言えよ」
その言い方が、仕事仲間としてじゃなくて恋人の温度で正直きゅんとした。
多分体調が悪いせいだ。
「無理すんなよ」
「おん、大丈夫」
言い聞かせるみたいに答えると、勇斗はそれ以上言わなかった。
だけど、ずっとこちらを気にしてるのが分かった。
__________
インタビュー中。
明るいライト、カメラ、インタビュアーさんからの質問
笑って、頷いて、話して、いつも通りを演じる。
でも、時間が経つにつれて
頭痛はどんどん強くなっていった。
頭の中が脈打って、質問を聞きながらも一瞬意識が遠のく感覚がある。
気持ち悪い。
吐き気が上の方まで上がってくる。
「次の質問いきますね」
その声がやけに遠く聞こえる。
勇斗がちらっとこちらを見る。
目が合った瞬間、心配そうに一瞬だけ表情が歪んだ。
気づいてくれてるんだろうな。
インタビューが終わる頃には、
頭の中が強くぐらぐらしていた。
立ち上がると、視界が一瞬暗くなる。
「……っ」
小さく息を吸い込んだ瞬間、勇斗がさっと横に来て、さりげなく腰に手を添えてくれた。
「大丈夫?」
声は低くて、周りに聞こえない距離。
「うん」
そう答えながらも、胃の奥がきりきりと痛む。
他のメンバーに悟られないように、
勇斗はすぐに手を離してくれた。
__________
楽屋に戻る廊下で、
足元が少しもつれた。
「仁人」
すぐに腕を掴まれる。
勇斗だった。
「おまえ大丈夫?」
近くで見ると、もうメイクでは隠しきれないくらい顔色が悪い。
「……ちょっと、しんどいわ」
その瞬間、
勇斗の表情が変わった。
「もう無理だろ」
「レコーディングまで全然時間あるし」
すぐ楽屋にいるマネージャーに声をかける。
「すみません」
「仁人、ちょっと帰していいですか?」
「体調悪そうで」
迷いのない言い方だった。
__________
スタジオの外。
勇斗の車まで、仁人はくらくらしてほとんど自力で歩けなかった。
勇斗が肩を貸して、ゆっくりと歩く。
「まじでごめん……」
仁人が小さく言うと、
「謝んな」
即答。
助手席のドアを開けて座らせる。
「勇斗大丈夫だよ、無理させてごめん」
「いいからいいから」
「今は乗せられてて」
車のドアが閉まって、
外の音が一気に遮断される。
エンジン音と暖房の風の音だけが聞こえる。
それだけで、仁人の中で張ってた糸がぷつっと切れた。
「……勇斗、」
シートに深く沈み込みながら発せられる声が、いつもの仁人じゃない。
勇斗は一瞬で察して、ちらっと助手席を見る。
「ん?どうしたのじんちゃん」
「…しんどい」
「頭ぐらぐらするし、」
「気持ち悪い…」
仁人はシートベルトをしたまま、顔を勇斗の方に向ける。
それだけで「そばに来て」って言ってるみたいでちょっと可愛い。
勇斗は片手でハンドルを握りながら、もう片方の手を伸ばして仁人の手をぎゅっと掴む。
「ほら、ちゃんと捕まってろよ」
「ん」
指を絡めると、仁人はそれだけで少し安心したみたいにふーっと息を吐いた。
「……はやとの手、あったか」
「…心が冷たいからってか」
少しでも仁人を元気づけようと渾身のボケをしたが、まあ無視されてしまった。まあ体調悪いし、こんなことに構ってる暇ないよな。
なんて思っていると、
「…勇斗?」
「ん?」
「…家着くまでつないだままね」
眠いのかいつもの大きい声からは考えられない小声で告げられる。
勇斗は思わず口元を緩めて返す。
「はいはい」
「特別な」
仁人は目を閉じて、勇斗の手をぎゅうっと強く握り返す。
「……ありがと」
「ずっと一緒にいてくれる?」
「当たり前だろ」
信号で車が止まる。
勇斗は一瞬だけ視線を外して、
仁人の額にそっと手を当てる。
「……熱あるな」
「……うん、あると思う」
「もう喋んな」
「でも……」
「でもじゃねえって」
少しだけ低い声。
それでも、怒ってないのが分かるから、
仁人は子どもみたいに素直に頷く。
「…はーい」
「よろしい」
「ありがとう、大好き……」
突然のデレに勇斗は一瞬固まってから、小さく笑った。
「こんなときだけ素直になるなよ」
「……だってしんどいんだもん」
そう言って、
勇斗の手に頬をすりっと擦り寄せる。
完全にでろでろ。
勇斗はもう、可愛さと心配で限界だった。
「早く帰ろ」
「すぐベッド行こうな」
「今日は俺が全部やるから」
仁人は目を閉じたまま、
安心しきった声で答える。
「……うん……」
車が再び走り出す。
助手席では、恋人が世界一無防備な顔で勇斗の手を離さずにいた。
コメント
1件

ぶろっこりーさんリクエストありがとうございました😭🙏 めちゃくちゃ遅くなってしまいましたが楽しんでいただければ嬉しいです✨