ガチャッ
若井
振り向かなくても分かる。 その声はさっきぼくが耳障りだと思った声だ。
若井
名前を呼ばれ振り向く。 そこには予想通り、若井が居た。
…てか、いきなり名前呼びかよ。
若井
大森
動揺しているぼくに比べ、平然としている若井は何か知っていそうだ。
若井
若井はそう言うと、こんな事になっている経緯を話しはじめた。
話が長かった為、要約すると… 単純にぼくのクラスに寮生が少なかっただけで、今年は寮生が多く、全員に一人部屋を用意する事がギリギリ出来なかったこと。 二人部屋になる生徒は先生達がくじ引きで決めたこと。 この部屋は元々寮の管理人が使っていたが、今は監視カメラやオートロックなどの防犯設備が充実している為、管理人が常駐しなくなり空き部屋になってたこと。 元は管理人部屋だった為、キッチンやお風呂など、他の部屋より設備が良いとのことだった。
説明を聞いて自分の運の悪さを呪った。
まあ、唯一良かったと思えたのは、一人部屋の人は、共同浴場に行かなければいけないけど、この部屋にはお風呂が付いている事くらいか。
若井
大森
良いところも一つだけあったが、それでもぼくにとっては二人部屋なんて地獄でしかないし、よりにもよって一番関わりたくないと思ってた若井が同居人なんて最悪すぎる…
そりゃ、顔にも出るよ…
若井
今のぼくは誰がどう見ても嫌な奴だと思うのに、若井は笑顔でそう言うと、自分の部屋に入っていった。
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