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榎本くもり
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#地雷系
尾津嘉寿夫 ーおづかずおー
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今日も今日とて、アラームに起こされる朝。
けど、部屋には俺1人。
瑞希はもう起きてるらしい。 灯織にも見習ってほしいところだ。
部屋を出て階下へ行くと、キッチンからリズミカルで小刻みな音が聞こえてきた。
出汁のいい香りが、鼻先をくすぐる。
匂いに誘われてリビングに入ると、キッチンにはエプロン姿の瑞希が立っていた。
瑞希のエプロン姿に、思わず見とれてしまう。
と、俺に気付いた瑞希が、ほんわか笑顔を向けてきた。
「あ、おはよう〜。よく眠れた〜?」
「おかげさまで。悪いね、ごはんの準備させちゃって」
「ううん、気にしないで。わたしがしたいだけだから〜」
いい子すぎて涙が出てくる。
「父さんたちは?」
「もう出たよ〜。朝ご飯も食べないで、忙しいみたい〜」
「ふーん」
ま、あの人たちが忙しいのはいつもの事か。
瑞希が料理をしている間、俺もテーブルの上の準備をする。
といっても、テーブルを拭いたり、炊きたてのごはんを盛り付けたりするだけだけど。
「明義くんは座ってていいのに〜」
「これくらいさせてくれ。任せ切りだと落ち着かない」
「んふ〜。優しいねぇ〜」
ちょ、頭を撫でるな。恥ずかしいから。
瑞希は、俺のことを子供扱いする節がある。
誰も見てないとは言え、同い歳の幼なじみに子供扱いされるのは、居心地が悪い。
瑞希の手から逃れ、一通りテーブルの準備を終えた。
今日は瑞希特製の肉野菜炒め。
朝からガッツリだけど、意外とぺろりと食べられてしまう逸品だ。
瑞希と向かい合って座り、手を合わせていただきます。
うーむ、うまい。
こう言ってはなんだが、7人の中では瑞希が一番料理上手だ。
この手料理があるからこそ、週の半ばも乗り越えられるってもんだ。
肉野菜炒めに舌鼓を打っていると、瑞希が「あ」と声を上げた。
「今日買い物に行きたいんだけど、明義くん空いてる〜?」
「まあ、放課後は基本暇だけど」
「だよね、よかった〜」
待て、それは俺のボッチを揶揄してるのか?
ジト目で瑞希を睨むけど、特に気にした様子もなく、胸を下から持ち上げた。
「実は胸がまた成長したみたいで〜」
ほうほう、確かにでかく……じゃない!
「あ、朝からそういうことするな……!」
「え〜、いいじゃんか〜。それじゃ〜、夕方に買い物行こうね〜」
ぐっ……てことは、下着の店に行くってことだよな……?
別に、これが初めてってわけじゃない。
他の子とも行ったことがあるし、感想を聞かされたこともある。
けど、みんな趣味が一緒だからか、同じ店に行くことが多い。
その結果、何が起こると思う?
答え。店の人にゴミを見るような目で見られる。
俺はマゾではない。だから単純に心が痛い。
3人連続で行った時の、冷えきった目が忘れられない。
この世の終わりかと思った。
「か、金渡すから、1人で行ってくれるとありがたいんだけど……」
「ダメだよ〜。おじさんたちから、1人で外に出ちゃダメって言われてるし〜」
そうでした。
ちくしょう、もう16歳なんだから、1人で歩かせても大丈夫だろ。
……まあ、月乃と灯織は確実に迷子になるだろうけど。
「はぁ……わかったよ」
「やった〜、いえ〜い」
ダブルピースかわいい。
けど、放課後のことを考えると今から胃に穴が開きそうだ。
あの店員さん、忘れてくれてるとといいんだけどな……。
◆
はい、ダメでした。
店に入った瞬間に気付かれた。
あんなに目が笑ってないいらっしゃいませ、初めて聞いたよ……。
けどそのかいもあって、瑞希は気に入った下着を買えたみたいだ。
家に帰ってからもご機嫌で、鼻歌まで歌ってたし……彼女が喜んでくれるなら、結果オーライかな。
今はお互い、自室で自由時間だ。
と言っても、やることないから勉強だけど。
世の中の高校生は、夜遅くまで友達と遊んだりしてるのかなぁ……。
いいな、リア充。羨ましい。
……ダメだダメだ。こんなマイナス思考、考えるのはダメ。
気を引き締めて、勉強を……。
と、その時。部屋の扉がノックされた。
「瑞希か?」
「そだよ〜。入るね〜」
まだオーケー出てないんですが。いいけどさ。
部屋に入ってきた瑞希は、バスローブ姿だった。
さっきまで風呂に入ってたのか、頬が赤らんでいる。
「どうした?」
「ん〜。そういえば見せてなかったなって〜」
「え」
見せてないって……まさかっ。
俺が止める暇もなく、瑞希はバスローブの紐を緩める。
そして現れたのは、瑞希の美しい裸体だった。
正確には、水色の下着を身に付けているけど。
瑞々しく、美しい白い肌。
長い手足に極上のくびれ。
それらが脇役になるくらい、艶かしい胸と腰周り。
かわいいフリルがふんだんにあしらわれた下着が、俺の目には大人っぽく映る。
「どう? かわいいでしょ〜」
くるりと回って、背中からも見せ付けてくる。
綺麗な背中にはシミひとつない。
若干くい込んでるパンツのせいで、尻の肉がはみ出してる。
正直……やばい。そそる。
「か……かわいい、です」
「ふふん。でしょ〜?」
いや、似合ってる。すごく似合ってるんだけどさ。
だからって、わざわざ俺の部屋で披露しなくてもよくない?
