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「はー……」
「ふー……」
「あ~……」
「ピュウ」
魔力通信機の設置工事は、あれから十日ほどで
無事に終了し、
そのノウハウを得た技術者たちは、今後は
各国間のホットライン建設に従事するため、
各地へ出払っているらしい。
ただランドルフ帝国の脅威を抱えているため、
ウィンベル王国を中心として各国へ通信網を敷き、
その後余裕があれば、最恵国待遇国同士の間で
繋げるという事だ。
私たちはと言うと―――
一仕事終えて公都『ヤマト』へと戻り、
家族でお休みモードに突入していた。
「もーしばらくは何も無いよね?」
人間の方の妻、メルがそのセミロングの
黒髪を振り子のように左右に揺らしながら
聞いてくる。
「相手次第かなあ。
いざ戦争になるのなら、準備やら何やらで
1年は攻めてこないと思うけど。
まあ普通ならね」
俺の言葉に、今度はドラゴンの方の妻である
アルテリーゼが、その豊満なボディをベッドに
うつ伏せに預けながら、
「む? という事は―――
普通ではない可能性もあるという事か?」
「ピュピュ?」
その問いに私は上半身を起こし、
「どちらかと言うとそっちの方が楽かも。
焦ってろくに兵力や装備も無い状態で
突っ込んで来てくれた方がやりやすい」
するとメルも上半身を起こし、
「でもでも?
水中戦力で撃退するって言っても、
確か1回きりの切り札なんでしょ?
中途半端な戦力相手には使えなくない?」
当然の疑問を口にする妻に、
「全滅させる事が可能ならやるよ。
要は相手に情報を渡さない事が重要なんだ。
だから―――
大軍相手なら何隻か逃げられて、次からは
対策されて使えなくなるけど、
少数なら全部沈めれば、情報の流出は防げる。
情報が無ければ相手も対策のしようが無い
わけで。
それなら何度でも使える手札になる」
それを聞いたアルテリーゼは微妙な表情となり、
「何と言うか……
時々シンは考える事が本当にエグいな」
「ピュ~」
それに対し、俺は両腕を組んで天井を見上げる。
「そこはなあ。
あっちの被害より、こっちの安全が最優先だと
思っているし。
そりゃ敵味方ともに、なるべく被害が
抑えられれば、それに越した事はないと
思っているけど」
「いやーでも全滅って……
皆殺しって事でしょ?」
さらりと怖い事を言うメルに、私は首を
ブンブンと左右に振る。
「え? だって……
海の上ぞ?
沈んだらどうにもならなくないか?
助けようにも、ラミア族や人魚族とて
数に限りがあろう?」
「ピュルルゥ」
このあたりは自分の説明不足か。
まあ確かに、海からやってくる海上戦力を
全て沈めろって言えば―――
イコール皆殺しにするようなものだと思われても
仕方がないだろう。
「あー、メルとアルテリーゼにはまだ言って
なかったけど、そっちはそっちでちゃんと
考えていたんだ。
そうだなあ、公都にもいくつかあった
はずだから……
見に行ってみる?」
「ほーお?」
「ふむ、対策は考えておったのか。
では見せてもらおうぞ」
「ピュ~」
そこで私は家族を連れて―――
公都南に新しく出来た、亜人・人外専用居住区まで
出掛ける事になった。
「おお、シン殿」
「ニーフォウルさん。
お久しぶりです」
南側地区・人造湖の近くで……
濃い青の長髪をした、筋骨隆々な
ラミア族の男性が出迎える。
本来はここより南東にある、ラミア族の湖で
その長をしているが、人間との共存と各種族の
生活環境を再現するこの特別地区に、折を見ては
足を運んでくれていた。
「母エイミさんや娘エイミさん、
アーロン君はお元気ー?」
人間の方の妻が軽く手を振り、
「ええ、変わりなく。
妻の実祖父母である、ロッテン夫妻も
一緒におりますので―――
あのお2人も、最近は若返ったようだと
言っておりましたよ」
「それは何よりじゃ」
「ピュピュ~」
ニーフォウルさんの返しに、ドラゴンの方の妻も
和やかに答える。
「それより、お話は魔力通信機で聞きましたが、
何でも例の救命魔導具を見たいとか?」
「ええ。
お手数ですが、お願い出来ますか?」
すると彼は、手の平の上に球形の何かを
載せて見せてきた。
「これ?」
「救命魔導具とはこれかや?」
「ピュイ?」
家族は全員疑問の声を上げる。
まあ、これを見ただけではわからないよな。
「ははは、確かにこれでは丸い何か
ですからねえ。
ではやってみる事にしましょう」
そう言うとニーフォウルさんは蛇状の
下半身をくねらせ、
そのままザブン、と湖の中へ潜っていった。
「??」
「水中で何をするつもりなのだ?」
妻たちはそれをただ不思議そうに見つめて
いたが、
「ん?
