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私は人を殺したことがあります(仮題)

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私は人を殺したことがあります(仮題)

8 - 平成26年 11月4日 シンジとアキノリの場合【3】

♥

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2024年11月18日

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駐在さん

ごめんくださーい!

駐在さん

誰かおられませんかねー?

シンジ

(なんで駐在さんに家がばれてるんだよ)

シンジ

……なんの用ですか?
今、親はいませんけど。

すりガラス越しに、駐在とシンジのやり取りが始まった。

駐在さん

お、その声は昨日の坊主か。

駐在さん

あのね、駐在さんはね、これでも近辺の平和を守りたいと思ってんのよ。

駐在さん

だからね、癖というかね、コンビニなんかで自転車が停まってるとさ、ついつい登録番号調べちゃうんだよね。

シンジ

(俺がコンビニに自転車を停めていた時に、登録番号を確認されていたのか)

駐在さん

でね、この登録番号から所有者の名前とか、住所とかまで分かっちゃうんだよ。

駐在さん

本当なら、わざわざ家まで訪ねたりしないんだけどね、君、いきなり逃げただろ?

駐在さん

だから、やっぱり親御さんにも説明して、改めてもらおうと思ってね。

シンジ

あ、いや……あの時は言いにくかったんですけど、実は母にお遣いを頼まれていただけなんです。

親公認ともなれば、駐在さんも踏み込まないだろう。

その認識自体が、世間と少しずれていることに、シンジは気づけなかった。

駐在さん

なんだって?
あんな時間に、コンビニに買い物に行かせるなんて、とんでもない親だ!

駐在さん

いつ、親御さん帰ってくる?

駐在さん

駐在さんが説教してやるから!

シンジ

(普通の親は、深夜のコンビニにお遣いさせたりしないのか)

シンジ

(くそっ、基準が異常だから、どう答えたらいいんだ?)

駐在さん

とにかく、そろっと駐在さんを中に入れなさい……。

駐在さん

調べたら生活保護の家庭みたいだし、困ってることあったら駐在さんが相談に乗ってやるから。

シンジ

(今断って、あとから面倒になるのも嫌だな)

シンジ

(でも、できることなら駐在さんを家にあげたくはない)

シンジ

あの……。困っていることというか、助けて欲しいんですけど。

駐在さん

お、なんだ?
言ってみなさい。

シンジ

実はあんまり大きな声じゃ言えないんですけど、親に虐待されてて……。

シンジ

それで、駐在さんが家までやって来たってことが親にばれたら大変なことになるんです。

駐在さん

なんだって?
それは酷い親だな!

駐在さん

ますますお説教を……。

シンジ

駐在さんにそれをされると困るんです!

シンジ

それに、説教をされたくらいで虐待がおさまるなら、そもそも虐待なんてしていませんよ。

シンジ

変なお願いですけど、人助けだと思って昨日のことは水に流してください。

駐在さん

……確かに訳ありみたいだな。
駐在さんが調べた限り、母親と君とで別姓のようだし。

シンジ

それは、父が亡くなってから母が籍を一度抜いたからじゃないですかね?

駐在さん

なんだか色々と複雑なんだなぁ。

駐在さん

とにかく、君の言いたいことは分かった。

駐在さん

えっと、君は芒尾……シンジ君だね?

シンジ

はい、そうです。

駐在さん

そうか、今日のところは君の言葉に従って、駐在さん帰るから。

駐在さん

一応、玄関のところに駐在さんの連絡先書いたメモを挟んでおくから、なにかあったらそこまで連絡するように。

シンジ

ありがとうございます。

シンジ

困ったことがあったら連絡させてもらいます。

駐在さん

うん、よろしい。
では、駐在さんは帰ります。

駐在さん

人の家庭に首を突っ込むわけではないけど、君はまだ大人を頼っていい歳だ。

駐在さん

周りにいる大人だって、君が思っているような人ばかりじゃない。

駐在さん

頼れる時は頼りなさい。
いいね?

シンジ

はい、ありがとうございます。

シンジが礼を言うと、駐在さんのシルエットがすりガラスから遠ざかって行った。

シンジ

(多分、いい人なんだろうけどなぁ)

とにもかくにも、駐在さんは帰ってくれたようだ。

シンジ

(昨日から妙に来客が多いな……)

シンジ

(毎回、駐在さんのように上手くあしらえるとも限らないし、対応に気をつけないと)

シンジ

(アキノリと口裏を合わせておく必要がありそうだな)

母が死んでから、おおそよ1日が経過しようとしている。

ここまま母の死を隠し続けることができるのか。

しかし、シンジの知らないところで、明確なる危機は迫りつつあるのだった。

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