瑞希って、見た目も性格もおっとりしているのに、こういうことに関しては妙にぐいぐい来るんだよな。
1週間分の甘えたい気持ちが、一気に爆発している感じだ。
瑞希はバスローブの前を合わせると、俺の隣に腰を下ろし、ぴったりと肩を寄せてきた。
「な、なんだよ」
「なんだよってことはないでしょ〜。わたしたちって、明義くんと触れ合えるの、1週間に1日だけなんだよ〜?」
そう言いながら、俺の手を取って指を絡めてくる。
こ、これっ、なんか妙に恥ずかしいんだけど……!
思わず少し体を離す。
けど、瑞希はすぐに距離を詰めてきた。
「ね〜ね〜、ドキドキした〜?」
「し……してない」
「あはは〜。相変わらず嘘が下手だね〜」
やかましい。こんな状態で欲情しない方が無理だろ。
「ふふふ〜。それじゃあ、お楽しみタイム……ふぇ……」
「ん? 瑞希、どうし──」
「へぶしっ!!」
…………。
こ……こいつ……顔面に鼻水飛ばしやがった……。
「お、ま、え、なぁ……!」
「いだだだだ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい〜!」
こめかみを両拳でぐりぐりする。
調子乗るからこんなことになるんだよ、アホ!
「ったく……風呂入る」
「あ、ならお背中流しましょうか……?」
「いらん。暖かくして寝ろ」
「そんなツンツンしないでよ〜。──あ」
あ。
瑞希の体が発光している。
気付くと、もう日付が回っていた。
「ま、待って待って。まだ今週分のキスしてない……!」
「すまん、鼻水まみれでする気起きない」
「そんなぁ〜……!」
瑞希は目に涙を浮かべ、名残惜しそうに俺へ手を伸ばす。
けど、曜日の変化には抗えない。
薄水色の髪は黄緑色に変わり、内側には鮮やかな緑色のインナーカラーが現れる。
ミディアムヘアはセミロングへと伸び、優しげなタレ目はキリッとした猫目に。
瞳も、澄んだエメラルドグリーンへと変わっていく。
そして何より、体つきまで変化した。
瑞希の時よりも一回り大人びた印象だ。
「んぉ? もうウチの日か。お、アキ。ちーっす」
「ああ……おはよ、樹里」
彼女の名前は、七色樹里。
一見、サバサバしてそうな見た目と性格だが……。
「樹里、下見て下」
「え? ……きっ……きゃああああああ!? な、何これっ、これ何ぃ!?」
自分の格好に気付き、かわいらしい悲鳴を上げてへたり込んでしまった。
この通り、実は結構な恥ずかしがり屋なのである。
「み、瑞希のばかやろう……! おおおお女の子がっ、男の前でこんな格好するんじゃねぇ……!」
「怒るのもいいが、部屋行って服着なさい」
「言われなくてもわかってるし……!」
樹里はバスローブで体を隠し、ドタバタと自室へ戻って行った。
本当……性格が正反対で面白い子たちだなぁ。
コメント
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第3話読んだわ〜!瑞希、めっちゃいい子すぎて泣ける…朝から料理作ってくれて、しかもエプロン姿が可愛いとか反則でしょ!笑 でも下着選びに付き合わされる明義の胃痛、めっちゃ分かるわ。そしてラストの樹里へのチェンジ!性格ガラッと変わって、しかも恥ずかしがり屋のギャップ萌え〜!毎週メンバー変わるとか設定面白すぎるし、続きが気になる🔥