TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

ひとまず食事の時間を利用して作戦会議でもするべきだろうか。思考がずっとグルグルしている幸呼奈。ずっと思っていたが、この部屋は病院にしては清掃が全く行き届いていない。

「お前らどう思う?」

クッソ面倒なことになった。色んな意味で。「このままだと僕たちがそいつのご飯になっちゃうよ。早くアイツのことボコボコにして帰ろうよ」

「そこまでする必要はないだろう」

「誰が生き残るんでしょう……」

邪気のない顔で邪悪なことを言う磨輝。会話はしてくれるようにはなったが、他の参加者たちからは相変わらず警戒されている。元々、部外者だからね。仕方ない。しかしまだ本当に五里霧中だ。皆、絶望していた。見て見ぬふりはできない。何ともままならない。全て解決できるといいね。というかゲームマスターも何か色々と背負いすぎている。ぶっ潰す前にぶっ潰れるぞ。呑気に(?)ここで食事会を開いているが、もうすぐこちらの番だ。その前にゲームマスターから話があった。何故、感染者を選ぶようなことをしているのか。

「君たちが助けようとしている感染者の中には救いようのない悪党も山程いるってことだ」

うーん……ありえる。

「勝ち残った奴こそ運命に選ばれた者だと思う! これは世界を浄化するチャンスなんだよ」

へー(棒)。何か間違ったことが起こっていることだけは分かる。その言葉の真意や如何に。

「でもそれじゃあまるで誰かの不幸の上に誰かの幸せを作るみたいじゃないですか」

「物事は明るくとらえた方がいい」

言葉も人を使うものだ。いちいち人の気持ち逆撫でするババアか。ジジイか。それが気になる。静かだが、怒りと悲しみが混じっていた。というかもうすぐ出番だ。その場所へ向かう。ここでもう何人か死んでしまっている。ここで死を迎えるなんて、嫌だ。だから勝とう。呼吸を整えて席につく。

「プレイスユアベット」

各々が賭けたいだけチップを賭けていく。全員の賭けが済んだらついにあの看護師たちから配られる。カードが。開いて見てみる。ジャックと一〇か。他の参加者、風卯花や旬のカードも見てみる。

「スタンド」

「うた姉」

「磨輝?」

「選手交代だ」

ついに手を挙げたかと。ゲームマスターも何を言うわけでもなくカードを配り続けている。少ししか話を聞いていないので何も言えないが、アイツはあくまでも運命に選ばれた者という名目のゲームが強い、というより運の良い奴を見つけたいだけなのだろうか。磨輝にもついにカードが配られ…… 終わったーっ! 完っ全に終わったやつの顔だーっ! 手を震わせながらカードを見せてくる。エースとジャックだ。エースは十一、絵札は一〇とするとルールには書いてあった。すなわち……

「一発ブラックジャック⁉︎」

脊髄反射レベルで声が出てしまう。そんなことがあり得るのですかと。これ、ゲームマスターもブラックジャックしないと終わるぞと敵ながら思ってしまう。いよいよゲームマスターがカードを引く。最初の二枚は五と八。これ、キューじゃなかったら終わるぞと。本人も同じことを考えたのかカードを引く。出てきたのはクイーン(Q)。いやいや。欲しかったのは数字の九であって、アルファベットのQじゃねぇよと。思考が巡りすぎて逆に何も言えなくなってしまう状態が続く。

「あぁっ!」

ゲームマスター、キレるなと。

「お前がバーストするんかいっ!」

「こういうこともあるのがブラックジャックの面白いところ」

「これ全員、勝ちってこと?」

他の参加者たちからもガヤガヤと聞こえる。仕方がないので次のゲームに進むこととなった。急いで他の参加者がいるチームへ向かおう。

「みんな!」

「おー!」

呼びかけに真っ先に答えてくれたのは渚冬。他の参加者と一緒にいる。名簿を見たから名前は覚えている。師走笑凪だ。

「みんな無事だったのね!」

「良かった!」

陶瑚と茉津李の存在も確認する。ひとまずは自分たち姉弟が全員無事だったことに安堵する。

「あれ? 人数、減ってなくない? みんな助かったの?」

「いや、あの……奇跡が起きたというか、ミラクルが起きたというか……」

「どっちも同じ意味ね……」

櫟木葉都季からの問いへの答えもチンプンカンプンでツッコミを入れられてしまう。仕方がないので次の場所へ向かう。すぐにでもこのふざけたゲームを終わらせるために。

「磨輝、変わってくれて本当にありがとう」

「いやいや。僕も役に立てて良かったよ」

「にしても磨輝、よく一発でブラックジャック出せたね」

「こな姉……ふふ……ほんとそれな」

なんやかんやあったが、自分たちのチームで犠牲者が出ることはなく、次のゲームまではひとまず安心してもいいのだろうか。

「歌華さん! こっちですよ!」

参加者の一人の風卯花の声。もう仲良くなってしまっているのか。

「ごめん! すぐ行く!」

「それでは早速、始めたいと思います! 次のゲームの開始前に皆さんで一列に並んでください」

次はどんなゲームが待っているのだろうか。あまり犠牲者の出ないゲームだといいが。

この作品はいかがでしたか?

2

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