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久しぶりにテラー開いたらとんでもない神作ができてる…!!! soraくんに忘れられてる気がするw やっぱりsoraくんの作品めっちゃ好きだ…続きも待ってます(՞ . .՞)
💎🐇さん仲直り出来て良かったです!! クリスマスにsoraさんの作品見れるのちょーぜつうれしいです🥺💞 次回を気長に待ってます💭
最高の作品をありがとうございます! 皆良い子過ぎるのもあるんですけど何よりも切なくって涙止まりませんでした😭 次回も楽しみに待ってます!
1年越しの第2話です....いや凄いな( 「無謀なクエスト」から来てくださった方は第1話からご覧下さい!
一応第3話までなんですけど続きはいつになるか謎です もしかしたらまた1年後かも....(果たしてやっているのか) とりあえず第2話です!どうぞ!!
※結構長いよ
2023/12/23投稿
#2「絆」
#2
第2話「南校舎西階段2階踊り場」
水
水
寝そうな目をこすって頬を1回叩く。 朝方に椅子に座っているとどうしても眠くなってしまう。自分の悪い癖だ。 僕の机にちょっと乗っかってぼーっとしていた初兎ちゃんが、寝そうな僕を見て ふっと笑った。
紫
水
水
紫
紫
水
曖昧な返事を返す。 僕...いや、僕らは最近ずっと寝不足だ。 りうちゃんが交通事故にあって目覚めないまま1週間。 毎日病院に会いに行っているが、その目は開かない。声も聞けない。
水
紫
生徒1
水
紫
他クラスの人だ。 よく周りを見回すと、目の前の男子をみんなヒソヒソコソコソ目線で追っている。 なんでうちのクラスに入ってるんだ?
水
そういえば、前にりうちゃんがこの子と 喋っていた気がする。 クラスの友達の中でも結構名前が出る有名な悪ガキって感じで、彼との絡みは無い。
基本フレンドリーなりうちゃんも、「話しかけてくれるけど、ちょっと苦手」と苦笑いしていた記憶がある。 廊下でバカ騒ぎしてるし身だしなみぐちゃぐちゃだし、あまり得意な分類では無い。
生徒1
水
初兎ちゃんが机から降りてそさくさと 僕の座っている椅子の後ろに回り込む。 「ヤンキーだ」「怖...」と目が語っている。小動物みたい。
生徒1
水
水
生徒1
生徒1
水
紫
初兎ちゃんと2人で頭にはてなを浮かばせる。 話の流れがよく分からない。というか、 なんで入院してるか知らないだろうし。 この人とりうちゃんの関係って?
生徒2
廊下の方から別の人の声が聞こえる。 廊下の方を見ると、気づけばすごい人だかりになっていた。 いくつもの視線を集めていたみたいだ。
紫
初兎ちゃんがきゅっと僕の手首を握る。 たくさんの注目に怖気付きながらも、 僕のために逃げないでいてくれているのだろう。顔に混乱が出ている。
生徒2
廊下からチャラそうな顔を覗かせて こちらに話しかけてくる男子生徒。 この人も見たことがある。 今、僕の目の前に居る子の取り巻きトップみたいな奴だった気がする。
生徒1
生徒2
水
水
生徒1
生徒1
嫌な笑顔に心臓がドクンと跳ねる。 本当になんで探していたんだろうか。 変な理由じゃないよね。 りうちゃん、嫌な思いとかしてないよね。
生徒1
水
グイッッ(腕
水
紫
腕を引っ張り上げられ椅子から立たされる。初兎ちゃんと繋がっていた左手が離れてしまった。 右手首が掴まれてて痛い。力が強い。 すごく怖かった。
心臓がドクドクなっているのが分かる。 振りほどかなきゃ。 そう思うけど、身体は思うように動かない。ガクガク震えている。
生徒1
水
逃れようとして相手の足を蹴る。 スリッパとスリッパが当たる音が響く。 相手は微動だにしなかった。
生徒1
生徒1
バシッッ(膝
水
膝を足で蹴られる。 かなり痛い。膝がジンジンして、関節が おかしくなったような感覚が膝から広がっていく。
生徒1
息の吸い方がおかしくなる。 瞬きさえできない。 恐怖と、この感情は多分、怒りだ。 りうちゃんに何をしたんだという怒り。
生徒1
水
無意識のうちに相手を押し倒していた。
生徒1
水
水
