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白山小梅
白山小梅
12
キスをしながらみちみちと自身のカタチを馴染ませるように、時間をかけて繋がった。全部が繋がると、柊はあたしとの凹凸を無くすように抱きしめてくるから、繋がる部分はココだけなのに、身体の末端細胞までもが悦びに満たされていく。
十日ぶりに与えられた熱はあたしの意識を軽く飛ばすので、柊の背中にぎゅっとしがみついて、なんとか持ちこたえる。
「ね、え、ここ、やだ。ベッド行きたい、ベッド、行こ?」
この場所から下ろしてくれないことを抗議すれば、柊は怠そうにあたしの頭を撫でてくる。子どもをあやす様な仕草だ。
「じゃあ、ここに手ぇ回して」
言われた通り項に手を回すと、柊はあたしを抱きしめるように持ち上げた。意地悪なことばかりするから、ちゃんと聞き入れてくれるか定かではない。
あたしの思惑とは裏腹に、繋がった状態のまま移動した柊は、あたしをこてんとベッドに寝かせると「これでいい?」と耳元で囁いてくる。
うん、と頷くと、満足した合図なのか、くちびるにキスが落ちた。柊はキスをしながら、荒っぽく腰を打ち付けてくるから、あえぎ声はすべて柊の口の中に閉じ込められる。まともに声も出させてくれないらしい。
「なあ、彼氏出来たわけ」
こんなの、女のナカにいる時に聞く言葉じゃない。
しかも、片手で緩く首を絞められている状況で、反応が出来ると思っているのか。
「んぅ……っんんっ」
「……は?まじで一週間で出来たの」
「ちが、できて、ないっ」
「あそ。ならいいや」
コショコショと指で首の側面を擽った柊は、再びあたしの喉元を圧迫してくる。は、は、と空気を必死で吸い込むのに、親指と人差し指が緩やかに酸素を奪っていき、熱が頭にのぼっていく。
いよいよどうにかなりそうな意識の中、あたしのいい所を既に探し当てている柊は、そこにわざと当てるようにノックするから、あたしは呆気なく果てた。
脚の付け根がびくびくと痙攣している。恥ずかしくて、早く落ち着かせたい。でも、脱力する暇さえ与えてくれない柊は、角度をつけて捩じ込んでくるので、呼吸を乱され、一際大きなあえぎ声が漏れた。
「ムカつくから、彼氏、作んないで」
「あっ、ん、意味、わかんない」
「分からないとか、日本語やばくない。てか柴崎、奥の方が好き?」
「ああっ、それ、やばい…っ、」
「俺もやばいよ、最初から、どうかしてるわ」
あまりの激しさに、身体中が震蕩して、頭がくらくらする。これ以上されると、また、途中で寝てしまう。
わかっているのに、その先を強請ってしまう。
一度手放そうとした反動なのか、柊のことになると、” もっと “が底なしに溢れてくる。
軽いわけじゃないよ?
柊だから許してるんだよ?
言ったら離れていくって分かっているのに、どうして言えるの?
抱かれている時は、身体に隙間なんてないのに。
いくらでも抱きしめてくれるくせに。
いくらでもキスをしてくれるくせに。
いくらでも手を繋いでくれるくせに。
身体が満たされても、こころは全然満たされない。
この夜が終わってしまえば、あたしたちは他人に戻る。
こんなの、あの頃と同じ延長線の上を歩いているだけだ。
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