テラーノベル
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次の日も佐藤優太は教室に立っていた
冷たい声 迷いのない指示 逆らう余地の無い空気
その光景を見ながら4人に浮かんだのは 怒りでも恐怖でも無かった
痛みだった
渡辺 彪雅
渡辺 彪雅
田中 あつき
その通りだった
校長は教室の中までは見ていない
報告用の結果さえ整っていれば途中の経過なんて、どうでもいい
それなのに佐藤優太は 毎日、毎日、わざわざ支配者でい続けた
浦田 悠馬
浦田 悠馬
浦田 悠馬
浦田 悠馬
それは歪んだやり方だ でも動機だけを見ればあまりにも人間だ
佐藤優太が学校を休んだ日
学校はいつもよりも活気に溢れていた
誰も怯えず、誰も縛られず、自由
それが現実だった
佐藤優太は愛されてなかった
むしろ嫌われていた
怖がられ疎まれいない方がいい存在だった
鈴木 大飛
鈴木 大飛
指示に従われる事 言うことを聞いてもらえる事 必要とされているように見える事
愛を知らない人間は代わりのものを 愛だと信じるしかない
浦田 悠馬
田中 あつき
誰かに近づく方法を教えて貰えなかった
だから命令する形でしか人を傍に 置けなかった
それが、佐藤優太の生き方だった
そして佐藤優太は今日も1人で座っていた
4人はその背中を見つめながら同じことを思っていた
佐藤優太は最初から悪者じゃなかった
ただ愛され方を一度も教わらなかっただけ
そしてそれを教える役目が俺たちだ
午後の授業中
教室の扉が強く開いた
入ってきたのは担任だった
先生
先生
一瞬、誰も理解できなかった
そして
先生
教室中の視線が佐藤優太に向く
でも
佐藤優太は動かなかった 姿勢も変えず視線も上げず淡々と口を開く
佐藤 優太
教室が凍りついた
先生
先生
その瞬間、佐藤優太は顔を上げた
そして
はっきりと分かるほどの表情を見せた
それは安堵に近い どこか解放されたような嬉しそうな顔
鈴木 大飛
4人にはその理由が分かってしまった
父は佐藤優太にとって「親」じゃ無かった
命令する存在 支配する存在 人形を操る、操縦者
佐藤優太がそう思い込む事で必死に 耐えてきた存在
なら
操る側がいなくなったら…?
その瞬間、佐藤優太は自由になる
それは彼にとってあまりにも都合の良い 出来事だった
だから 心配も動揺も悲しみも無かった
佐藤 優太
先生は何も言えなかった
誰も強く言えなかった
佐藤優太はそのまま授業を受け続けた いつもよりどこか軽い表情で
佐藤優太はまたいつもの場所へ向かった
ベンチに腰を下ろし、空を見上げる
風が葉を揺らす
そして佐藤優太は静かに涙を流していた
でも涙を流しているのに 口元はわずかに緩んでいる
鈴木 大飛
浦田 悠馬
渡辺 彪雅
田中 あつき
誰もそれが本当の自由だとは思えなかった
操る側が消えたとしても操られてきた記憶は消えない
命令に従う癖も 感情を押し殺す生き方も
一日で消えるはずがない
それでも佐藤優太は初めて「希望」に似たものを抱いていた
たとえそれが勘違いでも
鈴木 大飛
鈴木 大飛
縛られていた糸が急に緩んだ人間は次に どう動けばいいのか分からない
だからこそ目を離しては行けない
佐藤優太が「自由」だと思い込んでいる 時間は、同時に 1番孤独な時間でもあるのだから
でもその日佐藤優太は消えなかった
いつもなら校舎を出た瞬間姿を消すのに
誰にも見つからず 誰にも触れられず 最初から存在しないみたいに
でもその日は
4人から見ても消えたそうに見えた
でも消えられない
理由は単純だった
父がいない。から
今まで佐藤優太が自然の中で姿を消せて いたのはきっと父が見守っていたから
操っていたから…
縛っていたから…
逃げ場すら支配の延長だったから…
でも無くなった
操る側がいない世界で佐藤優太は どこに行けばいいのか分からなくなった
そしてずっと体育館裏の小さな庭で ずっと座っている
立ち上がることも
歩き出すこともできない
そして
佐藤優太は静かに涙を流していた
それは今までとは違う
居場所を失った人間の涙だった
鈴木 大飛
鈴木 大飛
父がいる限り逃げ場は"用意されていた"
支配の中の自由
操られたままの休息
でもその糸が切れた今
佐藤優太は自分で立たないといけない
なのに立ち方は教えられてこなかった
渡辺 彪雅
渡辺 彪雅
浦田 悠馬
田中 あつき
操られた人生が突然終わってしまって 次ページが白紙のまま放り出されたみたい
支配が無くなった瞬間 人は自由になるとは限らない
むしろ
1番弱くなる
~continue~
コメント
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優太がんばれぇ!