結局、阿鳥先輩をずっと見ていた事以外は分からずに終わってしまった
音子ちゃんや阿鳥先輩、ルリちゃん先輩的には栄養失調か過労で倒れたか死んだと言われた
その通りかもしれない
だって思い当たる所しかないのだから
引きこもり、2日に一回か、3日に一回の食事(inゼリーorカロリーメイト)、自傷行為、ライフラインが止められるetc
本当に皆の言う通りだと思う
そんな事を考えつつ、支配人にロビーを変わってと言われたので変わった
何かあったのかな?
お客様)チェックアウトをお願いします
〇〇)了解しました。またのお越しが無いことを願います
お客様)そうだね。お世話になったよ
〇〇)行ってらっしゃいませ
そう言ってお客様を送った
ルリ)△△!あいつヤバイわよ!
〇〇)如何したんですか、ルリちゃん先輩?
音子)あの人、大外 聖生さんって言うんですけど何人もの女性を襲って殺してるんですよ
〇〇)へー、あの人が
遥斗)大外様がルリさんを人質にして大変だったよ
〇〇)ルリちゃん先輩大丈夫だったんですか!?
ルリ)なんとか大丈夫だったけど、本当にここでの事は現世で覚えてないんでしょうね!
支配人)多分覚えてないよ
ルリ)多分って何よ、多分って!
ここでの事は覚えてないのかっと少し落胆しつつ、皆を見ていたら
支配人)5万人に一人ぐらいっぽいよ、覚えている人は
ルリ)ぽいって何よ〜!
???)へぇ、5万に一人ですか
音子)なんで帰ってきたんですか?
聖生)こっちが聞きたいよ。ここに来た理由が分かればどっちかに行けると思ったのに歩いても、歩いてもここのたどり着いてしまうんだよ
支配人)ではお客様はご自身の生死がわかってないのですね
聖生)そうですけど…
支配人)では帰れませんよ。ここは生死のわからないお客様がいらっしゃるホテルなので
聖生)なるほど…では再びチェックインを
ルリ)なんでなのよ!コイツは犯罪者なのよ!
〇〇)ルリちゃん先輩、仕方ないですよ。大丈夫ですよ、きっと
ルリ)きっとって何よー!
聖生)僕がどのような女性を狙ってたかわかるかい、塚原くん
音子)顔は傷だらけでしたけど、元はとても美人だったと思い出すよ。それもモデル体型であり、おっぱいが大きい
聖生)正解だよ。だから君達のような寸胴は僕の性対象ではない
音子)ギリギリ△△先輩入ってません?
〇〇)ん〜、胸はDぐらいしかないよ?身長は低めだしそれよりも瑪瑙さんの方が危ないよ
支配人)大丈夫。あの人は人間なんか敵じゃないから
聖生)たしかに△△さん?と言ったかなギリギリ入ってるけど…
私は被せるように
〇〇)私の初めて奪えるなら奪ってみてくださいよ。全力で抵抗するんで
遥斗)〇〇ちゃん!?
〇〇)だって私は
そう呟きながら私は大外様に近づき、背負投の体勢をとる
聖生)なるほど。僕なんか敵じゃないと
〇〇)流石に支配人程の体格の人は私では投げれませんけど、大外様のように細い人は投げれると思いますよ
そう言い、私は大外様を背負投した
支配人)〇〇ちゃん、お客様を背負投しちゃ駄目だよ!
〇〇)だって、ルリちゃん先輩にトラウマ植え付けたり、音子ちゃんや阿鳥先輩を困らせた事が許せなかったので。大丈夫です、殺してはいません
支配人)全然だいじょばないよ!
聖生)殺してはいないけどかなり痛かったよ
〇〇)まぁ私は黒帯なんで痛いでしょうね
音子)黒帯!?
〇〇)次何かしたら関節技しますからね
聖生)わかったよ。ここにいる間は何もしない
支配人)〇〇ちゃん、早くお客様から手を離しなさい!
〇〇)はーい
〇〇が聖生から手を離し、手を差し伸べる
聖生)一人で立てるよ
〇〇)さようでごさいますか
遥斗が音子に耳打ちする
遥斗)どう思う?
音子)大丈夫じゃないですか?△△先輩が脅しましたし…一時休戦って事で
聖生)そうだね。一時休戦といこう。僕がここにいる間は誰にも手を出さない
音子)はい、このホテルの中ではの話ですけどね
聖生)そうだね。このホテルの中での話だよ
その後支配人、瑪瑙さん抜きでの会議が厨房で行われた
ルリ)本当に大丈夫かしら…
〇〇)できる限り、大外様には会わないようにしないとですね
遥斗)そうだね。できる限り2人1組で行動した方がいいかも
〇〇)何かされたら言ってくださいね。分からせてあげますから
ルリ)△△って強いよね、ひょろひょろのくせに
〇〇)全然だよ。私の努力は天才が努力したよりも、凡人が努力したよりも弱い
音子)周りの人どんなに強いんですか…
〇〇)私よりも強い人なんかいっぱいいるよ。私は体が弱くて身長も小さくて筋肉も少ないから余計にね…
遥斗)だから辞めたの、柔道?
