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#TL
瀬名 紫陽花
14,533
#BL
多 動 症 .
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「ふふっ、気にしなくていいのに。でもそういうことなら、全然いいよ」
佐藤くんは本当に良い子だ。
積極的でお喋り上手、女子社員からはもちろん、上司からの信頼も厚い。
でも、食事の約束を取り付けた瞬間
なぜか私の脳裏に、真っ先に叶人くんの顔が浮かんだ。
(と言っても、ただの職場の仲の良い後輩だし、食事に行くくらいなら何もないし、良いよね……?)
自分に言い訳をするようにそんなことを考えていた
そのときだった
「宇佐田さん。ちょっと、いいかな」
背後から冷ややかな声がかかり、振り返ると
そこにはいつの間にか立っていた叶人くんがいた。
彼は普段と同じ、穏やかで完璧な仕事用の微笑みを浮かべているものの
なぜかその瞳の奥には、見たこともないような深い陰りがある。
「あっ、は、はい……!」
彼の視線が妙に冷たく刺さるように感じられ、私は思わず身構えてしまった。
「午後のプレゼン資料なんだけど、至急修正箇所があって…ちょっと急ぎで会議室来て貰えるかな?」
周囲の目を気にしながら告げる彼の言葉は
徹底的にビジネスライクで丁寧だったけれど
その裏には絶対に拒絶を許さないような、重苦しい「圧」が潜んでいた。
「はい、わかりました。…佐藤くん、ごめんね。ちょっと行ってくるね」
佐藤くんは訝しげに叶人くんを見つめながらも
「大変ですね、いってらっしゃい」と軽く手を振ってくれた。
私は慌てて席を立ち、叶人くんの後を追うようにして廊下に出た。
足早に歩く彼の背中は、どこか怒っているようにも見えて心臓が痛い。
社内最奥の会議室に入ると、彼は静かに扉を閉め
そして、カチャリと内鍵をかけた。
外の喧騒が一瞬で遮断され、室内は緊迫した静寂に包まれる。
心臓が早鐘を打つ中、彼は地を這うような低い声で切り出した。
「佐藤と随分楽しそうに話してたけど、プライベートの話?」
その問いかけは、さっきまでの業務上のトーンとは打って変わり
ドロドロとした独占欲に満ちていた。
「……なんで、そんなこと聞くの…?」
思わず聞き返すと、叶人くんは美形な眉間にこれ以上ないほど深い皺を寄せながら
一歩、また一歩と私を壁際へと追い詰めてくる。
「食事、誘われてたよね」
「──っ!」
口調こそ平静を装っているが、その目は鋭く光り、激しい嫉妬の炎を宿していた。
私はその剣幕に完全に怯みつつも、慌てて弁解した。
「あの、違うの……!この前の飲み会の時、私が代わりに飲んで助けてあげたから、そのお礼にって佐藤くんが気を遣って誘ってくれただけで……ちょっとご飯食べて話すだけだと思うし!」