ルバーブ城は近くから見ればそれはもう惚れ惚れするような作りだった。
外、真ん中、中心、と3構造にそれぞれ城が建っており、
それぞれに全て架け橋がかけてあり、それぞれの層に検問兵が居る。
白い円柱型の建物が両端にそれぞれ2本ついている。
中心の城は他の城より一層高く、外からよく見えた。
「ねぇロウ、何であんなに城が建っているの?」
「あれは外から三宮、二宮、一宮といってな。まぁ軽い階級みたいなものさ」
「三宮は?」
「主に貴族が多い。」
「二宮は?」
「外国からの客や、レティシア王国の豪族達が集まる所だ。」
「じゃぁ一宮は?」
「まるまる王族の住みかだ。」
「まるまる!!」
少女は目を見開き、軽くため息をついた。
「でもさぁ‥広すぎない?」
「全くだ。つくづく不景気だな?」
「同感。」
「全く、王族は無駄しかする事がないのか?
一度体を洗ったらその布は捨てるわ、着替えるのに侍女が5人
くるわ、毒味をするからたべるのは全部冷えきってるわ、
外に出ようとするとぞろぞろ御供がついてくるわで散々だ。
全くもってつくづく王族は不景気きまわりない。」
少女がくすくす笑う
「まるで王族みたいに言うね?」
「‥‥‥‥‥」
男は黙って黙々と進む
「さぁついたぞ。」
男と少女はルバーブ城の後ろ側の森に出た。
「うわぁ‥でっかいね」
「この城がレティシア王国のいわば心臓部分だ。」
「確か‥」
言い終わらない内に少女は黙って腰から剣を抜き払った。
「誰かくる。」
今までの経験上からこの少女の耳の鋭さは尋常ではない。
「やれやれ‥またか」
男も同様に大剣を抜き払う。
相変わらず森の方では鳥が梢、川のせせらぎが聞こえる。
しかし少女と男は騙されなかった。
やがて城から現れたのは、兵士8人ほど連れた馬に乗った30代の男だった。
少女は低く舌打ちをした。
「確かにお前相当顔が売れてるな。」
その男の鍛え上げられた堂々とした体のあちこちには傷痕があり
腰に長剣、鋭い眼光、手入れされてなくがさがさな黒の髪。
その気迫、誰の目から見ても修羅場をくぐった戦士だと分かるだろう。
その瞬間、隣に居る男の気配が冷たく凍る。少女の間に緊張が走る。
青い瞳は氷の様に鋭く、冷たく煌めいている。
男は不敵に笑う。
「やぁ‥久しいな、ヴィッツ。」
「これはこれは‥誰かと思えば‥」
ヴィッツと呼ばれた男は目を見開き不敵に、不気味に笑う。
「久しいですな‥名は確か‥‥。」
「ロウ・ラーデン・サルヴェ・レティ王子」
少女はゆっくり男を見つめた。
「おや?俺は国王殺しの大罪人ではなかったのか?」
その呼び方に男は皮肉たっぷりに笑う。
「おや、そうでしたな。権力欲しさに目がくらみ、先国王名王サントス様を殺し、我が主に追放された国罪人ロウ・ラーデン・サルヴェ・レティ殿」
男の気配がますます冷たく凍る。
今にも噛みつく様な気迫だ。
「何故、ここに訪れたのですか?」
「どうもこうもない。レティシアに帰る。」
ヴィッツはわざとらしくため息をつく。
「それはやめていただきたい。やっと収まった我がレティシア王国を
再び混沌に陥れたいのですか?」
「真っ先に混乱に陥らせた張本人達が何を言うか‥‥。」
皮肉たっぷりに笑い男は不気味なほど低い声で訪ねる。
「ルールは?」
「‥‥‥‥‥」
「彼女はどうした」
「‥‥‥‥‥」
男はしばらく睨んでいたが、無駄だと悟ったようだ。
「忙しいんだ。用件を言え。」
「では」
「我々の望みは簡単です。即刻このレティシア王国を立ち去り、
二度と戻ってこないでください。あとは南の国でも北の大地でも
どこにでも行ってください。」
反抗するかと思いきや、男はあっさりと傾いた。
「なるほど、わかった。ルウ行くぞ。」
男はのんびりと森へ歩いていく。少女もその後をついていく。
やがて2人は森の中の切り株に腰掛けた。
「ロウ、本当なの?本当にここの王子なの?」
「まぁ‥な」
「やっぱり‥」
男は少女に視線を向けた
「知ってたのか‥‥?」
「まぁね、ただの自由戦士には見えないほど貫禄あるし、
やけに王族の事情を知ってたしね。」
そこまで言うと少女は真顔になった。
「ロウ、君は本当にお父さんを殺したの?」
「違う。」
「父は立派な国王だった、兄もそれにひけを取らないほどに。」
「じゃあ完全な濡れ衣なんだね?」
「これ以上の濡れ衣はない!!」
握り拳を作り唇を噛み締めた。
「俺は国王何かになりたくなかった、興味もない!!
なのに兄は‥俺が次期国王になると言われた時から俺を逆恨みしてた!!」
「‥‥」
「俺は‥兄の事は正直好きではなかった‥嫌みを言われたりしたこともある
それならばまだしも‥父を殺すなんて‥‥」
「あんまりだ‥‥」
少女はそこまで聞き、ある疑問を訪ねた。
「ルールっていう人誰なの?」
男はどす黒い声で答えた。
「婚約者だ。」
少女もあんぐりとした。
「婚約者が居たの?」
「ああ」
「その人はいまどこに?」
「‥‥‥‥‥」
「まさかだけど‥‥‥」
「ああ我が兄の掌中、あのルバーブ城の最深部に収監されている。」
「その人はなにもしてないの?」
「そうだ、ただ俺の婚約者と言うだけで捕らえられた。」
少女もはっきりと怒りを表す。
「ひどい‥‥!」
「彼女だけは‥‥!どうしても救い出さなければならない、」
「例え、この命落としても。」
その言葉は一千の重みを持っていた。
コメント
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うふふ…僕は知っている…このストーリーの続きを…知らない…(?)