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#心理戦
鬼霧宗作
711
Mr.J
154
七亡
1,619
梶田
王様
王様
引っ越してきた途端、自称王様を名乗る男から、金銭を要求された。
この事実に、素直に「はいそうですか」と応じる人間はいない。
明らかにおかしなことを言っているのはあちらのほうであり、こちらが正しいと思うのは当然のこと。
――しかし、ルールや常識の良し悪しというものは、多数決によって定められる。
人が1人で生きていく分には、実はルールというものは必要ない。
自分がやって招いたことは、全て自分の責任になるからだ。
でも、人が2人以上集まると、そうはいかない。
結果、ルールというものが必要になる。
そして、そのルールというものは、それぞれのコミュニティー間で形成されている。
それは本来、モラルという共通認識のもとに形成されるものなのだが――。
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男と揉めていると、廊下のほうから初老の女性が姿を見せた。
ようやく助けが来てくれたとばかり思っていたのだが、どうやら雲行きが怪しい。
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梶田
男は勝ち誇ったかのように手を差し出している。
王様
とだけ付け足しながら。
梶田
梶田
梶田は仕方なく財布を出した。
そこまで多くの金を持ち歩くタイプではないため、財布を開いたところで入っている金額は、たかが知れている。
梶田
財布の中にただ1人おわしたのは、渋沢栄一殿が1人だけ。
事情はよく分からないが、初日から変な揉め事を起こしたくない梶田は、とりあえず男の要求に従うことにする。
特に物騒な世の中だ。
下手に刺激をして、見ず知らずの相手に刺された――なんて話も珍しくはない。
むろん、金で解決するのも良い手段とは言えないが、しかしとりあえずの手段としては、致し方がない。
忠告をしてくれた老婆に話を聞くこともできるだろうし、何よりも今は穏便に済ませたかった。
王様
王様
王様
王様
王様
梶田
梶田
この前向きに――のくだりは、実に便利な言葉だと思う。
決して無責任に未来を確定させず、しかし確約はしない。
その上、こちらの誠意は見せることができるのだから。
王様
王様
男はそう言うと、梶田が差し出した一万円札をひったくるように奪い、そしてマンションの外へと出て行った。
取り残されたのは、梶田と老婆だけ。
梶田
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老婆は梶田と目を合わさないようにするかのごとく、明後日のほうを向きながら言葉を漏らした。
梶田
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梶田
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梶田
梶田
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梶田
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梶田
梶田の言葉に老婆は表情から笑顔を無くし、実に真剣な面持ちで、こう続けたのだった。
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