テラーノベル
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小学校に入学したのもその頃。
迪くんは、図書館という居場所を手に入れた。あたしは、あんな静かな所は好きじゃない。そこに嬉々として通う迪くんに、あたしはさらに苛立ちを募らせた。
それから、勉強。勉強は嫌いだから、体育の授業だけが楽しみだった。でも、あたしは運動に向いていないようだった。鬼ごっことか、ぜんぜん楽しくない。すぐ捕まっちゃうんだもん!球技もだめだった。明確な敵がいないと、なぜかボールがうまく飛ばなかった。
迪くんも運動はできなかった。でも、勉強ができた。担任が、テスト後に設けた『まんてんはっぴょうタイム』。そこでは毎回迪くんの名前がでた。あたしはよくて70点だったのに…!
でも、今日だけは許してあげる。だって…今日はあたしの誕生日なんだもん!帰ってきたら、パパママと一緒においしいご飯を食べて、お祝いするの!鼻歌を歌いながらリビングに来たあたしに、パパとママが申し訳無さそうに言った。
「澪、パパとママ、今日急な仕事が入っちゃって 今日のお祝いは明日にしてもいいかい?」
「えっ?」
ずっと、楽しみにしてたのに。あたしは、縮こまる二人を後目に、さっさと着替えてランドセルを背負う。扉の前に立ち、最後に捨てぜりふ。
「パパとママのばーーーか!」
ママの怒鳴り声とパパの「明日の朝には帰るから!」と言う声を無視して、あたしは学校まで走っていった。
「澪ちゃん、どうしたの?汗でびしょびしょだよ!」
「今日、お昼休みにドッチボールする日だから急いでたの?」
早速集まってきた友達としゃべりつつ授業の準備を始めたけど、怒りは収まらない。顔を上げたとか、斜め前に座る迪くんが目に入る。
「あ…」
迪くんが読んでいた本。『ドッチボール入門』。あたしが一番嫌いな本。
あたしは、今日のこの怒りをすべて迪くんにぶつけることに決めた。
妖狐のおふとん
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コメント
3件
👍️ いーね 好きだよ(???????)