テラーノベル
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心の中で何度も狂ったように唱えながら、震える手で棚に戻した
傷のついてしまったトロフィーを見つめる。
トロフィーに傷をつけてしまった罪悪感が
浜崎くんの罵声と共に頭の中でぐるぐると回り続け、僕の心をゴリゴリと削っていく。
胸の奥が冷たい氷で覆われるように重くなり、立っていることすらできなくなる。
敦が帰ってきたら、すぐに謝ろう。
隠して後からバレるなんて、それこそ最悪だ。
そう決めた僕は、リビングにいることすら恐れ多くなり
玄関の冷たいフローリングの上に正座して、敦の帰りを待つことにした。
少しでも早く、誠意を見せなければいけない。
なのに、時間が経つにつれ、静寂の中で自分の愚かさと
その大切なトロフィーへの敬意の無さが痛いほど自分自身に突き刺さってくる。
何が「喜ばせたい」だ。
結局、僕は彼の足を引っ張ることしかできないんじゃないか。
「…しゅん、さすがに…怒るよね……」
暗い玄関で、膝を見つめながら小さな声が漏れる。
怒鳴られるかもしれない、拒絶されるかもしれない。
恐怖が波のように押し寄せる。
でも、このままではいけない。
敦のために何かをしてあげたいという想いがあったからこそ、掃除を始めたのだ。
彼の優しさに少しでも応えたかった。
だからこそ、傷つけてはならない大切なものに傷を付けてしまった責任をちゃんと取らなければ───。
そんなことを考えながら、張り詰めた空気の中
時間が経つのをじっと待っていると
しばらくして、玄関の扉の向こうで鍵が回る音が聞こえ、ガチャっと開かれた。
その日常の音にビクッと肩が大きく跳ね、恐る恐る顔を上げた。
「ただいま~…って、え?」
敦はいつものように仕事疲れを滲ませて帰ってくるなり
僕が薄暗い玄関前に真っ直ぐ正座していることに驚いてか
動きを止め、言葉を詰まらせた。
その手元には、仕事用だろうか
持ち手付きの白いケーキ箱を大切そうに持っている。
「お、おかえりなさい。しゅん…」
声が震えてしまう。
上手く笑えなくて、罪人のように縮こまる僕を見て
敦は状況をまだ掴めていないのか、どこか嬉しそうに口角を上げた。
「なになに、もしかして俺のこと待っててくれたの?かっわいい~♡」
彼なりの冗談と愛情表現。
「え…っ」
まさかそんな健気なお出迎えとして解釈されるとは思わなくて
胸にギザギザしたナイフが突き刺さるように心が痛くなる。
そんな可愛い理由じゃないんだよ。
敦が優しく笑ってる。
その笑顔が、この後消えてしまうかもしれないと思うと、恐怖で息が詰まる。
#prtg
@ きみ以外なんて選ばないよ
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