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#溺愛
桜咲かな
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#溺愛
桜咲かな
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#人間不信
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その週末、ジェニの家の玄関先になんと赤の新車のラパンが竜馬から届いた
ブラックのスーツを着たディーラーの男性が、ジェニに手紙と鍵を渡した、そこには竜馬からの走り書きが書かれていた
『君の「鈴木」は浸水であの世にお逝きになられた、赤は僕の好きな色なんだ、君に気に入ってもらえるといいんだけど・・・君の知っている通り、装飾のセンスは僕には無いから、あとは任せるよ ―竜馬―』
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これには驚いた、実はジェニも昔からマイカーは赤が欲しかったが、あの時点でジェニが払える金額の都合上で、中古の水色のラパンになったのだ、最もあのラパンと過ごした日々は、本当にかけがえのない思い出がつまっている、だからジェニは赤のラパンを「鈴木君Jrジュニア」と名付けた
さらに驚いたことに、助手席のシートにあの時、浸水してダメになってしまったスマートフォンとノートパソコンの新品が置かれていた、そしてノートパソコンに挟まっていたメモにも
『バックアップと装飾はこちらも任せる』
と竜馬の筆跡で書かれていた、じわりと涙が溢れてくる
どうして彼はこれほどまでに自分に親切にしてくれるのだろう・・・そこに豊が玄関先に出て来た、明美とチョコレートフォンデュを作っているから、マシュマロを買って来いと言う
兄はあの日、竜馬の家に泊まって帰って来てから落ち着いている・・・彼は兄にいったい何を言ったのだろう?そして兄はジェニに「心の整理がついて社員に会うまでしばらく時間をくれ」と休戦宣言をしてきた、なので仕方がなくジェニもそれを呑んだ、そしてここは兄の家でもある、兄が税金や光熱費を全額払う代わりに明美をここへ住まわすと言うなら、ジェニには追い出す権利はない
ちょうど新車のジュニアを運転したいから、買い物に出かけることにした、ジュニアの運転席を開けたら新車の匂いがフワリと漂って来た、一瞬で心は竜馬へ飛んでいく
つい先日・・・この家で竜馬と愛を交わしかけた時を思い出し・・・膝から崩れ落ちそうになった、ちゃんと頭を冷やして彼との関係を考えなきゃいけないのに・・・自分は何を求めているのか・・・彼はあのメビウスの代表だ、兄の事も含めて、これから先のことを考えなきゃいけないのに・・・
なのに今の自分の頭に浮かぶのは、彼がシャワーを浴びている所とか、彼がチョコレートフォンデュに浸かった妄想とか、彼が浴室で恥骨ギリギリにバスタオルを巻いている所とか、そんなことばかり
―ああ・・・どうして彼は男性なのに、あんなに美しくなきゃいけないの?―
もちろん人間見た目が全てじゃないけど・・・シミひとつない彼の背中・・・濡れた彼の髪がオールバックがべったり頭に張りつき・・・丸い形の良いおでこが全開になると、ハンサムな彼の顔つきが露になる、そして体は・・・シャワーの水の筋が彼の鎖骨から胸筋の間に小川のように流れていって・・・そして彼は微笑みながら大きな手で石鹸を泡立てて私の胸に・・・
ジェニはラパンの前で体をクネクネさせた
彼はジェニの体を隅々まで知っているのに、彼の肝心な所は触らせてくれなかった・・・ジェニが触ろうとすると、頬を染めて自分が一方的に攻められるのは恥ずかしいと言って嫌がるのだ
もしかしたら・・・彼はそのシャイな心を隠すために、わざといつもしかめっ面をしているのかもしれない、私は気が遠くなるほど気持ちが良くて・・・彼が欲しくて欲しくてたまらなくなって・・・
奇跡の様に堅物首切り社長が一変して、優しい瞳とくしゃくしゃの髪が素敵な、胸板ゴリラの竜馬さんは私のもの・・・私だけのもの・・・そして例のごとく兄の邪魔が入って私はまだバージン・・・思い出してハァッと顔に縦線三本を入れてジェニはため息をついた・・・私の人生は出来の良い冗談みたいだ
運命の女神様は絶対私の事をからかっている、それか作者がドSか、ジュニアのラパンのボンネットに突っ伏して泣きたい気分だ
