もしも上杉謙信が天下を取ったら

甲斐の山々が赤い夕陽に染まる中、武田信玄は戦国乱世の重圧に押されるように、その広間に座していた。報告に訪れた家臣たちは、険しい表情を浮かべていた。

「主君、内部の不穏分子がこの機に乗じて動いております。織田の忍びが背後で糸を引いているとの情報もございます…」

信玄の眉間が深く刻まれる。外敵の脅威に加え、家中での不和が重なり、かつて天下に名を轟かせた武田軍の威光は次第に揺らいでいた。

だが、信玄は静かに立ち上がり、広間にいる者たちに言い放つ。

「乱れた枝は伐つ」

その眼光は鋭く、一切の躊躇がなかった。即座に家中の不穏分子を粛清し、体制の立て直しに動く信玄。だが、そんな中、信玄自身も疲弊の色を隠せず、武田軍の求心力に影を落としていく。

一方、信玄が内政を整える間もなく、織田信長は名古屋に軍を進めていた。織田軍は、鉄砲隊を中心とした近代的な戦術を駆使し、武田軍の精鋭騎馬隊を次々と打ち破る。

「信玄…貴様が戦国の虎ならば、俺は火を操る龍だ！」

信長は狂気を纏い、戦場を我が物顔で歩む。激戦の末、信玄の軍は総崩れとなり、武田信玄は捕えられた。

しかし、信長は信玄の首を取ると、安土へと送るよう命じる。

「信玄、お前は確かに一時代を築いた英雄だった。その首は敬意を込めて、丁重に供養してやろう。」

信長の言葉には冷徹さと一抹の哀愁が入り混じっていた。

その頃、長宗我部元親は九州の制圧を完了し、本州侵攻の計画を本格化させていた。彼は四国の力を背景に、海を渡り中国地方への進出を図る。

一方、上杉謙信は朝廷と連携しつつ、天下統一への計画を進めていた。謙信は織田と長宗我部の勢力を睨みながらも、己の力を信じ、次の一手を練る。

「我が軍の使命は、この乱世を終わらせることにある。神仏も朝廷も、この決断を認めるだろう。」

謙信の冷徹で揺るぎない決意が、周囲の者たちに新たな勇気を与えた。

次回予告

第十一話「天下統一の兆し」

織田信長の勢いを止められる者はいるのか――信玄亡き後の武田の命運、長宗我部の野心、そして上杉謙信の統一への覚悟。それぞれの思惑が激突する中、ついに本州全土を巻き込む大戦が始まる！三つ巴の争いの中、天下の覇者は誰なのか――歴史が動く瞬間が訪れる！