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『まじで見損なったわ』
その一言で、私たちの友情は簡単に砕け散ってしまった。
中学3年、1学期の終わり頃。
私たちの学年では、ある課題が出された。
様々な企業から出された『企業の課題』を自分なりに解き、プレゼンテーションにまとめるというものだ。
1人での活動だが、他の人との協力も可能。
私は、親友である渚と優紀と同じ課題を選択し、協力しながら進めていた。
だが、各自のパソコンでプレゼンテーションを提出した後、事件は起こった。
私のプレゼンテーションが、渚のものと同じものになっていたのだ。
渚が先に提出したため、もちろん私が疑われた。
そんなの知らない。
提出直前にプレゼンテーションを見たが、これとは違うものだった。
自分はきちんと自分なりに作っていたのに。
本当に、こんなプレゼンテーションなんて見に覚えがないんです。
私ははっきりと主張したが、疑いは晴れず、渚まで疑われる始末になり、私たちの作品は無かったものにされた。
私は必死に渚に謝った。
ごめんなさい、でも私あんなの知らないの、本当に最後まで自分のだったのに──
「あんたがそんな人だったなんて、知らなかった」
やはり、渚は許してくれなかった。
「まじで、見損なったわ」
親友というのは、ただの肩書きだということを初めて知った。
そんな時、心の支えになったのは、あと1人の親友である優紀だった。
優紀だけは、私がやったことではないと信じてくれた。
「私はいつでも、綾の親友だからね」
私の心を読んだかのように、優紀は言葉をかけてくれる。
とっくに孤立してしまった私に、いつまでも寄り添ってくれた。
だがまた、悪いことが起こる。
その日、私は優紀と一緒にカフェにいた。
受験生なので、勉強をしていたのだ。
優紀は頭がいいし、可愛いし、優しいし、高校に行ったらモテるんだろうなぁと思っていたら、優紀は椅子から立ち上がる。
「ごめん、トイレ行ってくるね」
うん、と頷き、机上に付きっぱなしになっているスマホに気づいた。
偶然見えたLINEのメッセージに、私は目を疑ってしまった。
それは、渚からのメッセージだった。
『あのプレゼン、あんたのせいだったの?』
『ねぇ、綾に会わせてよ』
『せめて謝らせてよ、』
一瞬で、全てを察した。
やはり私には”親友”が分からない。