何か泡が……」
「ふむ?
―――!」
私たちが見ている前で……
『それ』は水中から打ち上げられた。
水面から二・三メートルほどの高さにまで
上昇すると、重力に従って着水してそのまま
浮かぶ。
それは平べったい小船のようにも見え、
「どうですかな?
よくご覧になりましたか?」
「ええ、ありがとうございます」
ニーフォウルさんがその上に乗って、
こちらにいる私たちに手を振っていた。
「へぇー、こんなのがねー」
「また面白い物を考えついたものだのう」
「ピュピュ~」
救命魔導具を手に取って、家族は口々に
感想を述べる。
「例の下水道の施設整備班用の装備から、
改良を重ねて完全空調の潜水服を作った時に
思いついたんだ」
この世界で空調服を作った事はあるが、
それはプロペラを回して外部から空気を
取り入れるタイプのもの。
そのため、風魔法用の魔導具を使うより
コストが安いと喜ばれたが―――
ではその風魔法を発する魔導具はどこから
空気を? という疑問が浮かんだ。
結果として、その魔導具は風を発生させる、
イコール『新たな空気を発生させる』という
結論に至った。
物理法則無視もいいところだが、そもそも
魔法前提の世界だしな。
そのため鉱山用の装備にしろ潜水服にしろ、
内部で空気を生産出来る分、外に排出さえ出来れば
良くなったのだ。
もちろん制限はあるが、魔力があれば
動力を補給出来るため……
中の人間の魔力が尽きるか、壊れない限り
使い続ける事が出来る。
ある意味チートもいいところだが、
魔法そのものがチートだしな。
「で、風魔法で空気を生み出す魔導具と、
ゴムで形作った船を組み合わせたのが
コレってわけ。
この通り小さいし、作動させると一気に
膨らんで浮かぶから―――
これならある程度は、船が沈んでも助ける事が
出来ると思う」
「しかし、相手を倒すだけではなく、
助けるところまで考えているところが
シン殿ですな」
ニーフォウルさんは水中戦力の中でも主力の、
ラミア族の指揮官ともなる人だ。
そのため、万が一開戦した時の事や、その時に
水中戦力メインで戦うという事もわかっている。
「願わくば、これを使う機会が無い事を
祈りたいですがね」
「そうですね……」
と、彼と私が戦争の可能性について話していると、
「じゃあシン!
