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sm.side
俺には恋人がいる。昔から持ち前のオーラで周りの人と仲良くなり、柔らかい性格で相手と打ち解ける。そんな彼……ぶるーくが俺の恋人だ。
だけど。…そんな昔から誰にでも平等に優しくて、きれいなぶるーくだから。俺はいつからか「ぶるーくの汚いものが見たい」なんて思うようになって。
(悪い彼氏だなぁ…、)
なんて、ぶるーくに気付かれないように作戦を立てた。
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翌日、俺は早くに起きて自分の分とぶるーくの分の弁当を作っていた。幸いなことに料理はぶるーくから教わっていたから、手間取ることはなかった。
「スマイル、起きてる〜? 学校行こ!」
いつもの時間になってぶるーくが一緒に行こうと家に来た。俺たちは昔から学校に行くのはいつも一緒で、いつからかこれが日課になっていた。
「…ん、待って今行く」
準備を整えて家を出ると、俺の手荷物を見たぶるーくは目をぱちぱちさせてから、早速と言わんばかりに質問してきた。
「…? スマイルそれ何、?」
俺は手に持っていたそれを、ぶるーくの前まで持ってきて説明する。
「弁当。…今日さ、いつもより早く目覚めちゃって」
「俺いつも購買だから、たまにはね」
なんて返すと、もう1つの手荷物を指差して、こっちのは…?と聞いてきたので、ぶるーくの分だと答えてやる。それから続けて
「でも……そっか。ぶるーくいつも弁当だったよね。…ぶるーくに教わったの、作ってきたんだけどな」
と口にすると
「…え!僕が教えたのって朝簡単に作れるハンバーグとか、、だよね…?!」
「スマイル作ってくれたの?!え〜、僕スマイルが作ってくれたお弁当も全部食べるよ!!」
と言って、ぶるーくは見えない尻尾を大きく振りながら分かりやすく喜んでいて。結局お昼は別のグループで食べるとの事で、楽しみは放課後かな、なんて心が踊った。
お昼が終わって授業も終わると、俺たちは教室に残って2人になるのを待った。人が居なくなると、机に突っ伏していたぶるーくに声をかける。
「…、ぶるーく大丈夫?」
「別に本当に全部食べなくても良かったのに、」
なんて。本当は全く違うことを考えているくせに、思ってもない言葉を貼り付けて言葉にする。
「えへへ…、…だいじょぶだって、!」
「せっかくスマイルが作ってくれたんだよ…?」
何も知らないぶるーくはこんな俺にも変わらず優しくて。俺はそんなぶるーくの優しさに漬け込んだ。
「ふーん…?じゃあ、さ」
そこまで言ってぶるーくの臍部を強く押す。案の定、そこは未だ消化しきれていないようで
「?! っ…ちょ、スマイル……、?!」
「な、にしてるの…、?」
何も知らないぶるーくが止めに入るけど、俺はそれを無視して続けた。
「ん…、待ってスマイル、っ…は、きそ……」
「っ…は、ねぇ待ってよ…、!スマイルっ、」
ぶるーくが吐いたのは、それから少ししてだった。ビチャビチャと音を立てて出てきたそれに、思わず笑みが溢れる。
(やっと見せてくれた、…ぶるーくの汚いもの)
俺は思わず声に出しそうになったその言葉を飲み込んで、心配の言葉を並べる。
「…ごめん。しんどかった、よね……」
「ぶるーくが全部食べてくれたのは嬉しかったんだけどさ、…消化が遅くなるのは身体に悪いって聞いたから…、」
ぶるーくのためを思って。
ここまで言うと、ぶるーくは目を見開いて驚いた。それから、すぐに真っ直ぐに向き直って俺を見る。…その顔は酷く汚れていて、ぶるーくから出されたそれは制服にまで付いていたけれど。
「…ねぇ、スマイル」
「こんな汚い僕でも、好きでいてね…、?」
なんて言った。…俺がぶるーくを嫌いになる事なんて、過去にもこれから先にも絶対に無いことなのに。
けれど、あえて俺はその言葉は抑えてぶるーくに短く言葉を返した。
「もちろん。」