もうパニックだった。 そこからは自分でも初めての体験。
初めて人を殴ったし、殴られた。
締め切った たった1人の空き教室。 いつもの透き通った紫の瞳をした彼は今日は居ない。
水
机につっぷしてため息をつく。 初兎ちゃんと喧嘩した昨日から何もかも 無気力になってしまう。 お弁当を食べるのさえ身体が動かない。
1人の親友には思い出が全部無くて、 もう1人の親友を傷つけてしまって、 いっそこのまま消えてしまいたかった。 一旦無になりたい。
りうちゃんに言った「今日を1番良い日にすればいいじゃん」という言葉。
言っている最中、辛かった。 口から出てくる言葉を「良い日ってなんだよ」って、「思い出なんてそう簡単に作れないよ」って、心が否定していた。
りうちゃんが目覚めて2日目。 ついやるせない思いをりうちゃんにぶつけてしまったのは本当にかっこ悪かったと思っている。 「明日には言ったこと忘れてるんだろうな」っていう考えが頭の中にあって__
最低なことをした。
水
消えてしまえばいいのに。
「またネガティブ出てる〜w」
「そんなこと言わんでや!!」
「しょーちゃんの言う通りだよ」
「俺らが居るでしょっ?」
水
でも、彼らならきっとそう言う。 僕がネガティブになっている時、笑顔で 励ましてくれるのは2人なのだ。 心臓がはち切れそうなくらい不安な時、 いつもそばにいてくれるのは2人だ。
今はどちらも隣に居ない。 つまり、僕は今ダメダメだ。
水
水
人を殴ったあの日から、クラスに自分の 居場所は無くなった。 道を通る度軽蔑する目、冷ややかな目で 見られ、除け者になって、よく喋っていた友達も離れていった。
その日は一日1人きり。 だけど、次の日は2人だった。
2日後、初兎ちゃんが不安でいっぱいの 表情で、僕の前に現れたのだ。
紫
水
水
水
ドアが開いたと思ったら、一直線に 僕の席にすたすた歩いてくる初兎ちゃん。 昨日は一日中言葉をかわさなかったから、もう喋らないと思っていた。
周りからの視線に気づく。 「近づかない方がいいよ」 自分で言った言葉が、たまらなく心に苦かった。でも、言うしかなかった。 初兎ちゃんまで孤立する必要は無い。
紫
僕の言葉を無視して、まっすぐこちらを 見る。 その真剣な顔に、まばたきが止まった。
紫
紫
それが別れの言葉だと思った。 仕方ない。もう踏ん切りはついていた。 僕と彼は釣り合わないと、分かっているつもりだった。
だけど、彼の言葉にはまだ続きがあった。
紫
紫
紫
紫
水
紫
初めて見た、決意した顔。 下向きでメガネでさえぎられていた瞳。 今目の前に居る彼の瞳は、ひとつも揺らいでいない。 強い顔だった。
あの後少しして言われた。 「離れるのが正解じゃないのは、バカでも分かったよ」って。
その言葉を聞いた時、僕は本当にかっこ悪くて、僕の親友は本当にかっこいいなと心から思った。 僕なんかよりずっと強くて、勇気がある って改めて実感した。
話は変わるが、結局あのヤンキーみたいな奴がりうちゃんを探していたのはカツアゲ目的だったみたい。 りうちゃんと喋ってるのをチラッと見た時さすがフレンドリーな奴だなぁと思っていたが、違っていたのだ。
ふわふわしてるけど厄介事は避けるのが上手いりうちゃん。 笑いながらもひらひら交わしていたみたいで、そのせいでさらに絡まれるハメに なったようだ。
水
世の中みんな、生き上手だな。
ガラガラガラッ(扉
水
赤
いつも初兎ちゃんが先に走って開けるドアを1人で開ける。 わざと時間をずらして、いつもより1時間遅く病院にやって来た。 りうちゃんがにこっと笑いかけてくれる。
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水
赤
赤
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リュックをおろしてソファに座らせてもらう。ついでにブレザーも脱ぐ。 ここは変わらず暖かい。 人工的な暖かさが、身体にしみていく。
赤
赤
水
「会って始めて」じゃないよ。 ずっとあなたに会いに来てるのに。 変わらず、会っているのに。
赤
水
