ようこそ…カリモトの事務所へ。
今日の話は短いけど、それなりに危険だったよ。
正直、妖怪って怖い。
僕は他の依頼で山に登らなくてはならなかった。
その山に向かってる最中…
3体の地蔵が並んでいたんだ。
少し気味が悪かったけど…そこしか道がなかったので通るしかない。
僕がちょうど、地蔵の前を通った時…
「うおぉ!」
何かに足をすくわれて転んでしまった。
道に石とか無かったはず…
そう考えている時に、僕は腕に痛みを覚えた。
急いで袖をめくると…
「ウソだろ…」
切り傷が付いてる……さっきまでは無かった……転んだ拍子に傷ができたのか?
血は流れてないようだが…
とりあえず、立ち上がって周りを注意しよう。
再び登り道を歩こうとした時…
「うおぉ…!!」
とんでもない風が吹き始めた。
まるで台風じゃないか…
くそ…全身が…刃物で切り刻まれているように痛い……!
何が起きてるんだ!
しばらくすると、強烈な風は静かに止む。
「はぁ…はぁ…おかしい…おかしすぎる」
絶対、何かがいる。
登りは一本道だ。
前と後ろ以外、草むらに囲まれている。
何かが襲ってきてもおかしくはない…!
僕は覚悟を決める。
「…出てこい…怪異なら堂々としようじゃないか…!」
声を上げた時、草むらから何かが飛び出した!
「シャアァァァーー!!」
何だコイツは!?
キツネか? いや違う!
妖怪…!
見たことがある…風と同時に人を切りつける…もしかして『鎌鼬』か!?
1体だけならどうにかなりそうだったのだが、そんな考えはすぐに壊される。
また草むらから何かが飛び出してきた!
かまいたちだ…それも2体…
マズい…3体は…マズすぎる…!
とりあえずポケットから虫眼鏡を出す…
痛む腕に耐えながら、ヤツらの記憶を覗いた。
見えたぞ…
(この人間、勝手に入ってきやがった!)
(オレたちはかまいたち! 三兄弟だ! 長男が(朱月)次男が(青桐)三男が(雷槌)
やはりかまいたち…それに名前もあるぞ。
だがそんなことをしているうちに、3体に囲まれてしまった…
「キャシヤャアアァ!!」
3体が金切り声を上げると同時に、猛烈な風が吹き荒れる!
ただの人間ならここで死ぬ…だけど、このカリモトは一味違う…!
僕は虫眼鏡で自分を覗く、そして自分の記憶を書き換えた。
(僕の体は鉄製だ)
こういうことを書けば、脳が錯覚してその通りになる。
鉄になった僕の体、切ることは出来ない…
傷一つ付けられない僕を見て、かまいたちは困惑している。
その隙をついて、ヤツらの記憶も書き換えてやった。
(人間に近づいてはいけない)
こう書くと、かまいたちは一斉に逃げていく。
なんというか…疲れた…
まさか怪異に会う前に、怪異に会うなんてな…
そういえば、山に登るんだった…
もう一回、記憶を書き換えておこう。
(僕の体は宙に浮く)
これで楽になるかな…
妖怪……何でもありだな。
だからこそ、僕も何でもありな能力を持っている。
こんな能力を持ってるからこそ、怪異が向かって来るのかもしれないな……
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