あれ乗せて乗せて!」
「せっかく作ったのだ。
これは一つ、試してみねばのう」
「ピュー!!」
と、家族は新しい玩具でも見るように、
ゴムボートに乗る事を希望してきた。
「まあ、もし捕虜を乗せたら岸まで運ばねば
ならないわけですから……
検証がてら、乗ってみてはどうですか?」
明らかに彼が気を使って提案してくれたので、
私は家族と共にボートに乗り込み、
ニーフォウルさん引率の元―――
人造湖一周の遊覧を楽しんだのだった。
「2人とも、使者としての役目、ご苦労だった。
面を上げよ」
ランドルフ帝国帝都・グランドール―――
その王宮の謁見の場で、
ティエラ・ランドルフ王女、
ラモード・ブラン外務副大臣が跪くのを、
周囲に立ち並ぶ身分の高そうな者たちと、
警護の騎士たちが見守り、
そして皇帝、マームードが見下ろす。
ランドルフ帝国の象徴、最高責任者。
その威厳と威信を称えるはずであるこの場所で、
ティエラとブランは複雑な思いを抱いていた。
「(華美な装飾、絨毯も幕も……
調度品、その鋲の一つに至るまで、あらゆる
贅が尽くされていますが)」
「(ラーシュ陛下との会談を終えてきた
後では―――
何とも、悪趣味極まりなく感じてしまう……)」
二人は皇帝の言葉に従い顔を上げたが、
微妙な表情は隠せず、
それを緊張と疲れによるものだと判断した
皇帝は、労いの言葉をかける。
「本格的な報告は後日で構わぬ。
長旅の疲れを癒すがよい。
ただその前に、余の問いに答えよ」
「はい!」
「何なりと」
パープルの長髪の女王と、スキンヘッドの副大臣は
即座に応じる。
「そう構えるな。
何、余の個人的な興味だと思ってくれ。
まずはティエラよ。
そなたが向こうの大陸で―――
もっとも感心したものは何だ?」
「感心……ですか?」
皇帝はフッ、と笑い、
「何も深く考える必要はない。
実際に向こうに出向いた人間として、
率直な感想が聞きたいのだ」
そこでやや気持ちが軽くなった彼女は、
少し考えてから口を開き、
「卵……でしょうか。
わたくしは二度目ですが―――
今回はウィンベル王国の市井で、
物価や流通も見てきました。
そこで卵が、子供の小遣い程度の値段で
売られておりまして、
食文化に、ずいぶんと力を入れていると
感じました」
ティエラの言葉に周囲から、
『そんな事に感心したのか?』
『しょせんは女よ』
『目の付け所が違うのでしょうな』
と、嘲笑するような小声が発された。
「…………」
だが一人、皇帝は笑わなかった。
「(確か報告にあったウィンベル王国は、
人口50万ほどの国と聞く。
人が集まる場所で、それだけの卵を
安価で流通させる事が出来るのは―――
その供給が可能なだけの生産施設か手法を、
確立しているからに他ならない)」
マームード皇帝は、今度は外務副大臣に向かい、
「ではブランよ。
お前がもっとも奇妙に思った事は何だ?
これもティエラと同じく深く考える必要はない。
率直に感じた事を話すがいい」
彼は一度口を開きかけ、閉じる。
そして意を決したかのようにまた開くと、
「亜人、人外の扱いにございます。
1人として、隷属の首輪や拘束用の魔導具など、
身に着けている者はおりませなんだ」
その言葉に、周囲は先ほどとは違ったざわつきを
見せる。
『バカな、ワイバーンまでもか?』
『本当に共存しているとでもいうのか』
『危険過ぎるではないか』
今度は当然の反応というべきか、口々に
疑問と不審が発される。
それを聞いた皇帝は、また思考の中に沈む。
「(人間よりもはるかに力の強い種族、
ドラゴンやワイバーン―――
反旗を翻せばその被害は甚大。
その対策が無いという事か?
腹の底から信頼し合っているという事か?
そのような事、可能なのであろうか)」
疑問符を付けつつも表情には出さず、
「なかなか興味深い話が聞けた。
今日のところは下がってゆっくり休むがよい。
他の者も接触は控えよ」
「はい……!」
「ではこれにて失礼いたします」
そこで帰国報告はお開きとなった。
「でも意外でしたわ。
ブラン殿があのような事をおっしゃるなんて」
「人間以外の種族の扱いについて、ですかな?
