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日帝side
風が吹き、満開の桜が美しく空を舞っている。
綺麗な花弁が縁側に座る俺の和服にのった。
日本「今年も綺麗ですね」
居間で微笑みながら日本が言う。
日帝「嗚呼…」
ぼーっと桜を眺めていた頃。
ドタドタと急いで此方に来る足音が聞こえる。
おそらくにゃぽんだろう。
にゃぽん「二人とも〜!」
にゃぽん「お団子買って来たよ!」
もう少し静かに出来ないのかと呆れながらも団子という言葉に耳を動かしてしまう。
日本「ありがとうございます」
にゃぽん「5人分買って来たし二人も呼ぼー!」
日本「そうですね」
日本「日帝さん、お二人を呼んで来てくれませんか?」
日帝「分かった」
どうせ喧嘩をしている二人を呼んで来るのは俺の仕事だ。
服に乗った桜を落とし、二人がいるであろう場所へ足を向ける。
海「ーー!!」
空「ー!?ーーー!」
海「先ーーーはーーーが!」
二人が喧嘩する声が段々と近づく。
扉を開けた。
そこには海と空が喧嘩をしているいつもの光景が広がっていた。
日帝「にゃぽんが団子買って来てくれたぞ」
空「団子!?やったー!!」
海「みたらし団子有るか?」
すぐに喧嘩を辞め甘味に食いつく。
切り替えが早いのは良いことなのだが…
日帝「にゃぽんが買って来たから俺は知らんぞ」
日本「あ、帰って来ましたね」
海「みたらし団子有るか?」
にゃぽん「有るよー!」
にゃぽん「空兄はずんだでいい?」
空「うん!ありがと」
にゃぽん「陸兄は何にする?」
日帝「じゃあ俺はよもぎで」
にゃぽん「はーい」
にゃぽんから団子を手渡される。
にゃぽん「私さくら餅が良いー」
日本「じゃあ私は三色団子ですね」
にゃぽん「やったー!」
みんなで縁側に座り桜を見ながら談笑をする。
平和になって良かったと心から思った…
それと同時に、俺が壊してしまった誰かの平和が有るという事実に罪悪感で苛まれる。
気を紛らわす為、ふと居間に目を向けてみた。
日帝「ぁ…」
声にならない声が出た。
もう着ていない軍服が目に入った。
あの頃を思い出す。罪悪感と恐怖と驚きで感情がぐちゃぐちゃになる。
俺は逃げる様にして桜に目を向けた。
もう平和なんだ。戦争は終わったんだ。と自分に言い聞かせる。
少しでも償う為、俺は平和主義になったんだ。
自分の罪は消えなくとも、今は前を向かなければいけない。
海「どうかしたか?陸」
日帝「いや、なんでもない」
海「そうか…?」
と言い、みんなはまた談笑を始める。
俺も何事も無かった様に団子を食べる。
日帝「…」
そういえば軍服って仕舞ったよな?
あれ?俺って軍服出したか…?
日帝「…ぇ?」
は?え?俺軍服出してないよな?
終戦してからは和服だけであの軍服を着るなどもってのほか…
居間には昨日は無かった。
今日の朝は当たり前かの様に有ったから気づかなかったが軍服は仕舞っている筈…
日帝「は?」
日帝「待て×3」
日帝「そんな訳が…」
海「どうした?大丈夫か?」
日帝「…あれ」
軍服を指差す
日本家「え…」
にゃぽん「そういえば軍服って仕舞ったよね」
空「なんで…?」
海「は…?」
日本「兄さんが出したんですよね?」
日本「あはは…冗談キツいですよ」
日帝「冗談だったら良かったな…」
日帝「取り敢えず仕舞うか…」
空「そうだね…」
「日帝が平和主義になってるんね…」
「まぁまた教えてあげれば良いだろう」
「それもそうなんね!」
「でも試しに軍服見せてみただけで、あの驚きようは酷いんね…」
「だな、流石に平和ボケし過ぎだ」
「躾のしがいがあるんね!」
「そうだな」
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