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___到着。
(….絶対、絶対暴走するな。真を傷つけることだけはするな突っ走るな。そもそも真は俺に対する気持ちが恋なのかもよく分かってないんだから、そんな気持ちの整理がついてない状態でこんなの…よくない。やっぱり距離を取ろう。いつも通り。)
「弦……もう家着いたぞ….」
「…真、オムライス用意してくれてたんだね….ありがとう、一緒に食べよう」
ギリギリの理性で踏みとどまっている俺は、できる限り真と距離をとるために2人分のオムライスを温めスプーンを取りに行く。
「弦」
「大丈夫、座ってて。」
何か言いたげにこちらを見る真の言葉を遮り宥める。珍しく真が大人しいせいか、こちらも”いつも通り”が何なのか分からなくなった。
「弦!!」
1人悶々としている中そう呼ばれ、目を開けると隣に真が立っていた。
「ま、真…?座ってていいって言ったのに」
「…やっぱり…飯より先に話がしたいよ」
「…………俺は…..お腹空いたな」
「あぁ….?わ、わかった….」
普段食事を水とゼリーのみで済ませる自分のこんな言い分、嘘だと気づかれるのは分かっていた。
それでも、今近くに寄ってまた取り返しのつかないことをしたら。そう思うと怖かった。
「…….美味っ….!」
「へへー、だろ?」
真が作ってくれたオムライスは、間違いなく今までの人生で食べてきた何よりも美味しかった。
嬉しそうに笑いながら食べる真を見ると、より一層美味しく感じた。
人の表情で料理が美味しく感じるなんて、初めての体験だった。
「…..すごいね、真は」
「そーんなかぁ…?次はもっと凄いの作ってやるよ!」
「ふふ…楽しみにしてる。ご馳走様。」
「早ッ?!」
何気ない普通のやり取りをして、2人分の食器を洗った。その間真の表情はやけに強ばっていた。
「…真、洗い物手伝ってくれてありがとう。もう制服も乾く頃だし時間も丁度いいし、そろそろ学校行こう。」
「…….なぁ弦。ちょっと話そうぜ」
真にはやっぱり何か言いたいことがあるみたいだ。….いや俺にも、言わなければいけないことがある。
「…そうだね。」
「あのさ、弦。何で家着いてから急に俺の事避け始めたの?」
「それは……良くないと思ったんだ。真の気持ちの整理もついてない内に、キスとか…恋人同士がするような事を勝手に進めるのは。」
「….?だ、だから俺たち付き合っただr」
「うん。だから真、さっきの言葉撤回してほしい。」
「..は….?さ、さっきの言葉って何だよ、もっとすげぇの作るってやつ?」
「….なわけないでしょ、真。友達兼”恋人”ってやつ。」
「な、何でだよ。何で…」
戸惑いながらそう言う真の目には大粒の涙が溜まっていた。
(….あぁ…何回泣かせてしまうんだろう。それでも…俺なんか真に釣り合わない。きっと真のソレは錯覚だ。)
「…真。大好きだよ。….死ぬほど、真が思ってるより何倍も、好きだ。大好きだ。….だから..分かるんだ。俺なんかじゃ、駄目だ。」
「ッだから何でそれをお前が決めんだよ!!!俺の気持ちは無視かよ?!」
「じゃあ真はさ、俺のこと好きなの?」
「ッそりゃ…!」
「….ふふ、わかんないくせに。」
「ッ….で、でも心ン底から大事だって….守りたいって思うし…..これが恋じゃダメなのかよ…」
言葉を紡いでいくうちに堪えきれなくなったのだろう。真の目に溜まっていた涙は頬を伝い床に落ちていった。
「俺も….真が俺を好きになってくれたらいいなって..心の底から思うよ。だから…真が言ってくれた言葉にあやかろうともした。…でも、俺は一方的な恋情で真に触れたくないんだ、傷付けたくないんだ。真は…家族でも友達でも、同じように守りたいって思える優しい人だから。」
「ッ…..ンな辛そうな顔で笑うなよ….泣きながら笑うなよクソッ…うぅう…」
「でも聞いて、真。俺の執念深さは随一だよ。真が本当に俺の事好きになってくれるまで、絶対諦めない。だから..真が本当に好きになってくれるまで、今まで通りタッグで、友達でいよう。」
「…..弦はそれでいいんかよ…」
「それがいいんだ。…もーしみったれた感じはお終いね、はい早く制服着て….行くよ。」
「ッおう!!!」
「遅刻しそうなら置いてく」
「はァ?!ちょッ出んの早ェ!!待てよ!!」
…そう、これでいい。ちゃんと努力しよう。真が俺のことしか考えられなくなるくらい、好きになって貰えるように。
長話のおかげでまたもや遅刻しそうな俺と真は、駆け足で校門をくぐった。