テラーノベル
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オレンジ髪の少女と、黒羊妖精が仲睦まじく隣を歩く。微笑ましくも想定外の結末を見届ける。まだハッピーエンドにはほど遠いけれど、悪くはない。
「まったく。あの子も変わっていたけれど、今度の子はとびきり変わっているな」
色々ねじ曲がって、歪んで、壊れかけてしまったけれど、なんとか二人の心が修復しつつある。おそらく人の姿であれば、この結末には辿り着かなかったのだろう。
「神様、また下界を見ていたのですか?」
「私の可愛い子供たちが、どんな生き方を選んでいるのか興味あるしね」
「ほどほどになさってくださいね。この間、神獣が下界に落ちて大変だったのですから」
「そうだね」
白狐の妖精が寝そべりながら、私に告げる。そんな従者の頭をそっと撫でた。モフモフが心地よいので、あの子の気持ちが少し分かる。
「アレのせいで私の子供が酷い目にあったからのだから、ちゃんと報復して、叱っておいた」
「あーー。叱っちゃったんですか……。ちなみに、どなたまで叱ったのです?」
「ん~~。元王族には罪を償いきるまでは呪われ続けるだろうね。仮にも全てを知っていてあの子を巻き込んだのだから。教皇はここまでになるまで放っておいた罰として力の制限をかけて、ペナルティも与えておいた」
白狐の尻尾がへにゃりと、垂れ下がった。今回は国一つを更地にするなど派手なことはしていない。魔物の脅威が今度も続くだろうけれど、それは自業自得なので知ったことではない。
「ああ。今回の騒動の首謀者は、戦神だったようだよ」
「え。どうして?」
「私と本気で戦いたかったらしい。今までも戦いを挑まれていたのだけれど、無視していたら私を怒らせるために私の子供を追い詰めたって。あははっ、とんでもない思考だよね」
「あー、そこまでして戦いたかったのですね。で、今度はどこまで破壊したのですか?」
白狐は戦神の愚かさに溜息を吐きつつも、私の行動が気になるようだ。そこまで破天荒なことはしてはいない。たぶん。
「お前たちの事後処理が大変だと思って、今回は何処も削っていない。ただ戦神を邪竜に作り替えて放逐したぐらいだよ」
「な──っ、何しているのですか!?」
素っ頓狂な声を上げるが、殺さなかっただけマシだと思ってほしい。
「アレはもう少し自分を知るべきだと思って、別世界にポイしてきたから大丈夫だよ」
「全然、大丈夫ではないのでは?」
「大丈夫、大丈夫。邪竜にも呪いを掛けておいたから。邪竜と同等の力を持ち、愛した者に殺されないと解けない──とね」
白狐は呪いの解呪方法に慄いた。呪いが解けても幸せにはなれないし、間違いなく不幸でしかない未来。暇つぶしで自分の大事な子たちを傷つけた罰だ。自分も味わって気付けばいいが、気付かなくても気付くまでその呪いは続く。
何度でも蘇る。そういう類いのものだ。
「や、やりすぎでは? 他の神々に怒られませんかね?」
「ああいう手合いは一度痛い目を見ないと分からないだろうし、自分に大切な者がいないからああなるんだ。私の可愛い子を寄って集って虐めていたんだ。報復としては妥当だと言いたいね」
ふわりとオレンジ色の髪が逆立ち、周囲の雲を吹き飛ばした。いけないいけない。まだ少し苛立っていた気持ちが残っていたようだ。
間近で感じて白狐の尻尾がブルリと震えている。まるで静電気が起こったようで、ちょっと面白い。いやちょっとやり過ぎたか。
「り、理性が残っていたようで何よりです。……それにしても高々数百年で約束を違えるなど、人間は愚かですね」
「本当にその通りだよ。忘れないようにしっかり言い含めていても、どこかで継承されていた伝統や伝承、約束事が途絶える。そんなんだからいつまでも歯車が安定しない」
やはり短命な人族では長い時の中で、途絶えやすいようだ。なんとも歯がゆいものだ。
「人間は短命で浅慮ですから、もう少しやり方やシステムを変えるほうがいいのでは?」
「そうだね。願わくは私の可愛い子供たちが幸福であるようにしたいな」
呪いと願いは表裏一体。
そして忘却をいくらしようとも、魂に刻まれた思いの深さまでを完全に取り除くことは難しい。心と体が癒されていく中で記憶の欠片は夢を媒体に反映され、浮上する。
そしてそれは必ずしも悪夢とは──限らない。
コメント
1件
ああ、神様視点だったんだ…!裏側でこんなことが起きてたのね。ちょっと怖いけど、ちゃんと愛がある感じがじんわり来た。白狐とのやりとりが可愛くて、でも告げられる真実の重さにドキドキしたよ。まだハッピーエンドには遠そうだけど、希望の光は確かにある…って信じたいな。神様のキャラ、めっちゃ好きになった🤍