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鬼滅の六重奏

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鬼滅の六重奏

2 - 壱話 幸せが壊れるとき

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2024年07月09日

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壱話

幸せが壊れるとき

※ちょいグロ

雪が溶け始めた早春の小川で、二人の少年が遊んでいた。一人は前髪が桃色の少年。もう一人は柴色の髪の毛の少年。二人は川に笹舟を浮かべて遊んでいた。

「蘭、もうすぐ夜になる」

柴色の少年は言った。声をかけられた少年___蘭は振り返ると、柴色の少年の方に駆け寄っていった。

「入真!」

「蘭ってそんなに気持ち悪かったか…?w」

「酷っ!?」

二人は山の麓にある小屋に帰っていった。


夕飯を食べ、布団に潜り込む。入真は幼少期に両親が行方不明になってしまったため、家で預かっている。今では兄弟のように仲良く暮らしている。でも、

「入真、俺…」

「ん…?」

「すごい嫌な予感するんやけど、」

「奇遇だな。俺も思ってた」

「怖いなぁ……」

その時だ。ガタンと急に扉が開いた。一瞬で両親がズタズタに切り刻まれる。血飛沫が上がり、二つの命が失われたことがわかった。蘭は入真の腕にしがみつく。入真も小刻みに恐怖で震えていた。

「なっ……!?」

月明かりに照らされて、両親を殺した者の姿が明らかになる。八尺はゆうに超えた背丈。長い爪、丸太のような太い手足。これは___

「鬼!」

昔祖母に聞いた話。昔から人を喰うとして恐れられていた化け物。人喰い鬼。

「ぁあ?なんだテメェら。まぁいい。切り刻んでやる」

首筋が粟立つ。次の瞬間、入真の腕から血飛沫が上がった。

「ゔわああああああああああああ!!!!!!!!」

入真が叫ぶ。蘭は入真の肩を掴み、裏口へ走った。

「痛い!!!痛い!!!!!!」

「うわあああああああああ!!!!!!!」

裏口を蹴破り、麓へ転がるように逃げた。何度も転び、傷を作り、息を切らしながら走っていった。入真も腕を押さえ、泣きながら走っていった。後ろから鬼の気配がする。涙で視界が滲む。そこから麓までは途轍もない道のりだった。

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↑伝われ





平井那津編


那津には親がいなかった。まだ幼い那津を育ててくれたのは、街の優しい人。だから、血が繋がっていないと知った時は驚いたし、何より生き別れの弟がいたと言うことも知らなかった。

「那津、豆腐買ってきてくれる?」

台所から叔母さんの声がする。

「豆腐何丁?そこの豆腐屋でいいん?」

叔母から受け取った小銭と桶を持って、街へ行く。賑やかな街の音に耳を澄ませながら、豆腐屋に向かう。このまま平凡な日々が続けばいいのに。それはただの自分のわがままだろうか。


その日の夜は、ろくに眠れなかった。叔母の夫…叔父が行方不明になったのだ。心配で心配で眠れない。

「那津、今旦那様が探してくれてるから、那津はもう寝てなさい。」

「でも…もし死んじゃってたらって考えると…」

「こら!そんな縁起悪いこと言わないの!」

その時、玄関から誰かの声が聞こえた。

「母さん、叔父さん見つかりましたー!」

すぐさま玄関へ走る。そこには旦那様に背負われた叔父の姿があった。

「まあ!お父さんどうしたんですか」

「叔父さん……?」

叔父は足に大きな傷を負っていて、歩けそうになかった。


「那津、本当のこと話してやる。こっちに来い。」

あの日から数日。叔父さんの体調も落ち着いてきた。叔父は足を熊に襲われたと言っていたが。

「本当はな、人喰い鬼に喰われたんだ。」

「人喰い鬼…!?」

人喰い鬼。噂には聞いていた。人を喰う化け物で、いろんな形のものがいるらしい。まさか叔父さんが人喰い鬼に襲われたとは思っていなかった。

「那津、鬼狩り様を知っているか?」

「はい。知ってます。鬼を狩ってくださるという…確かお祖母様も鬼がりに助けられたんでしたっけ」

「そうだ。この家の門に藤の花の紋が書いてあるだろ。あれは一族を鬼狩りに救われた一族の証なんだ」

鬼狩り様。一度だけ街を歩いているのを見たことがある。日本刀を持っていて、鬼の首を斬る仕事をしている人。俺もあんなひとになりたいと、ずっと思っていた。今言った方がいいかもしれない。そう言って、那津は恐る恐る口を開いた。

