テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「……調べた所、体組織やその他もほとんど人間と酷似していました。ですのでちょっと回復とかが早い人間、と言っても十分理解出来る程度ですね」
ブラックはそう告げた。風夜は
「やっぱりそうでしょ〜?」
と満足気だがすまない先生は
「じゃあ風夜くんはあの魔導書くんに酷似しただけのただの人間という事なのかな?」
とまだ疑問が残るようだ。
「……まぁ、検査してそうだったなら仕方ないね。で風夜くんこれからどうする?」
そう言われて風夜は
「あっ……そういえば、なんも決めてない」
と呟いた。そもそも風夜がすまない先生に合わせて欲しい、とお願いした理由が分かっていない。ただ同類に会いたかっただけなのかもしれないが。とりあえず風夜にダメ元で聞いてみた。すると
「……なんでだろうね」
だった。薄々予想はしていたが正直ガックリきた。しかしすまない先生はそんなのは露ほども気にせず
「……じゃあさ、しばらく僕と一緒にここで暮らそう!」
と満面の笑みで言ったのだった。
翌日。
「どうせなら風夜くんも授業受ける?それとも探索しとく?」
風夜はふわふわ浮きながら悶々と考える。本人は気付いていないだろうが、真剣に考えたりしていると無意識に浮いたりするようだ。たっぷり数十秒も考えた末に出した答えは
「……授業は理解出来ないだろうけど、すまない先生の生徒には会ってみたいかな」
だった。
「おはよう!すまなーい!」
そう言ってドアを開ける(壊してない)。そしてその後に風夜が続いて入る。
「転校生か?」
と誰かが聞く。すまない先生はうーんと考える。風夜はそれを手で制し
「すまない先生の“知り合い”です。最近こちらに越して来たので、少しの間お世話になっています。学校内をフラフラしているので見かけたら話しかけてくれると嬉しいです」
とスラスラと嘘を吐いてみせた。ブラックがものすごい目をしていだが最前列なので誰も気付かなかった。
風夜は廊下を歩きながら考える。とても懐かしい光景だった。少し違う所もあるような気もするが誤差の範囲程度だ。脳裏にいくつもの映像がフラッシュする。先程と同じようにみんなの前に立って自己紹介した日。誰が強いのか気になって、バトルロワイヤルと称して本気で戦った日。みんなで協力して敵をぶっ飛ばした日。すまない先生を“助けた”日。
(……これは……僕の記憶……?)
どの映像にも必ず彼らが写っている。
(……僕は……昔彼らと会っている……?それも僕自身、彼らと同じ生徒の一員として……?)
「……バッカらしい……」
そう言って切り捨てようとした。だけれど頭の芯で何かが疼く。
ぽたっ……
「は……はは……なんだよこれ……」
風夜の両目から大粒の涙が溢れる。
「……なんで泣いてるんだ……?」
そう問うても涙は次から次へと溢れてくる。
「……懐かしいから……なのかな……?」
涙の一つ一つは文字となり、どこかへと吸い込まれていった。