〇〇)やっていけないって思ったから辞めました。私の両親は柔道の金メダリストなのに娘の私は全然だったから…
音子)マジっすか、両親はが金メダリストって
ルリ)もしかして△△ ××と△△ □□の娘?
〇〇)そうですよ、ルリちゃん先輩
遥斗)それは辛いね…
〇〇)柔道では両親の期待に応えられないから他の物で期待に応えようとしたけどまた応えられなかったんです
音子)なにをしたんですか?
〇〇)絵だよ、音子ちゃん
遥斗)あれ、でも賞は取ってたよね?佳作
〇〇)何度もコンクールに応募しても佳作か、努力賞止まり。そんな私に両親は何も言わなかった。褒めもしなければ、怒りもしない
ルリ)それはキツイわね
〇〇)何度も両親の失望した顔を見たから、辛くて大学を卒業と同時に逃げました
音子)それでイラストレーターで働いたけど、生活カツカツで追い込まれて自傷行為に走って生死の狭間を彷徨ってるってわけですね
〇〇)あはは…ぐうの音も出ない…
遥斗)笑い事じゃないよ
ルリ)厄介な人生ね、△△
〇〇)これが私の選んだ人生。悔やむ事も恨む事もしない。行くところまで突っ走って、死ぬ。そう決めてます
音子)凄い生き方ですね。やっぱり絵を描く人の感性は独特ですね。それで自傷行為に走るなら尚更です
〇〇)ん〜、そうかも
雑談混じりに大外様の取り扱い方を決めた
ある日、暇なのでバーにいたら大外様がいい感じだった
グラス片手に本を読み、その姿が黄昏時の光が差し、綺麗だった
〇〇)久しぶりにキャンバスに描いてみるか
そうして私は部屋に大きめのキャンバス、イーゼル、油絵の具を取りに行った
瑪瑙)あらぁ、大荷物ね
〇〇)油絵の具、使っていいですか?
瑪瑙)大丈夫よ
〇〇)大外様、貴方の絵を描いてもいいですか?
聖生)僕の絵かい?構わないけど、どんなポーズを?
〇〇)別にポーズなんか入りませんよ。適当にグラス片手に本読んでください
聖生)わかったよ
〇〇が椅子に座り、絵を描き始める
瑪瑙)〇〇ちゃん、足グセ悪いわねぇ
〇〇)この座り方が一番描きやすいんで
瑪瑙)下着見えないようにね
〇〇)はーい
全然いい感じにならない
全然大外様の綺麗な姿を描けてない
もっと頑張って、綺麗をキャンバスにしないと
違う、こんなんじゃない!
切子)3時間ぐらい描いてるんじゃないか?
瑪瑙)ぶっ続けで大丈夫かしら?ちょ、〇〇ちゃん!?
もっと、綺麗に描かないと
瑪瑙)〇〇ちゃん!
切子)これが過集中か。興味深い
瑪瑙)笑い事じゃないわよ!
遥斗が〇〇の腕を掴み、首から離す
〇〇)あれ…阿鳥先輩、如何しましたか?仕事ですか?
遥斗)自分の手、見てみな
そう言われて私は自分の手に目をやった
〇〇)血………?首、痛…
瑪瑙)首をさっきからずっと引っ掻いていたのよ。呼んだけど〇〇ちゃん、気づかなかったのよ
聖生)自覚無しかい?
〇〇)阿鳥先輩に言われるは気づかなかったですね
切子)血が垂れてるよ
聖生)手当してあげようか
〇〇)ありがとうございます。お願いします
そうして私は大外様に手当をしてもらった
瑪瑙)流石医学生。手際いいわね
聖生)そんなことないですよ。僕の両親に比べたら僕は全然です
〇〇)逆戻りかなぁ…絵、好きになれたと思ったんですけど
遥斗)どうしてこうなったの?
〇〇)全然大外様の綺麗な姿を描けなくってストレス溜まって無意識の内に首を引っ掻いたと思います
聖生)見てもいいかい?
〇〇)途中でいいならどうぞ
聖生が〇〇の未完成の絵を見る
聖生)結構上手いじゃないか。思ったよりもいい感じ
〇〇)どんな絵を想像なさったのですか?
聖生)小学生が描いたような汚い絵を思い浮かべたよ
〇〇)現世ではイラストレーターでしたから多少は描けますよ
切子)イラストレーターってデジタルなイメージだけど君はアナログが多いよね
瑪瑙)たしかに。デジタルは描かないの?
〇〇)仕事はデジタルが多かったですね。けど仕事とは別に描くときは圧倒的にアナログですね
遥斗)〇〇ちゃんって人物像描くの多いよね
〇〇)そうですね。人物像描くの好きです。だから結構描くかもです
聖生)それで、稼げてるのかい?