赤
水
そんなに...楽しそうに見えていたのか。 いや、楽しいのは僕が誰よりも知っている。だって自分たちのことだから。 でも、今はその言葉に素直に喜べない。
赤
赤
赤
水
水
赤
水
謝ると、「こっちこそごめん」と焦って 言葉を取り消すりうちゃん。 記憶のない彼でも、僕らの今の関係になんらかの歪みが生じていることを察したらしい。
赤
赤
水
赤
赤
「俺とでも」って...君と話すために来てるんだよ。 なんだか目の前の親友が少し大人になった気がする。笑顔の雰囲気が違った。
記憶が無い中でも、懸命に生きようと しているのだ。 明日がある無気力な僕と違って。 自分と向き合って向き合って、頑張って 一日を全うしようとしているのだ。 「どうせ明日には記憶が消えている」とか思っていた自分が恥ずかしくなってくる。
水
水
赤
水
赤
赤
水
水
あーあ...話すこと、初兎ちゃんとのこと しか無いや。 僕も笑っちゃうんだよなぁ。 あの人天性の才能あるよ、絶対。
僕、喧嘩したんだよな。 ...辛いな。
赤
ズキッ
水
水
赤
混ざってたんだよ。 いや、君が混ぜたんだよ。 僕としょーさん出会わせて親友にして、それ見て嬉しそうに笑ってたんだよ。 りうちゃんが居たから、僕ら__
水
りうちゃんが居なきゃ本当にダメダメ なのかな。 僕、そんなにこの子に頼ってきた? ...いや、思い出せよ。頼られてただろ。 頼ってきたし、頼られてきたよ。
そうだ...りうちゃんが居なきゃ何も出来ないわけがない。 僕の前まで来て「正解を探したい」って言ってくれた初兎ちゃん。 直接言ってくれたのに、うじうじしてるのめっちゃダサいじゃん。僕。
1番弱虫じゃん。
水
赤
水
赤
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水
翌日。いつも2人の通学路を、今日は1人で歩いてきた。 寒い中1人で歩く孤独さと言ったら、それはもう辛かった。寂しかったし。
水
ガラガラガラッ(扉
紫の友人1
紫
水
紫の友人2
紫
紫の友人1
紫
紫の友人2
紫の友人1
紫の友人1
水
紫の友人2
紫の友人1
紫の友人1
水
水
紫の友人1
紫の友人2
紫
紫
ズキッ
水
窓を閉めるとさっきまであった肌寒さが 一気に消える。 境目があるだけで、こんなに違うんだな。
僕らの境界線、"亀裂"じゃないよね...?
先生さようならー
はい、さようなら〜
うっわwそれやべーww
だろ?エグいよな!!ww
水
水
えー、そうなの?w
ほんまの話やで! さては信じてないやろ...っ!
信じてるよ〜w
ふはっw適当やなぁw
あははっw
水
ボフンッ(ベッド
水
水
きっとりうちゃんは伝えてくれた。 昨日のりうちゃんが今日のりうちゃんへ、今日のりうちゃんが初兎ちゃんへ、
「明日、南校舎西階段2階踊り場で」
直接言う勇気無いし、こんな伝え方りうちゃんに迷惑だし、初兎ちゃんも困惑するだろうし..... けど、解決しないのは絶対嫌だ。
水
りうちゃんに協力してもらったんだ。 あの天真爛漫なりうちゃんのパワーが、 自分の背中に乗っている気がする。 弱気になんてなっていられない。 いや、なっていたとしてもやらなきゃ。
離れるのが正解じゃないのは、 僕も分かるから。
水
階段に座って足をぶらぶらする。 どこかしら動かしてないと、心臓の音しか聞こえなくておかしくなりそうだ。 まさかこんなに緊張するとは。
今まで喧嘩はたくさんしてきたが、いつも根比べでどっちかが負けるのだ。 ...いや、勝敗がつく前に強制的に仲直りさせられていたかもしれない。
一生口を聞かない雰囲気の僕ら2人。 いつもりうちゃんが困り顔で 「頑固者!どっちかが折れなさい!!」 と、僕らを引っ張って無理やり会話させるのだ。 仲直りするまで、離してくれない。
でもそれが終わった後はなんだかバカバカしくなって、3人で笑ってた。 りうちゃんと喧嘩することは無くて、 仲直りは僕らばっかで、 ほんと、すっごいお世話になったな。
水
僕、彼に返しきれない恩があるんだな。 ...返せてないけど。
カツン...カツン.....