仕方ありますまい。
この目で見てきた事です。
陛下に促され、とっさに出てきたというのも
ありますが」
王女と外務副大臣は並んで廊下を歩きながら、
謁見の場での事を語り合う。
「ティエラ様こそ、卵とは……
それもとっさに出てきたのでしょう?」
「ええ。ですが―――
その事を聞いたお父様は、表情を
変えませんでした。
少なくとも、そのような事が可能な国力と
いう事は、理解されたはずです」
その返しに、ブランはうなずく。
「それにしても、陛下の最後のお言葉は
有難かったですわ」
「まったくですぞ。
我らが持ち帰ったお土産について―――
問い合わせが殺到していると聞いております
からな。
1日くらい、息抜きでもしないとやってられ
ませんよ」
互いに苦笑し合い、二人は歩みを進める。
ちなみに、皇帝の言葉もあって確かに彼らには
接触する者はいなかったが……
その分周囲が質問攻めにさらされる事を、
この時の二人は知らなかった。
「えーと……
じゃあ、いいですか?」
「はい、と言っています」
私の問いに、獣人族の青年が答える。
数日後、私はメル・アルテリーゼ、それに
レイド夫妻、
レイド君の愛騎として―――
ワイバーン『ノワキ』さんも共に川に来ていた。
川と言っても、公都近くのものではなく、
ドーン伯爵家からさらに北の上流……
以前、釣りのテストを兼ねていった、
大河とも呼ぶべき大きな河だ。
(■143話 はじめての つり参照)
「しかし、やっぱでかいッスねー」
「でもこれだけ大きな川なら……」
褐色肌の次期ギルド長と、その妻である
ライトグリーンのショートヘアをした、
丸眼鏡の女性がそれを見上げる。
見上げた先は―――
直径五メートルはあろうかという巨大な
甲羅を背負う、亀。
以前、エンペラー・ゲイターと戦っているところへ
加勢して助けた、ロック・タートルだ。
(■136話 はじめての みつ参照)
その『彼女』が獣人族の通訳を付けて、
同行していた。
「結構早く歩けるんだねー」
「あの時は、卵を抱えていて本当に
動けなかったのだな」
とはいえ、その巨体が移動するのだから、
ルート上の草木はほぼなぎ倒されていたが。
どうして『彼女』が同行しているのかというと、
話はゴムボートに初乗りした翌日にさかのぼる。
『巨大な魔物が接近してくる』との一報を受けた
私たちは、すぐに指定の現場へと直行したが、
それが彼女、ロック・タートルであった。
獣人族に通訳を頼み―――
さすがに亀の通訳は困難を極めたのだが、
それでもわかった情報を整理すると、
あの時の卵は全て無事に孵化したらしい。
そして彼女は、安全に我が子を育てられる
環境を求め……
かつて自分を助けてくれた、ドラゴンが飛んで来た
場所を目指したのだという。
到着した公都には人外や亜人専用の特別区があり、
そこには人造湖まであって、
そこに子供ともども、住まわせてくれないかと
懇願してきたのだ。
だめなら子供だけでも、そしてどんな事でも
言う事を聞くと―――
そこで、水中戦力の補強になるかどうか……
またどのような性能なのか、テストしに来たと
いうわけである。
もし水中で自在に動き回れるというのであれば、
ラミア族・人魚族の水中基地として、これほど
頼もしい存在はいない。
ちなみに子亀たちの方は、すでに甲羅が直径
一メートルほどの大きさがあり、
人間・人外問わず子供たちを、浦島太郎のように
乗せてプールや人造湖を泳ぎまくっている。
「じゃあ、水に入ってください」
通訳の獣人族越しに伝えると、彼女はザブン、
と水しぶきを上げる。
「向こうの対岸まで潜っていって、
上陸してもらえますか?」
続いて指示を出すと、水中へと没する。
しばらく待っていると、向こう岸にザバーッと
水柱が上がり、
「早っ!」
「あの巨体で、結構泳げるものなのだのう」
妻二人がまず驚きの声を上げ、
「子亀たちが結構早く泳ぐのは知って
いたッスけど」
「ラミア族と遜色無いですねえ」
レイド君、ミリアさんも目を丸くする。
潜水可能、水中行動可能、しかも速い。
ひょっとして無茶苦茶な戦力を手に入れて
しまったのでは、と―――
自分でも嬉しい誤算に困惑してしまう。
「戻って来てくださーい!!」
私が向こう岸のロック・タートルに手を振ると、