〇〇)それが全然です。ライフラインは止められ、満足なご飯食べてないです
切子)それでも男を背負投したんだろう?
〇〇)まぁ親が柔道金メダリストだからこれぐらいできないと…
聖生)柔道の道には進もうとは思わなかったのかい?
〇〇)才能、無いんで
瑪瑙)それで終わらせちゃって良かったの?
〇〇)良かったんです。体は小さくて、弱くて筋肉が少ないから周りと比べると本当に私は弱いんです。その中にいるのが場違い過ぎて周りの子に申し訳なくて辞めました。それに【柔道金メダリストの娘】というレッテルが嫌いですから
切子)レッテルねぇ
〇〇)初めての彼氏は私の両親に会いたくて私に告白してきました。最初は気づかなかったですけど、だんだんと両親に会わせてくれって言われてわかったんです。私から別れを告げました
聖生)君も難儀な人生を歩んでるね
〇〇)だから奇抜な髪色にしてみました。これで両親の娘って分かりにくくなると思って
遥斗)マスクとかチョーカーとかもそれが理由で?
〇〇)マスクとチョーカーは違いますよ。無意識に掻きむしっちゃうんてそれ防止に付けてます。傷が酷いんでそれを隠すのにも使ってるんですけど
切子)傷ごとき気にしなくてもいいとは思うけどな
〇〇)傷が気味悪いって思った一番最近の元カレが浮気したんで別れました
聖生)案外モテる?
〇〇)元カレ3人ぐらいですよ
瑪瑙)まぁまぁって感じね
遥斗)いいな、少なくて
〇〇)唯一まともな恋してたの2番目の元カレですかね
切子)どんな人だったんだい?
〇〇)私に絵を教えてくれた人でした。高校入った時、部活の勧誘で知り合いました。1つ先輩の優しい人でした
聖生)どうして別れたんだい?また浮気?
〇〇)浮気をするような人じゃ無いですよ。壊れちゃったんです
瑪瑙)まぁ…どうして…
〇〇)本気で絵の道を目指してたんです、陸くん。だから他の人の絵を見て勉強していくうちに自分の絵はなんの魅力のないクソな絵だって思うようになっておかしくなっちゃったんです
切子)今でも好きなのかい?
〇〇)壊れちゃった陸くんは陸くんではないんです。だから今は好きじゃないんです。けど、未だに思います。如何して支えられなかったんだろうって思います。私は、陸くんの絵が大好きです。暖かくて、優しくて、本当に大好きなんです。そんな陸くんに私はトドメを刺した
遥斗)トドメってどういうこと…?
〇〇)私、陸くんが壊れ始めてるの気づいてたんですよ。けど、何も声をかけることができなかった。だから私は行動に移すことにしたんです
聖生)その行動がトドメということかい?
〇〇)そうです。私、陸くんに絵を渡したんです。その絵を見て陸くん、発狂して絵を破り始めたんです。如何して僕は、僕はって何度も言ってた…
瑪瑙)変わってしまったのね。けど貴方も辛かったんじゃない?大好きな人から頑張って描いた絵を破られたから
〇〇)私は大丈夫ですよ。陸くんはその後、謝ってくれたんで
聖生)それで許すとは△△くん、案外チョロい人?
〇〇)泣きながら謝ってくれたら許しちゃうぐらいチョロいです
瑪瑙)〇〇ちゃんは好いた男の涙に弱そうね
〇〇)とっても弱いです。浮気した野郎は泣いて別れないでくれって言われましたけど全然なびかなかったです
遥斗)なびく必要ないよ、そんな奴に
切子)男を見る目ないな、フフフ
〇〇)無いかもですね
聖生)親に会いたい為に付き合った男、狂った男、浮気男、男見る目ないにも程がある
〇〇)次もしチャンスがあれば大丈夫ですって
瑪瑙)心配だわ。次の彼氏がクズなら言ってね、奥歯ガタガタ言わせてやるから、ね?
遥斗)瑪瑙さん、殺しません…?
瑪瑙)さぁ、どうでしょうね?
〇〇)クズ野郎の対処ぐらいはできますよ。盛ってる時に突撃すればいいんですよ
聖生)怖い怖い
切子)思ってないですよね?
遥斗)大外様はあまり怖い物無いと思います
聖生)僕にも怖い物ぐらい1つや2つあるさ
〇〇)警察とかですか?
瑪瑙)あぁ怖がりそうね。いつ逮捕されるかわかったもんじゃないものね
聖生)のらりくらりかわせばなんてことないさ
〇〇)頭いいですもんね、大外様は。言葉巧みに警察を騙しそう
遥斗)わかるかも…
聖生)△△くんは人を殺せるかい?
〇〇)そこに行き着く道を選んだなら殺すかもですね。できれば殺したくは無いですけど
切子)血とか苦手なのか?
〇〇)多少の血はいけますけど大量にっとなると無理です
こんな平穏な日々がまだ続くと思ってた
あの人に会うまでは…
次回、担当したお客様の正体
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