テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
卒業式の日、
僕らは校門の前で何枚も写真を撮った。
制服のまま、
ふざけ合って、
意味もなく笑っていた。
あのとき誰かが「これで全部終わりだな」と言いかけて、
でも最後までは言わなかった。
その曖昧さが、妙に心に残っている。
それから十年が経った。
仕事に追われる日々の中で、
僕はいつの間にか
「今」をやり過ごすことに慣れてしまっていた。
満員電車の窓に映る自分の顔は、
あの頃よりずっと無口で、
少しだけ疲れている。
ある日、
スマホに通知が届く。
沈黙していたグループチャットに、たった一言。
「今夜、集まらないか」。
送り主の名前を見た瞬間、
胸の奥がわずかに熱くなった。
居酒屋の引き戸を開けると、
懐かしい声が一斉に僕を呼んだ。
少し変わった見た目、
増えた肩書き、
それでも笑い方は昔のままだった。
仕事の愚痴や、
くだらない思い出話が、
次から次へとあふれてくる。
「結局さ、終わってなかったな」
誰かのその一言に、皆が静かに頷いた。
僕はグラスを持つ手を止めて、ふと気づく。
青春は、特別な時間のことじゃなかった。
何かに夢中になって、
誰かと笑い合える、
その瞬間のことを言うのだ。
帰り道、
夜風に吹かれながら、僕は思う。
あの日言いかけてやめた言葉の続きを。
――青春は、きっと、これからも続いていく。
本日は『青春はいつまでも続く_』を
お手に取っていただき誠にありがとうございます。
そして、最後までお読みいただき誠にありがとうございました。
別の作品も、ぜひご覧くださいませ。
Min
さつまいも

コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!