買い物から帰って、ジェニがキッチンへ向かうと、豊と明美が額を突き合わせてクスクス楽しそうに笑いながら、鍋のチョコレートをかき混ぜていた、二人の頬にはチョコレートがついている、ジェニはその光景を不思議に見ていた
コンピューター大学を首席で卒業し、出世街道まっしぐらだった兄は、そりゃ頭にくる所もあるけど、根っこの所では父を必死で助けようとしていた、いいヤツだ
兄と明美がお似合いかといえば、まだ分からなかったが、少なくとも兄をこの家に戻してくれたのは、キャバ嬢の明美かもしれないと思った
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エレベータ事件から、竜馬とはゆっくり会う時間がなかなか取れなかった、そしてとうとう痺れを切らして、ジェニは竜馬に電話をかけた
ジュニアのお礼と声が聞きたかったからだ、そしてある計画も練っていた、4コール目で竜馬が電話に出た、ジェニの心臓がドクンと跳ねる
『もしもし・・・』
「竜馬さん、竜馬さん!誰だかわかる?」
ジェニはすっとんきょうな声で呼びかけた、彼にもらった新しいスマートフォンを握りしめる
ハハッ『ジェニ!』
彼は言った優しい声だった
「切らないで」
『わかった』
ジェニにそう言われたのが意外そうな口ぶりだった、ジェニは両手でスマホを握りしめた
「あの・・・あした土曜でしょ?デートしない?」
ジェニはここで一呼吸おいた
「お願い!!断らないで!!」
彼がハハッと笑った、ジェニはボスンッとベッドに横たわって、彼の温かな笑い声が全身を流れるのを感じた
―彼の電話の声って、いい・・・深くて豊かでうっとりしてしまう―
『僕にどう答えて欲しいか、もう決めてるんなら、なんで訊くんだ?』
「そうじゃなくて、もし都合が悪くても、すぐには断らないでってこと」
『いいよ』
「そうじゃなくて――え?」
ジェニはごくりとのどを鳴らした
「今、なんて言ったの?」
『いいよって言ったんだ、一緒に夕食を食べよう』
「そう」
『プッ・・・なんでそんなにガッカリするんだ?』
ジェニはベッドの上で身をよじった、彼の声が聞けて嬉しくてたまらない、羽がはえてたら、今すぐ彼のもとに飛んで行くのに
「デートしてくれるのに説得しなきゃ来てくれないと思ってたから・・・色々作戦を考えていたの」
クスクス『たとえば?』
その声から彼が機嫌が良いのがわかる、ジェニの頭に色々よぎった、藤子から二枚セットで買ったからと貰ったセクシーな下着ももあるし、彼とベッドで色々したいことを挙げて・・・経験や技術が無い分、熱意だけは評価してもらいたいと言おうと思っていた
それくらい彼に会いたかった、プライドは完全にどこかへ行っていた
「もういいの・・・忘れて」
慌てて言った
『迎えに行こうか?』
「いいえ、私が迎えに行くっ!あなたがプレゼントしてくれた鈴木君ジュニアで」
ハハッ『そういう名前になったのか』
「本当にありがとう・・・パソコンもスマホも!一生大切にする、孫の代まで家宝にするわ、お墓に入れてもらう、あの世にも持って行くの!!」
クスクス『うん』
「それで・・・迎えに行っていい?」
もうジェニは必死だった、竜馬はここで少し間を置くものだから・・・ジェニはギュッと目を閉じた
―どうぞ彼の気が変わりませんように・・・―
『わかった』
ジワリとジェニの目に涙が滲む
『めいっぱいおしゃれして、窓辺で頬づえついて、君を待っているよ』
.:・.。. .。.:・
ジェニはスマホを握りしめながらガッツポーズをした、「マニキュアも必要か?」と彼が笑いながら冗談を言う、そしてジェニも笑った、ジェニは彼の都合も聞かず
「じゃあ7時にね」
と言い渡して電話を切った、ノーと言う機会は与えたくなかった、電話を切り、ベッドの上で叫びながら、何度もジャンプして
その後三時間、ひたすら何を着るかを考えて過ごした
コメント
1件
もうもう、もう!今回のエピソード、胸がきゅんきゅんしっぱなしでした! 新車のラパン、それに新品のスマホとパソコンまで…竜馬さんの「バックアップと装飾は任せる」ってメモ、さりげなくて最高すぎます。ああいう細やかさにやられるんですよね。 そして電話デートの誘い!「いいよ」って即答された時のジェニの戸惑いと嬉しさが混ざった感じ、すごく共感しました。あの「めいっぱいおしゃれして、窓辺で頬づえついて〜」の台詞、もう反則級にかっこいいです。 次、デート本番が待ち遠しい!どうかお邪魔虫の兄が襲来しませんように…!次回も楽しみにしてます!