階段を上ってくる音がする。 びっくりしたのと待ち構えてたのとで、 自身も勢いよく立ち上がった。
紫
水
手すりに手を添えて、階段を上がりきったところで足を止める初兎ちゃん。 こちらの階には、1段も踏み入れていない。
かける言葉が分からなくて、でも、僕が 上から喋るのは違う気がしたから、 駆け下りて初兎ちゃんの3段上のところまで近づいた。
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紫
初兎ちゃんがビックリしてちょっと後ずさった。
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水
紫
普段なら言わない。「ごめんなさい」って、自分から言えない人間なんだ。 けど今、それを言わせてくれる人が居ないから。隣に、居てくれない。 声、震えておかしいかもなぁ。
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紫
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考えていたことを全部ぶつける。 上手な謝り方とか仲直りの仕方とか、僕は分からないから、こうするしかない。
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「本心を知りたい」とその深い紫の瞳が語っている。 こんな前置き、彼の前では意味が無い。 きっと本当に言いたいことをまだ言ってないことを、分かっているのだろ。
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水
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...僕に話しかけてくれた時、初兎ちゃんもこんな気持ちだったのだろうか。 心臓バックバクで、他の事全部どうでもよくて、前しか見れない。 ただ答えを待つしかない。
紫
初兎ちゃんがリュックを深く背負いなおす。 そのスリッパの音がもう聞こえた気がして、どこか遠くに離れていく気分だった。
もう話せないような、そんな気がして、突っ立ってなんかいられない。
水
グラッ
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初兎ちゃんの顔がぎょっとひきつる。 段を踏み外した僕の体はどんどん降下。 3段目からと言っても体の角度は結構危なくて、このままいくと思いっきり打撲だ。
水
水
ガシッ
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初兎ちゃんが受け止めてくれた。 腕の中があったかくて、安心できて、 なんかもう泣きそうな気分だ。
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ぎゅっとしたまま続ける。
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紫
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顔を少し上げると、頬に冷たいものが 降ってきた。 目の前には 隠しもせず、声も上げず、ただボロボロに泣いてる初兎ちゃん。 こんなに泣いているのあまり見ない。
口を固く閉めて、嗚咽ももらさず僕の頬にただ涙が落ちる。 男泣きしてるな、初兎ちゃん。
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自身の瞳からも涙があふれる。 あー、しょーさんの服濡れちゃうな。
...いっか。 離れたくないや。
#2
第4話「お出かけ」
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野菜スティック(にんじんオンリー)を いむくんの前につきだす。 ついでに付属の味噌マヨネーズ?みたいなやつも。
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にんじんを1本とって味噌マヨネーズにつけ、ほおづえをつく。 ニマッと笑ってみせ、いむくんににんじんを近づけた。
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にんじんを頬張りながらいむくんが言う。
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いや、今何月?
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いむくんがにまにました顔でスマホを取り出す。 「えーと」とかいろいろ呟きながら数秒いじって、俺に画面を向けてきた。
水
画面に写ったサイトには、 「暖かいテントの中でどうですか?」 という大きい文字の問いかけとともに、 いむくんが読み上げた通りの見出しがばばーんと書かれていた。
背景になっているカキやらエビやらの BBQがものすごく美味そう。 いむくんのスマホに目が釘付けになる。
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にやっと笑って問いかけるいむくん。 答えはもう決まっている。
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思いつきで言ってみる。
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行けたらいいな。 3人でお出かけとか夢すぎるやん。プランとかいむくんに任せたら最高の一日提供してくれそう。偏見やけど。
海の幸食べ放題......じゅるり()
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案の定りうちゃんも目を輝かせてOKしてくれた。食べ放題ってすごいな。 あとは病院の人の許可を貰うだけだ。 ...1番の難関だけど。
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りうちゃん、きっとみんなでお出かけしても明日にはその記憶が無くなっているのだろう。 いむくんに言われたことも分からなくもない。覚えられてないのは俺も悲しいし。
でも、それが"りうちゃんとの思い出を作らない理由"になるのは違う気がする。 その俺の気持ちを、きっと今のいむくんは少なからず知ってくれているだろう。 多分共感はしてない。 けど、知ってくれただけで大丈夫だ。
これから考えて理解し合っていくのが、 俺らの良いところなのだから。
4日後
医者
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りうちゃんがお出かけに行きたいことを伝えてくれてから4日。 ちょうど俺らがりうちゃんに会いに来る時間帯にお医者さんが直接話に来てくれた。
医者
医者
昔の記憶を思い出すことがあるというのは少し前から聞いていた。 というのも、ギターをひいてもらった時にあったような症状が顕著に出るようになってきたらしい。
