菜月「じゃあ私達も泳ぎますか!」
涼香「うん」
雲一つない青空の下、白い砂浜にキラキラと輝きながら波打つ海。
ここでも思い出を撮るために防水ケースを持ってきたのだ。
拓海「おーい!早く来いよーでっけー魚いるぞ!」
菜月「マジで!?行こ!」
(いっぱい撮るぞー!)
秀斗「皆似合ってるね」
拓海「悪くない」
モリピー「………。」
菜月「『悪くない』って…もっと可愛いとか言えないの?」
モリピー「………。」
涼香「おーいモリピー」
双葉「なんだか恥ずかしいね」
ただ一点を見つめたままピタッと固まって動かないモリピーに呼び掛ける。
しかし、彼からの返事は帰ってこないまま。
何故こんなに硬直しているのかというと好きな子の水着姿を見れて興奮した為思考が追い付かず停止してしまったのだ。
ちなみにモリピーの想い人は双葉である。
(前から知ってたけどここまで一途だったとは。上手く隠してたつもりなんだろうけどバレバレだかんね。記念に一枚撮っておこ)
拓海「ボールあるからビーチバレーしようぜ。チームはジャンケンで決めよう 」
結果
拓海・菜月・モリピー
V.S
秀斗・涼香・双葉
菜月「チーム名どうする?」
涼香「帰り皆で食べて帰るでしょ。肉と魚に分けて勝った方の店に行くのはどう?」
拓海「じゃあ俺達は肉!焼肉食いてーし」
秀斗「それじゃあ僕達は魚だね」
涼香「寿司食べたーい!」
双葉「私も!」
こうして始まったチーム肉vsチーム魚の5点マッチ。勝利したチームは行きたい店を決めることが出来る。
先行チーム肉のサーブ。
菜月「行くよー!」
菜月の打ったサーブは大きく弧を描き秀斗の方へと向かって行く。
秀斗「涼香ちゃん!」
涼香「バッチコイ!」
飛んできた所を強烈なアタックでぶちかます。見事チーム魚に1点が入った。
涼香「やったー!入ったー!」
拓海「まぐれだ!まだ4回戦ある!焼肉は譲らねぇ!」
涼香「こっちだって譲るもんですか!鮪が私を呼んでいる!」
熱いバトルは続きとうとう終盤に差し掛かってきた頃、私達は体力の限界に陥っていた。
拓海「はぁー…はぁー…ふらふらじゃねぇか…大丈夫かよ」
涼香「はぁー…はぁー…お互い様でしょ。そっちこそ大丈夫?」
お互い同点のまま次の試合で全てが決まる。
先行チーム魚のサーブ。
(今この瞬間、全てに集中!)
涼香「夕飯はぁぁぁ!!!!寿司だぁぁぁ!!!」
打ったボールが拓海の方へと向かって飛んで行く。
拓海「いいや焼肉にぃぃ決まってんだろぉぉぉ!!!」
強く打ち返された球が双葉に迫る。そのスピードはまさに高校球児の投げる速度並の速さ。
菜月「危ない!」
双葉「っっ!!」
ドンッ
なんとモリピーが双葉を庇いあの豪速球を顔面で受け止めていたのだ。
ぼとっと砂浜に落ちるボールの後、モリピーは鼻血を吹き出し倒れ込んだ。
涼香「モリピー!」
皆で駆け寄り日陰まで運んで鼻血を止めようとするもなかなか止まらない。あたふたしている私達を他所に双葉は慣れた手つきで冷静に処理していく。その姿はまるで看護師のようだった。
日が暮れ始め鼻血も止まってきた頃ようやく目を覚ましたモリピー。
モリピー「俺気絶してた…?
そういえば双葉は?!怪我してないか?!」
涼香「無傷だよ。私以外は泳ぎに行ってる。双葉がモリピーの鼻血の処置してくれたんだよ」
モリピー「そっか…お礼言わないとな」
涼香「告白しないの?」
モリピー「俺じゃ振られr…なんで知ってんの?!… !!」
慌てて口元を隠すモリピーだが私は小学生の頃から知っているので無意味である。
(バレバレだよ)
モリピー「いつから…?」
涼香「小学生。もっと細かく言うと2年生から」
モリピー「そんな前からバレてたの?!恥ずいんだけど!」
モリピーの顔はリンゴの様に真っ赤だった。
涼香「で?告白しないの?」
モリピー「しない。振られるから。今の距離感で見守る方が俺には合ってるんだよ。
俺は皆が思ってるよりずっと臆病なんだ 」
涼香「取られちゃったりしてもいいんだ」
モリピー「双葉が幸せならそれでいいんだ。それが俺の幸せでもあるから。あ、この事誰にも言うなよ!それから他にも知ってる奴いるの?」
涼香「言わないよ。まぁ秀斗なら薄々気付いてそうだけどその他は知らないと思う」
(一番警戒しないといけないのは拓海だな。双葉に何を言うか分かんないから)
涼香「きっかけは?」
モリピー「俺こんな髪型だからさ、昔からすんげぇ馬鹿にされてたんだよ。でも親以外に初めて素敵だって言ってくれたのが双葉で嬉しかったんだ。俺の初恋だよ」
涼香「なにそれ最高じゃん。今ので漫画書けそう。題名は『モジャ男の恋』でどう?」
モリピー「書くな」
その後、海から帰ってきた四人はモリピーが目を覚ました事に歓喜した。
拓海「結局どっちになるんだ?勝敗付かずに終わったか
ら決まんねぇな」
涼香「ここは双葉を守ったモリピーに決めて貰おうよ」
モリピー「え?!じゃあ焼肉。
鉄分回収してぇから 」
菜月「それじゃあ焼肉屋へレッツゴー!」
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