彼女も察したのか、再び水中に没する。
岸から離れて上陸を待っていると、
「!?」
「む、何じゃ?」
突然、川の半ばで水しぶきが上がり……
全員がそれを見上げる。
大きな円盤のようなものが飛んでいる。
直径にして十メートルはあるだろうか。
それは高度を下げ、やがて着水すると、
「あ、あのロック・タートルが乗って
いるッス!」
「あれは……
紅エイ!?」
レイド夫婦の言葉で、魔物の出現とわかり、
そしてその巨大なエイの怪物は―――
ロック・タートルを乗せたまま、再び上昇する。
どうやら、ここから遠ざかろうとしている
ようだ。
私は妻二人の方へ振り向き、
「メル、アルテリーゼ!」
「りょー!」
「うむ!」
ドラゴンの姿となったアルテリーゼに、
メルと一緒に乗って―――
紅エイの追跡を開始した。
「エイって飛ぶんだなあ」
「シンの世界のエイは飛ばないの?」
上空から、巨大エイの姿を追いかけつつ、
メルと話す。
下から見た時は白っぽかったけど、上から見ると
真っ赤な目立つ色を確認出来た。
「少しだけなら、水面から飛び上がる種類が
いるけど―――
少なくともあんなに飛ぶ事はしないなあ」
時々着水するが、あの巨大エイは一回で
数十秒ほど、『飛行』し続けている。
しかもあのロック・タートルを乗せて、だ。
そしてその彼女はというと、エイの背中に
噛みつき、何とか解放されようと奮闘していた。
「しかし、ロック・タートルをさらって、
どうするつもりなんだろう?」
俺が首を傾げると、下から、
「そんなの決まっておろう。
獲物を適当な場所まで持って行く
つもりじゃから―――」
「だよねえ」
と、二人の妻の意見が一致する。
弱肉強食に異を唱えるつもりはないけど、
こちらの味方を狙ったのだ。
今回は運が悪かったと諦めてもらおう。
「アルテリーゼ、紅エイの真上について」
「わかったぞ」
いかに飛行出来るエイといえど、空の機動力は
ドラゴンと比べるべくもなく―――
あっさりと指定の位置につく。
そこで、私は飛んでいる巨大エイを見下ろし、
「その巨体で水中から飛び上がり、
これだけ長時間の飛行を維持する……
そんな魚類など、
・・・・・
あり得ない」
「―――!?」
そうつぶやくと、明らかに紅エイの飛行速度が
落ちた。
ロック・タートルを乗せたまま、滑空するように
段々と水面に近付き、
轟音と共に着水し、巨大な水柱と水しぶきが
混ざった大波を発生させた。
「助かった、と言っております」
その後、『ノワキ』さんに乗って来た、
レイド夫妻・通訳の獣人族の青年と合流。
無力化して浮かんだ巨大エイは、アルテリーゼと
ロック・タートルが何とか岸まで引き上げ、
一段落した頃、改めて彼女にさらわれた時の
状況などを聞いていた。
「多分、底に潜んでいて……
自分がその上を通過する時を狙われたのでは
ないかと」
「でも何で、往復したはずなのに―――
帰りだけ狙われたのかな」
単にタイミングを外しただけかも知れないが、
気になった事が意識せず口に出る。
「魔物の中には頭いいのもいるよー。
群れの先頭は見逃して、安心した後続に
襲い掛かるとか」
「もしくは、最初は大きさ的に無理だと
思ったが……
戻ったら逃げられると思い、強行したとか
かのう」
そりゃ相手は生物だし、知恵もあれば考えも
するか。
それはそれとして―――
「これ、どうなんだろうな……
食べられる?」
俺の問いに、レイド夫妻は両腕を組んで
悩み、その横で獣人族の青年がブンブンと
首を左右に振る。
「……どうッスかね」
「公都で、ギルド長に聞いてきます?
運ぶとなれば、パック夫妻にも連絡した方が
いいと思いますし」
と、まずはレイド君とミリアさん、ノワキさんが
公都まで戻って紅エイ討伐を報告。
その時ジャンさんから『食えるぞ』と、
お墨付きをもらい、解体組と共に現場に帰還。
ある程度分解し、先に紅エイはドラゴン・
ワイバーン組によって運ばれ……
私やメル、通訳の獣人族はロック・タートルの
背中に乗って、陸路で公都に戻った。
後、公都では紅エイの料理として、煮つけや
焼き魚、天ぷらやフライが提供されたが、
一番人気があったのは、唐揚げと竜田揚げで
あった。
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