"昔の記憶"といってもだいぶ昔で、 幼稚園とかそのくらいの時のささいな 出来事の記憶らしい。 「誰かと手を繋いでた」とか「お遊戯会で歌った歌の1部」とか、そんな感じ。
それもひとつのピースに過ぎなくて、 無理にその先を思い出そうとすると気持ち悪くなるらしい。 そんな症状と、りうちゃんは戦っているのだ。
医者
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医者
医者
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医者
医者
医者
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この病院から例の海沿いバーベキュー場へは電車を使って約40分だといむくんから聞いた。 午前のうちに出発すれば、晩ご飯以外もいろいろ楽しめるだろう。
医者
医者
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医者
医者
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医者
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水色髪の彼に散々「弱虫」だとか言っておいて、この事故の原因は他でもない俺だった。 りうちゃんは俺のせいで記憶を失った。
赤信号に突っ込んでくる乗用車に気づかずにそのまま横を向いて歩いていたせいで、りうちゃんに庇わせてしまった。 全部全部、俺のせいだ。 俺が居なければ、りうちゃんは思い出を忘れてしまうことは無かったのに。
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あの日から重い灰色の雨雲ような罪悪感が心の中にとどまっていて息が苦しくなる。 罪悪感でも無いかもしれない。もっと心を鷲掴みにしてくる"なにか"が、ずっと消えなかった。
「初兎ちゃんのせいじゃない」と繰り返し言い聞かせてくれたいむくんのおかげで少しは救われたが、これは一生をもっても償えない俺の大罪。
りうちゃんに関わる全ての人を悲しませ、なにより、彼自身を拘束し苦しませている。 これまでの人生を全て奪ったのだ。
医者
医者
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たしかに、今日の彼にとってはそうなのかもしれない。 今日の記憶を忘れる。つまり、"自分"は行けないのだから。そんなに切ない笑顔で「羨ましい」なんて言われると心が締め付けられる。
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「いいんだよ」と優しい声でりうちゃんの肩をゆさぶる。そのときのいむくんは、まるで兄弟でも見ているかのような慈愛に満ちた表情だった。
その視線の先は自分じゃないのに、俺の目は釘付けになった。 りうちゃんとの向き合い方に悩んでいたいむくんが、自分なりにりうちゃんの現状を理解して受け入れようとしている。
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看護師
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ガタンゴトン...ガタンゴトン...
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ついにお出かけ当日。 そもそもりうちゃんと朝から会うのはめずらしいので、俺自身もテンション爆上がりである。 いむくんの表情もそんな感じ。
今日の俺の使命は2人を思いっきり笑顔にして自分も思いっきり楽しむこと。 いむくんはスケジュール担当(勝手に決めた)だから、俺はお笑い担当になろうという魂胆だ。
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グルメ担当も兼ねたいところである。
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ポトッ(アームから落ちる
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※海鮮です
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イルミネーションを前に3人並んで上を見上げる。紛れもない絶景だった。 視界の全てが輝いている。
隣の親友たちの瞳も同じくらい輝いていて、並んで白い息をはいている姿を見ると微笑ましい気持ちになる。 守りたい人が手の届くところにいるのって、当たり前じゃないなと思った。
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いむくんがめずらしくそんなことを言うから吹き出してしまった。隣のりうちゃんも吹き出す。 「なんで初兎ちゃんは許されるのに僕はダメなの」と拗ねるいむくん。
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りうちゃんの綺麗な瞳から、涙が一筋二筋と伝っていく。 必死に拭っても止まらないみたいで、その姿にとてつもなく心が締め付けられて、気がついたら抱きしめていた。
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ギュッ
いむくんが俺ごと包み込むようにそっと手を回す。
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イルミネーションを見に来た人達がこちらをチラッと見て通っていく。けど、そんなことはどうでもいい。 今はとにかく、りうちゃんに寄り添ってあげたかった。
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イルミネーションに視線を移して「綺麗だね」と、まるで仕切り直しのように呟いたりうちゃん。
彼は今、なにを考えているのだろう。
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病院までりうちゃんを送り届けて今日のお出かけは終了。 最高に楽しい一日だったけれど、りうちゃんが今日のことを忘れてしまうと思うと寂しい気持ちになる。
でもそんな野暮なことは言わない。 りうちゃんの日記に「今日はいい一日」だと綴ってもらえるよう、どれだけ寂しくても最後まで笑顔だ。
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そう言って俺の手を引くいむくん。でも彼は寂しくないわけではなさそうで、目まで潤んで俺より別れる辛さをこらえているような顔をしている。 強がっているのがひと目でわかる。そんな表情でも、明るい口調だった。
その姿を見ると駄々をこねる気も無くなって、りうちゃんへ抱きつくのをやめた。
そうだ。明日も変わらず会える。 そう自分に言い聞かせ、いむくんと一緒にりうちゃんの方へ振り返る。
水
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続く