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#グロテスク
観測者l!!@暑すぎて溶けた☆
38,248
#mmmr
菜津/natsu
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_りりは、くるめによって保健室に連れていかれていた。
「…」
言いづらそうに口を閉ざすりりを、くるめが諭した。
「それ以上苦しんでいいの?」
彼女は、第三者だからだろうか?
とても冷静に物事を見て、客観的な目線を、りりに提供する
りりは、そんなくるめの言葉を聞き、1分の沈黙ののち、ゆっくり、ゆっくりと話し始めた。
「……椎名、ちゃんの話です。」
彼女は、観念した。
くるめは驚いたような表情をする、豆鉄砲を受けた鳩のような、そんな顔だ。
「…椎名ちゃんの中に、もう一人”別のだれか”がいるって言ったら、信じてくれますか?」
沈黙が、痛く刺さる。
「…」
くるめも、先生も、しばらく驚いたように黙りこくって、りりを見ていた。
「…どうしてでしょう?」
保健室の先生は、りりに優しく話しかけた。
「…信じてもらえないかもしれないんですけど……。」
息が詰まる。
_約束を破っているのではないか?そんな罪悪感が、心臓を貫いてしまいそうになる。
だが、言うしかない。
言わないと、壊れてしまうと、理解していたから?
_隠したままにすることは、椎名のためにならないから?
_分からない、分からないが、言わないといけない。
「”もう一人のだれか”と、私が…話したんです。 」
身体がが酷くふるえ、勝手に口が動いて、りりは言う。
「…お願いです、椎名ちゃん本人にだけは言わないでください。 」
「他の誰に言ってもいい、けど、椎名ちゃんにバレたら、私は…」
_だが、それが叶うことは、なかった。
保健室を遮る カーテンが、やさしく揺れる。
その窓際からはひとつ_人影が見える。
くるめは、目を丸くし、ひどく怯えた顔をした。
「…ぁ…」
そこで、放心状態になって立っていたのは_
椎名だ。
気が付かなかった。
チャイムはとっくに鳴って、戻ってこないりりを心配した教師が、恐らく椎名に探させたのだろう。
「_え?」
くるめの弱々しい悲鳴のようなものに_りりは、くるめの見る方向を見た。
目が合った。
椎名はただ、立ち尽くしていた。
怒るでもなく、こちらに来る訳でもなく、ただ…
「…椎名、ちゃ…」
カーテンが邪魔をして、椎名の顔は見えなかった。
椎名は慌てて、教室に帰ろうとする。
「ま、まって、椎名ちゃ、」
りりは、保健室から出て、止めようとする。
その手が、伸ばされた手が届くことはなく、椎名は_消えていた。
___
「…」
椎名は、自分の席でただ、ぼうっと座っていた。
自分が聞いたことがまるで信じられず、ただ遠くを、ぼんやりと見つめていた。
「…けど、やっと、わかった…」
椎名は小さく呟く。
(…私が…”当事者”だから)
自身の両手を映す視界がぼやけ、自分が誰なのか?なんて素朴すぎる疑問が、繋がった点線の答えだと知った。
(知らなかっただけだったんだ)
そこに何が残った?そこに何があった?
(…答えが分かったって、何も変わってないのに。)
(…”椎名“が異常なほど眠くてたまらないことも)
(親友を苦しめてしまったことも、親を心配させちゃったことも)
なんだかひどく無意味でたまらなく感じて、ただ俯いていた。
_不思議なほど眠気はない。
(…わたしが、しらなかったから?)
放心する椎名をよそに、次の授業を知らせるチャイムが鳴った。
入ってきた数学教師が、椎名を見て思わず”えぇっ!!?”といった声を上げてしまう。
「えっあ、すまんすまん、えーっと」
数学教師は明らかに動揺していた。
椎名が_あの椎名が、窓をぼんやりと見ているのはいえ、眠そうな目もガラス越しには見えず、こくり、こくりとする様子も、全くないことに。
(…)
椎名は考えた。
そして_強く自覚した。
_自分は能天気にも程があったのだ、と。
そして、そのせいで自分ではなく_親友を苦しめてしまったことを。
(…りーちゃん…ごめん、ごめんね。)
(私がバカだった、そのせいで苦しめて、ごめんね。)
椎名が見つめる窓のガラスから、自身の涙を認識する。
はっと気が付き、それを急いで拭いて、授業に参加する。
「椎名、ぼーっとしてたよな?」
教師が、そう聞く。
「い、いやいや!してないですよ!」
椎名は焦って弁解する。
「ならこの問題、答えられるよな?」
そんなベタな質問が椎名に投げかけられる。
5秒、椎名以外は全員が沈黙した。
何人かが、椎名に注目した。
椎名が眠っていることを、あまりよく思っていない人々だ。
「ここがこうだから…最大値は10、最小値は3です。」
その答えに教師は小さくため息をつき
「はぁ、正解だ。」
「椎名は相変わらず頭だけはいいから、もっと態度を改めてくれ…。」
「すみませーん。」
椎名は教師の言葉に少し面倒そうな態度で答えた。
「…はぁ、再開するからな。」
教師はそういうと黒板の方を向いた。
__放課後、椎名は、1人で走っていた。
_りりに許可は取った。
りりを苦しめる存在が、私であるのだと考えると、それがひどく醜く見えるから。
「はぁ…はぁ…っ…ぜぇ…っぜぇ…」
椎名は無我夢中で、ただ走っていた。
この夕日すら突っ切ってしまうような勢いだった。
そうしなくては、そうしなくてはいけないから。
孤独な音が、何度も何度も響く
椎名はただ走って、走って、走った。
(…ごめん、りり)
(…知らなくてごめん )
(…ごめん…)
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