岩本の家にずんずん入って行った渡辺は、そのまま寝室に向かった。
岩本も急いで追いかけるが、一瞬遅れたせいで扉の鍵を閉められてしまった。
ノックをするが、反応はなし。
💛おーい
💙……
💛翔太、入れて
💙照
部屋の中から渡辺のくぐもった声が聞こえてきた。
岩本は不安になって聞く。
💛なに?なんか怒ってる?
💙今日はしたくない
💛えっ
💙だーかーら、したくない!!!
💛……
💙それでもいいなら入れてやる
岩本は動揺したが、思い直して答えた。
💛…わかった。入れて?
💙絶対な
💛うん、約束する
キィ……
寝室の扉がゆっくりと開く。
💛………!!!
ドアの向こうには、一糸まとわぬ渡辺が立っていた。
身体にはシーツを巻いただけのようだ。
薄暗い部屋の中、窓から入る光の下、渡辺の真っ白い肌が浮かび上がっている。
よく見ると、脱いだ服は、ご丁寧に下着も含めて全部脇に畳んで置いてあった。
💙テストしてやる
💛何を?
💙お前がちゃんと俺を好きかどうか
💛何のために??
岩本の声が上ずる。
渡辺は岩本を見て、さもおかしそうに笑った。
💙シャワー借りるな
💛う、うん
唯一まとっていたシーツも脱ぎ去って、生まれたままの姿でさっさとバスルームへ行ってしまう渡辺。
あっけに取られて見送る岩本。
苦難の夜の予感がする。
長い夜が明けて永遠に来ないかと思われた朝が来た。
昨夜はほとんど岩本は眠れなかった。
山へ行って疲れたはずなのに、帰宅してからの疲れの方がきつかったように思う。
愛しい恋人はシャワーから上がって、入念な肌の手入れを済ませたら本当にさっさと寝てしまった。
今も絶賛爆睡中だ。
こっちを向いてる口元が、なんとなくアヒルに似ている。
可愛くてたまらないが、下手にキスをしてしまうと、これ以上我慢できる気がしないので岩本は無理やり起きることにした。
コーヒーを淹れる。
向井に分けてもらった豆のいい香りがキッチンに立ち上る。
💛ちょっと走って来るか…
渡辺が起きる気配がないので、このままランニングに出掛けることにする。
身体を動かせば少しは頭もスッキリするだろう。
帰ったら今日の分のトレーニングもしてしまおう。
岩本は重たい体を引きずって、外に出て行った。
💙ん……
渡辺が目が覚ますと、隣りに恋人の姿はなかった。
少し頭痛がする。
昨日は目黒と飲んで、それから…
記憶を辿る。
💙そうだ、やりたくないって言ったんだった
急に可愛い岩本に意地悪をしたくなって、接触を拒むようなことを言った。
そして岩本は本当に指一本触れて来なかった。
💙それはそれでむかつくんだよな
そんな勝手なことを呟く。
とりあえず、岩本のところへ文句のひとつでも言いに行こう。
渡辺はベッドから出た。
💙おーーーい、照?
誰もいない。
キッチンには岩本愛用の使用済みマグカップがひとつ。
バスルームも、洗面所も、他の部屋も。
くまなく探してみたが、岩本の姿がどこにも見当たらない。
一抹の寂しさを感じたその時に、渡辺の携帯が鳴った。
深澤からだった。
💙もしもし?
💜あ、なべ!今どこにいる?
深澤の声は切羽詰まっている。
何か嫌な予感を感じて、慎重に答える。
💙照んち
💜いいか、落ち着いて聞け
唾を呑み込む。
💜照が、事故に遭った
コメント
6件
んなっ…!!!
ぎゃああああ! 数分間事故って、推敲載せてしまってた😱😱😱 読んだ方、読まなかったことにしてください🤮🤮🤮 まじでありえない! すいません。。。