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『 …やっと叶いました。』
「ん?なにが。」
そう。やっと叶ったんだよ。
私が、ずっと夢見てたこと。
『 春は、桜。』
「…」
『 夏は、花火。』
「あー、笑」
『 …秋は、月です。』
「言ってたなぁー」
春は桜。
夏は花火。
秋は──────月。
やっと見れた。
『 …やっとです。』
「ずっと思ってたの?笑」
『 はい !』
「ふふっ、そっか。」
『 キレイですね。』
「だな」
“月が綺麗ですね”
くらい、素直に言えたらいいのに。
でも、今の私には言う資格すらないし。
「うわっ、美味。」
『 先生初めてですもんね。お店の食べ物。』
「うん。笑」
「なんとなく、ハンバーガー ってなぁ。」
えっ、もしかして嫌いだった。
なんて心の中で焦っていた私だけど
「でも、外で食べると美味いわ。笑」
『…よかった、』
「…あっ!わりぃ、」
『 いや!全然 笑』
焦った先生を久しぶりに見た。
高校の時、教科書を忘れて生徒達にバカにされてた時、すごい焦ってたなぁ。
なんて、ちょっと過去を思い出す。
・
ピロン。
「ん?俺か。」
先生の顔が一気に明るくなった。
『 どーかしました?笑』
「お前、LINE見てみて」
『 …え?笑』
先生にそう言われてLINEを開いても、
なんも無い。
「同窓会だって。よかったな。」
『 同窓会…?』
「あれ?通知きてない?」
『 きてませんけど、』
通知、なんて一切きてない。
どの、LINEなんだろう。
「ほら、グループLINEだぞ?」
「あー、クラスのLINE !」
先生が何かを思い出したような顔で、そう言う
あ…
そう言うことか。
私、クラスに馴染んでなかったもん。
やっと、理解できた。
グループLINEに、入ってなかった。
『 …』
「…もしかして、」
先生も、気がついたみたい。
どーしたらいいんだろう。
それから、しばらく沈黙が続いた。
先生が何か話し出したら話そう、
と思ってるのに、中々話しかけてこない。
きっと、私の気持ちを察してくれてるんだろう
『 …気にしてませんよ、笑』
私は、作り笑いでわざと、笑顔を先生に向けた
でも、そんな私の笑顔は
先生には、お見通しだったみたい。
「…姫野も、来いよ。大丈夫だから」
なんて言うと思ってた。
でも、違う。
「オレ行けねぇーわ。」
気の利いた言葉をくれた。
『 …ありがとうございます。』
そう言うしかなかった。
『 行ってください』なんて私には言えない。
だって、行って欲しくないから。
コメント
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かっこいいわぁ🫠