「あ、水戸さん〜」
「元気でした?」
「いや、1日合わなかっただけなのに初手でそれ言う?」
「なんとなくそう思ったんですよ!」
「あ、そういえば兄さんが水戸さんのこと呼んでましたよ」
「え?」
「なんか良いことを教えてあげる的な…」
良いこと?
まぁいいや行ってみよう。
「分かった。行こっか」
「はい」
家に着き、
チャイムを鳴らそうと手を伸ばした。
するとボタンを押す前にドアがガチャと開いた。
「お、来たか」
「じゃあ玄関入って」
押してないのになんで来たって分かったんだろう。
しかも私の事見えてないはずなのに…。
やっぱり私の事見えてるんじゃ…
「お前さ、実の家族に会ったんだろ?」
なんで知ってるの?
どこかで見てたとか?
やっぱりこの人怖い…。
「…まぁ」
「お前のこと、見えてたっぽいな?」
なんで?
なんでなんでなんで?
なんで私の声が伝わってるの?
前は聞こえてなかったじゃん!
どういうこと?
この事、陸久は知ってるの?
そう思いながらチラリと陸久の方を向くと、
はてなマークを浮かべながら
微笑む陸久の姿があった。
「なんで…声…」
「ん?なんでだろうなぁ?」
私がそう問うとお兄さんはニヤリと笑う。
もしかして、最初から聞こえてたってこと?
「今日..は、なんでお兄さんは私を呼んだんですか?」
「…その質問に答える前に、俺のことお兄さんって呼ぶのやめてくれない?」
「別に俺、お前の兄じゃねぇし」
「お兄さんって呼んでいいの陸久だけだから」
凍りついた空気に低い声が響く。
「ぁ…じゃあ名前って..」
この人と喋るとだんだん声が小さくなっていく。
「俺は空河」
「じゃあ空河さんで…」
「それでいい」
「んで、今日お前を呼んだ理由だが」
「お前、幽霊が見える方法って知ってるか?」
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