涼にいと話す当日。
僕は、朝起きるのが憂鬱だった。
僕がこの事を話したら、涼にいが引くかもしれない。
離れていくかもしれない。
そう考えると起きたくなくなって、話すのが怖くなって、憂鬱で。
でも、いつか話さないと。そう思うとちょっと話しても良いかな?なんて思っちゃって。
どうこうしてる間に涼にいが僕の部屋に入ってきた。
初めてだ。
誰かがこうして部屋に入ってくるなんて。
今まで一度もなかった。
涼にいは僕の部屋を見て、ポカンとしている。
そりゃそうだ。
僕の机には、いくつもの資料。
涼にいが知ってる訳のないキャラクターのグッズ、ヘッドフォンにマイク、アイパットが5個も置いているんだから。
分かるはずねぇよ。涼にいは、少し黙り込んでから、口を開いた。
「十夜くん、この部屋どうしたの?」
「…何が?」
「いや、なんかアーティストの部屋みたい。」
ッ
こんなこと言ってくれる人、涼にいぐらいだろうな。
「…アーティストまではいかないよ。ただ趣味でしてるだけ。」
「んへ?」
「…涼にい、僕今ね。無料で作詞作曲、MIXの仕事受けてるんだ。」
「学校に行かなくなって、バイトして、暇でさ。」
「だから、楽しいことしたいなぁって。」
「流石にお金もらっちゃうと何か面倒くさいから、無料でしてるけど。」
「ネット上で、色んな人が僕のことを頼ってくれて。」
「SNSに投稿した曲は、色んな人が観てくれて。」
「ただただ、僕が好きなことしてるだけの配信だって、皆見に来てくれて。」
「今年はドームツアーも控えてて。」
「音楽で僕の人生の輪が広がってって。」
「楽しいの。」
「性別なんて気にしないで来てくれるし…。」
「性別…?」
「涼にい、僕の性別は?」
「女じゃないの?」
「うん。体はね。そうだね。女だね。」
「でも、心は男なんだ。」
「僕、性同一性障害なんだ。」
「え…ッ」
「…あぁ、引いちゃった?」
「いや、びっくりしただけ。」
「そっか。なら良かった。」
コメント
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なんか、、想像つく内容だなぁ() 中の人のことかn((((