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あの会議室での出来事から一週間
徹さんの言葉は、私に最高の勇気をくれた。
『一番信頼している仕事のパートナー』
その言葉を証明するために、私は香織さんの妨害を跳ね除け
寝る間も惜しんでプロジェクトの最終プレゼン資料を練り上げた。
「……よし、これで完璧です」
プレゼン当日
会場となる会議室には、役員たちや他部署のリーダーたちが顔を揃えていた。
香織さんも、どこか苦々しい表情で隅に座っている。
「結衣、緊張してる?」
隣で準備をしていた徹さんが、そっと私の手に触れた。
「不思議と…落ち着いています。徹さんが信じてくれた私を、私が信じなきゃいけないから」
「……強いね、結衣」
徹さんは愛おしそうに目を細めると、私の頭を軽く撫でた。
プレゼンが始まると、私は徹さんのリードに従うだけでなく、自分の言葉で企画の魅力を語った。
現場の声を一つひとつ拾い上げ、どうすればユーザーが笑顔になれるか。
徹さんが教えてくれた「仕事への情熱」を、そのまま言葉に乗せて。
プレゼンが終わった瞬間、会場は静まり返り……
やがて、大きな拍手が沸き起こった。
課長も、そして厳しいことで有名な部長までもが、満足げに頷いている。
「素晴らしいプレゼンだったよ、田中さん。高橋が君を強く推薦した理由がよく分かった」
部長のその言葉に、私はようやく深く息を吐いた。
隣を見ると、徹さんが誰よりも嬉しそうに、誇らしげな顔で私を見つめている。
「……やったね、結衣」
「はい……! 徹さんのおかげです」
会議が解散した後、廊下で香織さんとすれ違った。
彼女は立ち止まることなく、私を横切ると、舌打ちをしていくだけだった。
◆◇◆◇
その日の夜
オフィスに二人きりになったとき、徹さんが私のデスクに寄りかかって、じっと私を見つめてきた。
「結衣、お疲れ様。……今日は本当に格好良かった。正直、隣で見ていて、俺の知らない結衣をどんどん見せられてるみたいで、ちょっと焦ったよ」
「焦った、ですか?」
「うん。……もっと俺の後ろに隠れてるような子だと思ってたのに。いつの間にか、俺の隣を対等に歩けるくらい、素敵な女性になってたから」
徹さんはそう言うと、私の椅子をくるりと自分の方へ向け、私の両手を包み込んだ。
「ねえ、結衣。……プロジェクトが成功したら、二人で行きたい場所があるんだ」
徹さんの瞳の奥にある、決意を秘めたような強い光。
プロジェクトの成功という大きな壁を越えた私達に
新たな、そして人生で最も甘い約束が交わされようとしていた。
#ワンナイトラブ
おまる
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