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#前世
shima7a
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第87話 「三度目の正直」
2023年8月。
夏の甲子園決勝。
柳城高校―宮城育英高校。
試合開始。
甲子園は超満員だった。
全国の高校野球ファンが注目している。
二年前から続く因縁。
柳城。
宮城育英。
三度目の対決。
初回。
塁は落ち着いていた。
先頭打者を三球三振。
二番。
ショートゴロ。
史陽が軽快にさばく。
三番。
センターフライ。
三者凡退。
最高の立ち上がりだった。
その裏。
柳城もチャンスを作る。
一死一、三塁。
しかしあと一本が出ない。
0対0。
試合は進む。
三回。
宮城育英が先制する。
二死二塁。
右中間へのタイムリー。
0対1。
先制点を奪われる。
アルプススタンドが静まる。
だが。
柳城ベンチは慌てない。
五回裏。
塁がヒットで出塁。
投手ながら執念を見せる。
送りバント。
二死三塁。
打席は史陽。
宮城育英バッテリーも警戒する。
初球。
変化球。
史陽が逆方向へ弾き返す。
レフト前。
同点。
1対1。
大歓声。
舞は思わず立ち上がる。
福間監督は腕を組んだまま。
しかし口元が少し緩んでいた。
試合は終盤へ。
七回。
八回。
両投手が踏ん張る。
1対1。
決勝にふさわしい激戦だった。
九回表。
宮城育英の攻撃。
二死二塁。
長打で勝ち越しの場面。
打席は四番。
去年。
春。
何度も柳城を苦しめた打者。
塁は静かに帽子を直す。
史陽がショートから声を上げる。
「楽しめ!」
塁が笑った。
兄の言葉。
監督の言葉。
そして仲間の言葉。
全てが重なる。
初球。
ストライク。
二球目。
ファウル。
追い込む。
三球目。
渾身のストレート。
空振り三振。
球場が沸く。
塁はガッツポーズを見せる。
高校野球人生で一番大きなガッツポーズだった。
そして九回裏。
柳城の攻撃。
先頭打者が四球。
送りバント成功。
一死二塁。
打席は三番。
敬遠。
一死一、二塁。
そして。
打席には史陽。
甲子園が静まり返る。
史陽は深呼吸した。
兄。
舞。
福間監督。
仲間たち。
そして塁。
全ての思いを背負う。
投手が投げる。
史陽が振り抜く。
打球は三遊間へ。
ショートが飛び付く。
届かない。
レフト前へ抜ける。
二塁ランナーが三塁を回る。
ホームへ。
送球。
クロスプレー。
審判が両手を広げる。
「セーフ!」
ゲームセット。
柳城高校 2-1 宮城育英高校。
サヨナラ勝ち。
全国制覇。
甲子園優勝。
塁はその場に座り込んだ。
史陽も膝をつく。
三年間。
長かった。
悔しい敗戦もあった。
苦しい時期もあった。
それでも諦めなかった。
福間監督がゆっくり歩いてくる。
選手たちを見る。
そして一言。
「おめでとうございます」
それだけだった。
しかし。
その言葉に。
全員の涙があふれた。
柳城高校。
全国制覇。
双子世代の物語は。
ついに頂点へたどり着いた。
第87話 終
コメント
1件
もう最高すぎて声出た😭💕 三度目の正直、ついに掴んだ全国制覇…!塁くんの渾身の三振からのガッツポーズ、史陽のサヨナラヒット、全てが尊い。特に福間監督の「おめでとうございます」の一言で涙腺崩壊しました。双子世代の物語がこんなに美しく着地するなんて…読めてよかったです。天海カオルさん、本当にありがとうございます!!🌸✨