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巡る時間、繋がる想い-奏太とあかり-

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巡る時間、繋がる想い-奏太とあかり-

19 - 第十九章:最期のカウントダウン―迫る終焉

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2025年02月24日

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1.「時間が足りない」―進む撮影、迫る終わり

映画の撮影は、ついにクライマックスに近づいていた。

仲間たちは夜遅くまで作業を続け、撮影機材のチェック、ロケ地の確認、衣装や小道具の準備に追われていた。

しかし、時間が足りなかった。

「残された時間は、あと7日。」

未来へ戻るまでのタイムリミットが、奏太には分かっていた。

過去にいられる時間は、もう残りわずかしかない。

「この映画が完成しなかったら……。」

奏太は、一瞬だけ目を閉じた。

もし、このまま撮影が間に合わなければ、未来に戻ったとき、あかりの記憶は完全に消えているかもしれない。

映画は、俺たちの「生きた証」だ。

この映画が完成しなければ、全てが消えてしまう。

「……絶対に間に合わせる。」

誰よりも強く、そう誓った。


2.「限界までやる」―仲間たちの覚悟

ゼミ室に戻ると、そこには仲間たちがいた。

友、太力、富貴子、彩映、喜以、豪志――。

みんな、疲れ切った顔をしていたが、それでも誰一人として撮影を諦める素振りはなかった。

「あと7日で、絶対に撮り終える。」

奏太がそう言うと、太力がカメラを手に取りながら、ニヤリと笑った。

「お前が言うなら、やるしかねぇな。」

「大丈夫、ちゃんとスケジュールを組み直せば間に合うわ。」

喜以は冷静にノートをめくりながら言った。

「私も、やれることは全部やる。」

富貴子が、照明のリストを確認しながら頷いた。

「君たちが本気なら、私も全力で演じる。」

彩映は、脚本をぎゅっと握りしめた。

「……この映画は、みんなのものだ。絶対に完成させる。」

奏太は、全員の顔を見ながら言った。

仲間たちは、誰一人として反対しなかった。

「限界までやるぞ!」

この言葉が、映画制作のラストスパートの合図だった。


3.「あかりの記憶が……」―深まる危機

翌日、撮影が始まった。

ロケ地での撮影は順調に進み、キャストもスタッフも、全員が一丸となって動いていた。

しかし、その日、奏太は信じられない光景を目にした。

「あかりが、俺のことを完全に忘れている。」

「……えっと、ごめんなさい。」

あかりは、申し訳なさそうに言った。

「君の名前、なんだっけ?」

奏太は、胸が締めつけられるような痛みを感じた。

「俺のこと……もう、覚えてないのか?」

「うん……。」

彼女は、悲しそうに微笑んだ。

「昨日、君と話してたことも……全部、思い出せないの。」

「……。」

もう、あかりの記憶は限界なのかもしれない。

もしかすると――未来に戻ったとき、彼女は俺のことを完全に忘れてしまうかもしれない。

「俺、何のために過去に戻ったんだよ……。」

絶望に襲われた。


4.「絶対に忘れさせない」―最後のシーンへ

その夜、奏太は一人で考え続けた。

「このままじゃ、あかりの記憶は完全に消えてしまう……。」

でも、方法はある。

映画だ。

俺たちの映画が完成すれば、あかりが俺のことを忘れても、この映画を見れば思い出せるかもしれない。

「なら、やるしかねぇだろ……!」

奏太は立ち上がり、撮影のラストシーンの準備に入った。

あかりの記憶を、映画に刻み込む。

それが、俺にできる唯一のことだから。


5.「また、出会おう。」―涙のクランクアップ

撮影最終日。

ラストシーンは、主人公が“生きた証”を残すために最後の言葉を伝えるシーンだった。

カメラの前で、奏太はあかりを見つめた。

「カットがかかったら、俺のことを忘れるかもしれない。」

でも――。

「俺は、お前に会えてよかった。」

「……。」

あかりは、微笑んだ。

「私も……君に会えてよかった。」

「ありがとう。」

涙を流しながら、二人のシーンが撮影された。

――そして、映画が完成した。


第十九章・終

巡る時間、繋がる想い-奏太とあかり-

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