皆は俺をヒーローと言う。

泣き虫なヒーローと。

皆そう言う。

けれど違う。

俺はヒーローなんかじゃない。

真一郎くんが生きているだけでマイキーくんが闇堕ちする事が無くなる。

イザナくんが孤独になる事も無くなる。

一虎くんとマイキーくんが決別しなくて済む。

一虎くんとマイキーくんが仲良しなら、場地くんが死なずに済む。

一虎くんや場地くんが東卍にいたらドラケンくんが死ぬ確率も低くなる。

真一郎くん一人居るだけで救われる人が沢山いる。

対して俺はどうだろうか。

俺がいるせいでヒナが稀咲に殺される。

俺がいるせいで稀咲がヒナを殺す。

俺がいてもマイキーくん達は幸せになれなかった。

俺がいるからドラケンくんは死んだ。

俺がいるせいで死ぬ命が沢山あった。

俺はヒーローになれない。

ヒーローは真一郎くんだ。

俺はヒナを救えない。

俺はマイキーくん達を救えない。

そんな俺が出来る事はただ1つ。

それは＿＿＿

ぴゅうぴゅうと風が吹く音が聞こえる。

俺は後ろを向いて叫ぶ。

｢ミッションコンプリートだ！｣

ごめんな、ヒナ。

でもヒナなら俺よりいい人がいるはずだから。

どうか俺の事は忘れてくれ。

｢タケミッチ？｣

花垣武道はヒーローのなれない