「叔父さん、俺……鬼狩りになりたいです」



雨乃小鮫編

小鮫は孤児だった。名前もない。親は居らず、育手の老人に拾われて、小さい頃から鍛錬していた。名前は自分でつけたし、漢字も書けなかった。育手の老人___天野剛志は小鮫を一人前の鬼狩りに仕立て上げた。岩を斬る訓練、滝修行、呼吸の仕方、構え、刀の使い方。全てを叩き込まれた。悲鳴を上げながら、何度も折れそうになりながら。ついに岩を切った時は、天野も言葉を失っていた。小柄な女子のような小鮫が、二米もある岩を真っ二つに切るなんて、誰も予想していなかった。最終選別に行くことを許可する。その一言が、小鮫を奮い立たせた。

「天野さん…小鮫、最終選別生き残れると思いますか?小鮫、すっごい怖いです」

そう言うと、天野は優しく頭を撫でてくれた。

「小鮫、お前は儂に拾われるまで、寒い雪山で生き延びた。それはすごいことだ。あの雪山なんかよりも小鮫の方が強い。つまり鬼なんて余裕で倒せる。儂は小鮫、お前を信じる。」

涙が込み上げてきた。視界が滲んで、雫が頬を濡らした。

「泣くのはまだ早いぞ。泣くのは最終選別を突破してからだ。」

「…!はい!!!!」

そう言って小鮫は笑った。


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皇尊編

尊はすめらぎ、と言う名字もみことという名前を結構気に入っていた。家は他に比べて裕福だった。勉強もできて、英語もできる尊。でも、この裕福な暮らしの中で一つだけ願いがある。それは人の役に立ちたいという夢だ。今の生活も好きだけれど、誰かのために頑張って、努力して、その努力が報われる。そんな日々を送りたいと思っている。でも家族は家を継いでもらうの一点張りで、尊の話を聞こうとしない。だったらもう親を納得させるためにいい仕事に就く。いつか認めさせてやる。

ふと、幼いときの記憶が蘇る。夜の街で迷子になり、化け物に襲われた時のこと。化け物のあの燃えるような赤い目が忘れられない。足に力が入らなくて、もうだめだと思った時、鬼狩り様が助けに来てくれた。刀で化け物の首を刎ねて、こちらを振り返った剣士。化け物は灰になって消えた。あの日尊は命を救われたのだ。

そのことを母親に話すと、母親は嬉しそうに抱きしめてくれた。そうだ、鬼狩りになれば、母親も認めてくれる。その日から尊は街で鬼狩りを探し始めた。そして、ついに見つけた。

「…もしかして、鬼狩り様ですか…?」

その人はやっぱり鬼狩りで、経緯を説明すると、育手という人を紹介してくれた。その日から家に帰ることも忘れて、厳しい鍛錬を受けた。




高緑素知編

その日は従姉妹の姉結婚式だった。大好きな従姉妹の姉。素知は朝から楽しみでたまらなかった。晴れ着を纏った姉と旦那さんはとても美しくて、その日は幸せな1日になる。そう信じていた。


夜も更け、父親や叔父も酒が回ってきた頃。旦那さんも姉さんも幸せそうで、つい眠くなってきてしまった。うとうとしていると、急に凄まじい断末魔と血が飛び散る音がした。目を見開くと、そこには地獄のような光景が広がっていた。

「あ………っ!?!??!」

目の前で、姉が化け物に喰われている。旦那様も、父親も、叔父も、みんな。化け物は人の形をしているが、顔が三つある異形だった。

「お前…………!!!!!!よくも……!!!!!!」

腹から地獄の業火ような怒り、憎しみ、悲しみが吹き出してくる。今までに感じたことのない感情を抑えることはできなかった。飾ってある日本刀を持ち、剣を引き抜く。

「ぶっ殺してやる…………!!!!!」

それからの記憶はない。刀で化け物の首や心臓を突き刺し、切り刻んだ。気づいたら朝になっていて、化け物は斬り刻まれて赤い水たまりになっていた。灰になって蒸発していく化け物を、ただ眺めていた。当然の報いだ。


その時から素知は感情を失った。放心状態になり、一人で林を彷徨った。化け物を切り刻む時の剣術、呼吸法をしっかりと記憶し、一人で生きてきた。歌を歌うことが大好きで、よく寝て、よく食べて、絵の上手い素知を取り戻していった。

ある日、林に一人の青年が訪ねてきた。この林に誰かが住んでいるという噂を聞いてやってきたという。素知はその青年から鬼殺隊のことを聞いた。そして最終選別を見事突破した。





拙い文章でしたが、読んでくれてありがとうございます。

次回は六人が最終選別で出会う話です。♡、コメント等よろしくおねがします。

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