「__カランコロン」
鐘の鳴る音で目が覚めた。どうやらレジをしているうちに睡魔に負けて昼寝をしていたようだ。
懐かしい、夢を見た。
ほんの数年前のことなのにずいぶん昔に思えるのはきっと俺の中でその思い出が”過去”になっているからだろう。
ぴゅうっと通った風がすこし冷たくて無意識のうちに体に力を入れる。
顔を上げて少しずつ輪郭を取り戻していく視界で目を細めて時計を睨む。まだそれほど時間は経っていないようだった。
”手伝い”から”仕事”に変わってからもう1年と少しが経った。当時高校生だった俺には好きなひとがいた。
いや、今になって気付いた恋というのが正しいだろうか。その気持ちの名前を知るのがあまりにも遅かった。
もう決して報われない独りよがりな片思い。
「また来ます」
その言葉を聞いてからどれくらい経ったのだろうか。来るわけないってわかっていても毎週木曜日、
ほんの少し期待してしまう自分がいて。
知らないうちにあのひとの面影を探してぼうっと店内を眺める。
ふいに視界に影が降った。そのふわふわとしたはっきりとしない意識のままゆっくりと上を見上げる。
「ばあ。ふwお久しぶりです、店員さん」
目の前でほんとうに可笑しそうにくすくすと笑う彼を見てぱっとはじけるようにして急速に意識が覚醒していく。
「なっ、、まっ、えっ?!」
「俺のこと、覚えてますか?」
「んな、覚えてるに決まってますよ!」
「それはよかったです」
他にも色々と言いたいことはあったが彼の笑顔を見るとそれら全部がどうでもよくなってくる。
約1年半ぶりだ。ぐちゃぐちゃの気持ちのままにゆるみそうになる涙腺にありったけの力を入れて必死にこらえる。
こんな自分勝手な想い、死んでも言えない。
彼に気づかれないように、ひっそりと奥歯を嚙みしめて。
こっからは更新がちょっと遅くなります。
短編なので展開が早いです。






